スカートと言う名の劇場
はじめに思い付いたタイトルは、東京大学に怒られそうなのでやめました。
ケンカをした後、仲直りの仕方がわからない子供。
あの後の日向はそんな感じだった。
俺が泣いていた幼女を助けたことで、彼女が泣いた後だ。
うん、この説明はおかしい。俺としたことが少し動揺してる?
仲直りは簡単にできた筈だ。俺が彼女を抱き寄せたときに、いつも通り彼女が抱きついてきたらそれで仲直りの儀式になった。
それをしなかったため、彼女は仏頂面で俺の横を歩いている。俺の腕にしがみつかずに。
彼女といて、こんなに歩きやすいのはめずらしい。
今回は俺が悪かったと思っている。彼女がこんなに怒るとは思ってなかった。
俺は隣を歩く彼女の肩を抱き寄せた。
彼女は少しビクッとしたが、そのまま俺に身を寄せてきた。
ちょっと、拒否されたらどうしようと心配したけど、よかった。これで仲直り成立だね。
彼女の部屋にお邪魔した。毎週末に来てるね。
俺は荷物を下ろし、ベットを背もたれがわりにして座った。
彼女が冷たいお茶を出してくれた。散歩しててもだいぶ暑いね。
ベランダに続く窓を開け、風が入るようにする。
「拓海しかいないから、見てくれますか?」彼女は俺の前に立った。
「何を?」
彼女は両手をからだから離して広げる。重心を右足にかけた。
「待って!」
彼女は止まって、何? て、顔で俺を見る。
「ターンしようとしてる?」
「ん」
「何で!?」
「? 下着をつけてる私を見たいのですよね?」
んん? なんの話し? そう言えば、そんな話してたね。彼女が一方的に。
「僕、そんなこと言った?」
「言いましたよ?」
うん、言ってない。見たくないわけではないけど、言ってない。
「見せなくていいから」
「拓海の気に入る下着が知りたいです。下着だけ見てもらうより、はいているところを見てもらった方が良いですよね?」
「日向が好きなのはけば良いじゃん」
「そういうのいいです」
頑なだね。
「お気に入りの下着を10着選んであります。全部はきますから、見てください」
着替えるところから見せられるのだろうか?
「いやいや、どんなパンツでも文句言わないよ」
彼女は少し考える。
「でも、がっかりした顔されたら、私泣きますよ?」
あ、さっき泣いたら優しくしてもらえると学習したな。
「どんなパンツはいてても、日向にがっかりすることなんかないから」
「ん、どうせ脱がすだけだから、どうでも良いと。では、はじめからはいてない方が良いですね」
頭の悪いことを言い出した。いや、マジで頭悪いんじゃないかな。
「マジで引くからやめて。絶対」
「むー」日向は不機嫌な顔をする。
「パンツだけじゃなくて、ブラも選んであるのですよ」
知るか。
「どうやって見せるつもりだったの?」あ、好奇心に負けて余計なこと聞いた。
「もちろんつけているところを見てもらうつもりですよ。ブラウスは脱がないといけませんね」
「ごめん。かんべんして」
「あー、時間かかるから面倒ですよね」少ししょんぼりする。
違うから。そこじゃないから。
「あ、どうせ上下セットとかあるから、下着だけになるのでいっぺんに見てもらったら、手間は省けますね」
何、いいこと思い付いた、みたいに言ってるの?
「ここで着替えますから、そんなにお待たせしません」そういうと、上着を脱いで、ブラウスのボタンに手をかけた。
「脱ぐな!」
彼女はビックリして手を止めた。また、大きな声出してしまった。
「お腹すいたから、お昼にしよ」また、先送りか。
彼女は不機嫌な顔をする。
ムッとした顔で俺を見る。両手はブラウスのボタンに手をかけたままだ。
いきなりの、左足を右足によせると、クルっと右足を軸に一回転した。ちょうど回転前と同じところ左足を置いてピタッと止まる。
全く同じ位置で同じ体勢だったので動いてないかと思うほど一瞬だった。
髪の毛とスカートがふくらんだので、やっと回転したとわかる程だった。
スカートは遠心力で真横に丸く膨らむ。スカートの下のブラウスも真横に膨らむ。
座っている俺の目の前で下着があらわになった。回転で起きた風が俺の顔をなでるくらいの近さで。
回転を止めたとき、遠心力でスカートが腰に巻き付く。まるでムチのように。
それからゆっくりと、スカートは重力に引かれて彼女の下着を隠した。
「ご飯作ります」彼女は不機嫌そうに言って、台所に出ていった。
俺は言葉を失っていた。
回転するときに、予備動作がほとんどなかった。止まったときも、体軸にブレがなかった。
何よりもあの早さで回転できるなんて。筋肉量の少ない女性は、回転も男性よりも遅い筈なんだが。
俺より早くないか?
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
食事を終え、さらに片付けの後。
俺は部屋のローテーブルの前に座った。
「日向」呼ぶと、彼女は台所からやって来た。
「おいで」
彼女はトコトコと近づいてくる。
「座って」俺はあぐらをかいた自分の足を、手でトントンとした。
彼女はちゃんと理解して、俺の右足を椅子がわりに座り、俺のからだに背中をもたれかけた。振り返るように俺を見上げる。
至近距離に彼女の顔がある。いつも通り無表情なまま。
でも、なんかそわそわしている。いつもならじっと見てくるのに、視線が泳いでいる。
自分からかまうときは積極的なのに、かまわれると緊張するのな。全然しゃべらない。
可愛いな。
無表情でキョロキョロするところなんか、小動物的な可愛さ。頭の悪い事さえ言わなければ、天使なのに。
とりあえず、下着のファッションショーは回避した。
隔日の更新を目指してますが、ストックがヤバいです。
間に合わなければごめんなさいします。
応援よろしくです。がんばります。




