一緒にお風呂
お風呂イベントです。
お風呂回はテコ入れですか?
ウィンドウショッピングにゲーセン。
日向とのお買い物デートは、今日の目的の買い物に入る。
パジャマです。あと、バスタオル。
何でそんなものが必要なのでしょうか?
「これ、拓海に似合いそうです」
はい。前ボタンの半袖パジャマですね。落ち着いた青色に、通気性のよさそうな生地が、夏向きですね。
「うん、いいんじゃないかな」
「むー、ちゃんと選んでください」
「選んでるよ」嘘です。もう帰りたい。いや、そもそも何で俺のパジャマがいるの?
「これはどうですか?」先程と同じパジャマの色違い。赤っぽいピンク色。
「僕にピンクが似合うと?」
「私のですよ。この青とお揃いです」
ペアルックですね。男が青で、女が赤ですか。その固定化された性別意識、何とかならないかな。いや、彼女のセンスは何かずれてるよね。
「いっそ、こんなのはどう?」ボタンなしのTシャツタイプ。全面に大きくイラスト入り。和テイストで、でっかく龍のイラスト入り。
何でこんなのが売ってるんだよ。勘違い外国人観光客でも来るのか?
「いいですね」
うん、日向のセンスはダメだわ。いや、俺が選んだのは、無条件で肯定する訓練を受けているのか?
「いや、やっぱり無地の方が普段使いにはいいかな。さっきのにする?」
「そうですね。落ち着いたデザインがいいです」
「僕はそれで良いとして、日向は違うのにしたら?」
「拓海とお揃いにします」
「でも、日向はネグリジェにしたら?限りなくスケスケのやつ」
「はい。そうします」
やはり、俺の好みに合わせたいのか。
「うん、さっきの無難なのにしよう」
「むー、拓海、ちゃんと選んで」
どうしてまじめに選ぶと思うのかな。
そもそも、何でお泊まりすることになってるのか?
結局無難なボタンで止める半袖パジャマになった。俺が青で日向がピンクのペアルック。頭悪そう。でも、外で着ないからセーフか。
バスタオルも選ぶ。さすがにこれは俺の分だけ。
次に薬局に行く。
俺の洗顔道具を選んだ。いつも使っているようなのを選ぶ。男性用の化粧品も買う。
「そういえば日向は、あまり化粧はしないね」
「手入れはしますよ?」
ああ、あまり目立ちたくはないからか。
「拓海はするの?」
「あまりしない。でもできるよ」舞台用の化粧はね。「してあげようか?」舞台映えするメイク。
彼女は考え込む。何に葛藤してるのか?
「ん」良いとも悪いともとれる、あいまいな返事。
「これも要りますね」彼女は小さな箱を手に取った。ゴムですね。
「いやいや、要らないから!」
彼女は驚いた顔をする。何で驚く!
「つけてくれないと、私、困ります」不安そうな表情をした。
つけなくても、困るような事はしませんから。
あと、不安そうな表情も可愛い。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
大荷物を持って、彼女の部屋に帰って来た。いや、俺はおじゃました、が正しい。いけないいけない。
荷物は二つにして、一つずつ持った。もちろん空いた片手は彼女に抱きつかれるためにある。
それから彼女は晩御飯を作る。
いつの間にか、エプロンはフリルのついた可愛いのに変わっていた。清潔感のある白なのが、俺の意見を取り入れた結果だろう。
今日は和食だった。細かな皿がいくつも並ぶ。
彼女の「いただきます」にあわせて「いただきます」と頭を下げる。
「あーん」野菜のおひたしを食べさせられた。こんな地味な料理、普段は好んで食べないけど、美味しい。いや、作るたびに、俺の好みになってくる。
料理、上手だね。
俺も彼女に煮物を食べさせる。これも美味しそう。見た目は地味だけど。
「日向、料理上手だね」
「ありがと」
「居酒屋のバイトって、厨房?」
「ホール」
「接客できてるの?」うん、失礼な事言ってるね。
「できるよ」
「笑顔で接客」
「してる」
ホントかよ。笑った顔、まだ一回も見てないのだけど。
「今度、バイト先行って良い?」
「未成年はだめ」
「お酒は飲まないよ。日向の笑顔を見るだけ」
「拓海に…」彼女は言いよどんだ。少し考える。いつもより無表情になる。
「拓海に、作り笑いをしたくありません」ガチな声でそう言った。
何かごめん。地雷っぽいのはわかってたんだけどね。何で踏みに行くかな、俺。
「ごめん」小さく謝った。
彼女は返事をしなかった。
この後はお楽しみのイベント。お風呂タイムです!
何がお楽しみかって?
いや、彼女はあからさまにウキウキ、そわそわしてるので、お楽しみなんでしょうよ。
うん、帰りたい。
「お風呂わきました」
「そう」
「入りましょう」
その日本語、不穏です。
彼女は、今日買ったパジャマとバスタオルを脱衣所に持っていく。それから男物の下着を両手で広げて見せた。黒のボクサーパンツ。
「先週買っておきました。拓海が来てくれなかった日曜日に」
うん、俺が負い目を感じるワードで追い詰めてくるね。
「靴下も買っておきました」
俺は返事をせずに、脱衣所に入る。
かごに、俺の着替えと彼女の着替えが並んでいた。
当然、彼女も脱衣所に入ってくる。
「僕が先に入るから、日向は後でね。それとも日向が先に入る?」
彼女は、「え?」て顔をする。
うん、わかってるけど、ここは引かないよ。
「一緒に入ります」彼女は決定しているかのように、言いきった。
「お風呂、ちょっと狭いよね」
「くっついて入れば、問題ありません」
「僕は、ゆったりお湯に浸かりたい派なんだ」どんな派閥だよ。
彼女は動揺して目が泳いでいる。拒否されるとは思っても見なかったようだね。
動揺してるさまも可愛いね。
「覗いたり、入ってきたりしたら、帰るからね」
彼女を脱衣所の外に追い出して、ドアを閉めた。
いつも読んでくれてありがとうございます。
不定期な更新になってしまって申し訳ありません。
お風呂回はテコ入れになったでしょうか?




