王妃様へ何かをしたい―7歳―
リド暦786年 八の月 二日
謝らなくていいよ、ミリー。僕も妊娠中の人に良いご飯は詳しくないからな。
僕が作るか。許可が出たのなら作ってみようかな。でも母上は僕が料理を作って喜んでくれるかな。
そうそう、旅行から帰って側近候補達と会ったよ。ドルゴラデーフが馬鹿なこと言っていたから本気出して叩きのめしちゃった。後悔はしていないけど、ミリーに仲よくするようにと言われてたのにごめんね。
ティモ
リド暦786年 八の月 五日
王妃様は喜ぶに決まっているでしょう!! ティモが一生懸命、王妃様のためを思って作るものなら喜んでくれるわよ。
ティモはもう少し我儘になっていいと思うわ。もちろん、周りが害を被るような我儘は駄目だと思うけど、ティモは聞き訳が良すぎるわよ。それはティモの良い所でもあるけれど、もっと我儘に、自分の意見を口にしていいのよ。
陛下だってティモが王妃様のために料理をしたいっていうなら許可をしてくれるはずだわ。
謝る必要はないわよ、ティモ。ティモがそれだけ怒ったってことは、ドルゴラデーフ様がティモを怒らせるようなことを言ったってことでしょう? 仲よくしてほしいと思うけど、無理強いをしたいわけじゃないわ。
ティモが仲良くできないっていうならそれでいいわ。というか、何を言われたの? ティモを傷つけるようなことを言ったっていうのなら私も加勢するわよ!!
そうそうこちらはお兄様が学園から帰ってきたわ。お兄様と沢山話したいってまとわりついたらお兄様は私に構ってくれたわ。本当に我が兄ながらイケメンよね。性格も良くて、最高と思ったわ。
ミリセント
リド暦786年 八の月 七日
そうかな。そうだといいけど。
ミリーも知っているように、今は僕は母上と父上と話しているけど、ミリーと婚約する前はそうでもなかったからね。でもとりあえず妊娠に良い食事を聞き込みと本で調べたから作ってみるよ。母上が喜んでくれなかったら、慰めてね。
もっと我儘でいいか。僕にそんなことを言うのはミリーだけだよ。ありがとう、ミリー。
何を言われたかは秘密。加勢もいらないよ。僕の方でどうにかするから。親に怒られたのかドルゴラデーフも謝りたそうにこちら見てるし。
良かったね。ミリーはフィガニードが本当に好きだね。
ティモ
リド暦786年 八の月 十一日
そうに決まっているわ。
そうね。昔はティモは確かにご両親と距離が遠かったかもしれないわ。でも今は昔より距離が近いでしょ。
それに昔は距離が遠かったとしても、王妃様も陛下もティモのことが大好きだわ。私と話す時もティモの話をしているもの。
そんなことはないと思うけど、その時は慰めるわ。いえ、そんなことになったら私も王妃様の元へ突撃するわ。
お兄様のことは大好きだわ。とってもかっこよくて、妹思いで、優しいもの。
というか、私も王妃様のためにクッションでも作ろうかしら。あと冷え対策のグッズに歩きやすい靴とか。料理は難しいけど、そちらならオーダーすればいけそうだわ!!
ミリセント
リド暦786年 八の月 十四日
父上から許可をもらって、料理長監修の元だけど料理を作ったよ。料理を自分でするのは初めてだったから難しさにびっくりした。いつも美味しい料理を作ってくれる料理長たちに感謝しかないよ。
お礼言ったら泣かれてびっくりした。正直、僕は、王城で働く皆に良く思われていないと思っていたから。子供らしくないと言われてたの知ってるしね。料理長と仲良くなれて嬉しくなった。
母上に簡単な料理だけど持っていったら泣かれた。びっくりした。嫌だったのかと思ったけど、嬉しくて泣いたって言ってた。僕も嬉しかった。
料理長と仲良くなれたのも、母上に喜んでもらえたのもミリーのおかげだね。ありがとう。
フィガニードがミリーを可愛がるように、僕も生まれてくる弟か妹を可愛がりたいって思うよ。
ミリーも何かくれるんだね。それがどんなものかは想像は出来ないけど、ミリーが自信満々に言うならきっと良いものだろうね。楽しみにしている。
ドルゴラデーフが謝ってきたから許したよ。
ティモ
リド暦786年 八の月 十九日
本当にティモは返信が早いわね!
上手く行ったようでよかった。私も自分のことのように嬉しいわ。
私のおかげではないわよ。全部、ティモが頑張った結果よ。王城で働いている皆様だってティモのことが大好きよ。きっと何かのきっかけで料理長と仲良くなれたように仲良くなれるわよ。
ティモはきっと良いお兄ちゃんになるわ。
ええ。王妃様のために全力をつくすわよ。まだ準備中だからっ出来たら送るわね。
仲直りしたのね。よかった。
喧嘩するより仲良い方がいいものね。
ミリセント
リド暦786年 八の月 二十一日
ミリーとの交換日記は楽しいからね。
そうなれたらいいな。確かに喧嘩するよりは仲が良い方がいいもんね。
あれから母上と父上が凄く僕に構ってくるよ。周りに人が居る時にもやられるのは恥ずかしいけど、母上と父上がにこにこしているからいいかという気持ちになった。
料理をするのが楽しくなってきて、料理長の元へ通っているよ。料理長以外の王宮料理人とも仲良くなれたよ。僕は筋がいいんだって。ミリーにも今度、作ってあげるね。
良い兄になれたらいいなと思うよ。
ティモ
リド暦786年 八の月 二十四日
私も楽しいわ。
良かった。王妃様と陛下とティモが仲良しで嬉しいわ。
料理が上達したのね。凄いわ。私は昔も今も料理はそんなにしていないから、料理が出来る男って憧れるわ。
ティモの作った料理、楽しみにしているわ。私も王城にお邪魔したら一緒に料理をしたいわ。
なれるに決まっているわよ。
もうすぐ今月も終わるわね。来月のティモの誕生日パーティーで会えるの楽しみにしているわ。
交換日記しているからいつもティモと会っているような気持ちになるけれど、実物のティモと話したいもの。
ミリセント
リド暦786年 八の月 二十七日
ミリーにそんな風に言われると僕はもっと料理を頑張ろうって思うよ。
ミリーに美味しいもの作りたいからもっと頑張るよ。そうだね。ミリーと一緒に料理をするのも楽しそうだね。
僕も来月楽しみにしている。誕生日は面倒なことも多いけど、ミリーが祝ってくれると思うと楽しみだよ。
そうだね。
いつもミリーが傍にいるような感覚になるね。僕もミリーと実際に会って沢山話をしたいよ。楽しみにしてる。
ティモ