夕暮れに知る
「薄明の空に」
美しさだけで、心が震え涙を流したあの景色を忘れない。
優しい風がふきながら薄明の空に、私の心を映す。
大事なものはきっとその美しい景色に描かれているはずだと
探すように空を見つめ続ける。
時間は短く早い。
夜が訪れる。
探していた「何か」が夜に消え、
新しい季節の訪れを知る。
「茜さす君」
君が隣にいる。
君が僕を感じてくれている。
掌から伝わる愛おしさに僕の心が温まる。
真っ直ぐな道を歩いて、静かな時間に酔いしれる。
聞こえるのは僕と君の鼓動。
盗み見た君の横顔は美しく僕は言葉をこぼした。
「 」っと。
「夕映えに思う」
遠くに見える、街並みがオレンジに輝いて
どこか幻想的な景色を魅せる。
疲れ切った心と体は、ただ輝いているだけの景色に
涙を流した。
地面が見えなく遙か空の上にいる様な浮いた感覚に
酔っていた私をあのオレンジ色の輝きが覚ましてくれた。
命の輝きもあんな色なのだろうか?
そう一人で思いながら、一段ずつ階段を降りてった。