初めての夜
今度こそ日向のお風呂回。
日向の入浴タイムです。
と言うことは、彼女は今、ハダカです。
風呂に入ってるので、当たり前だね。
俺が風呂から出て、彼女と交代。
覗いたら帰ると宣言したのが効いたのか、覗かれずに落ち着いて湯船に浸かれた。
「覗きますか?」と彼女は風呂に入る前に訊いてきた。翻訳すると、「覗いて下さい」なのは明らかだったので、
「覗かないよ」と、爽やかに答えておいた。
彼女はがっかりした様子で脱衣所の扉を閉めた。
俺は彼女の部屋でベッドを背もたれに、床に座った。
ベッドを見ると、枕元の棚に今日買ったゴムの箱がおいてあった。封は開けられており、個包装の袋が一つ箱の上に置いてあった。ご丁寧に、その横に箱ティッシュも用意されていた。
まあ、どうでもいいので、俺はスマホを取り出して、脚本の続きを書くことにした。
しばらく執筆に没頭して、どれくらいたったかわからなくなった頃に、彼女は風呂から上がった。
今日買ったピンクのパジャマを着ている。濡れた髪をバスタオルで拭きながら部屋に入ってきた。
ドライヤーを使って髪を乾かし始める。
全体的に濡れた感じが色っぽい。前髪が濡れて、顔に張り付くように目を隠している。前髪切りたい。
俺は彼女がドライヤーを使っているのを、ずっと見ていた。
やはり彼女は美しいな。と思った。まあ、知ってるけど。
薄手の夏物のパジャマに浮かぶ、胸の形も美しかった。ブラをしてないのは、見てわかる。
俺が彼女を見ていることに気づいて、彼女も俺を見つめ返す。
彼女がドライヤーを使っている間、ずっと無言で見つめあっていた。
夜も更ける。
脚本執筆も疲れてきた。
彼女は俺の膝の上で本を読んでいる。
疲れやすい理由は、これじゃないかな。彼女はけっこう大きい方だし、何より筋肉は見た目より重い。
「日向。降りて」
「ん」彼女は膝の上から降りて本を閉じる。
「そろそろ眠い」
「寝ますか?」
「うん」
彼女はベッドに上がる。
俺はクッションを、ベッドの下に置いて、膝掛けを持ってきた。夏も近い。布団がなくてもだいじょうぶだろう。
俺は床に寝転がって、クッションを枕にする。
「あれ?」日向が不思議そうな声を上げた。ベッドの上に座って、俺を見下ろしてくる。
「何してるの?」
「寝る」
「ベッドで寝れば?」
「ここで良いよ」
「むー」不満そう。「一緒に寝ます」
「一人で寝ます」
「来て下さい」
「一人で寝かせて」
「抱いてください」
「遠慮します」
何を言ってるのだか。俺は取り合わず、目をつむった。
「むー、怒ってますか?」
すごいね。怒ってる事がわかるんだ。俺の事ちゃんと見ないから、気づかないと思ったよ。
「ちょっとね」
彼女は少し考える。「お泊まりするように、ハメたことを怒ってるのですか?」
ワナをかけたことを認めるんだ。まんまとハマった俺が間抜けなだけだから、彼女は悪くないかな。
「ワナをかけたことは怒ってないよ。途中が良くなかった」
「どこがダメでしたか?」
「僕に訊くの?」なぜ俺をハメようとする人に、俺のハメ方を教えなきゃいけない。
「ごめんなさい」小声で謝ってくる。
俺は黙っている。
「直します。嫌わないで下さい」泣きそうな声。
あーもう。卑怯だよ。人をワナにハメて、被害者気取りですか。まあ、実害は無いけどね。
俺は起き上がり、膝立ちになる。ベッドに座っている彼女の目線に合わせる。
「僕が他の女の子と泊まりがけで出かけた事だよ。後で交渉材料にするために放置したよね」
「ん」
あ、普通に認めた。
「怒っても良かったんじゃない?」
「拓海のやりたいことを、じゃまするつもりはありません」
理性的だね。でも正しいとは限らないよ。俺なら嫉妬で狂いそうになるな。
「ありがとう。でも嬉しくない」
「ごめんなさい」さらに泣きそうになる。やっぱりわかってなさそう。俺が不機嫌だから、泣きそうになっているだけだな。
これが日向なんだよな。少し可哀想になった。俺は彼女の頭を撫でてあげる。
彼女は少し安心したようだ。
「愛していると言ってください」
「愛しているよ、日向」
これはホント。
「愛してます、拓海」
これはウソ。本人がウソをついている自覚なさそうなところが、たち悪いね。
俺は日向をベッドに押し倒す。おおいかぶさるように、顔を近づける。
目を閉じろよ。
くちびるを合わせる。口をこじ開けて舌を入れる。
彼女も舌を絡ませてくる。激しく口を吸ってくる。ぜんぜん放してくれない。
苦しくなってきた。
俺は彼女の肩を押して、口を離した。
布団を彼女にかける。
「おやすみ、日向」
照明のリモコンで灯りを消す。
俺は床に寝転がった。
「えー」
彼女の不満の声が聞こえたが、気にしないことにする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
朝。いつも通り早くに目が覚めた。
毎朝、通学前にジョギングするのが日課になっているから。
休みの日ぐらい、ゆっくり寝ていてもいいのだけど、休みの日も彼女と会うために早起きしているからね。
最近は気温も高いから、遅い時間にジョギングするのは暑い。
今日も涼しいうちにジョギングしようと、起き出した。
ベッドは空だった。台所も見たが彼女はいない。
玄関のカギはかかっている。出掛けたのか?
俺も出かけると、カギがかけられないので、出かけるわけにはいかない。
俺は部屋に戻ってもう一度床に寝転がる。たまには二度寝もいいよね。
ドアが開く音で目が覚めた。
シャワーを使う音が聞こえる。シャワーの音がしなくなってしばらくしてから、薄手の部屋着、Tシャツと短パンの日向が部屋に入ってきた。
「おはようございます」
「おはよう」
彼女はドライヤーで髪を乾かす。
俺は体を起こして、彼女を見ている。彼女も髪を乾かしながら、俺を見ている。
今はブラをしているようだ。
「どこに行っていたの?」俺はドライヤーが止まってから尋ねた。
「ジョギングです」
「ふーん。僕もジョギングしたかったんだけど、カギがなかったから出かけられなかった」
「あー、ごめんなさい」彼女は謝った。そして少し考えて、
「来週は一緒にジョギングしましょう」と言った。
来週もお泊まりですか。
読んでくれてありがとうございます。
更新遅れてだ分を取り返すかのように、連日投稿を頑張りました。
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