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悪役令嬢と王子殿下の交換日記  作者: 池中織奈


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幕間:侍女③




「やっぱりティモは凄いわ。あれだけかっこよくて、あんなに優しくて……ティモが婚約者だなんて私は幸せだわ」

「ティモ殿下もきっと同じことを思っていますわ」

「ふふ、ありがとう。エドナ。そう言われるようにもっと頑張るわ」



 ミリセント様はそう言いながら嬉しそうに笑った。


 なんてかわいらしい笑みだろうか。ミリセント様は大きくなるにつれて、キリッとした目の美人への成長してきている。第一印象でミリセント様のことを冷たいと称する人はたまにいる。公爵令嬢としての姿を見せるミリセント様は、少しそういう風に見えたりする。



 だけど私の知るミリセント様はとてもかわいらしいお嬢様です。ティモ殿下の事が大好きで、日に日にティモ殿下への恋心を募らせていて、その様子を見るのが私は幸せでなりません。




 それにようやくカメラが普及されました。私はもちろん買いました。写真に撮っているのは当然ミリセント様です。ミリセント様に許可をもらい写真を撮っています。また撮った写真の中でも渾身の出来のものはご本人であるミリセント様経由でティモ殿下に献上しております。

 私がカメラでミリセント様ばかりとっていると、ミリセント様に自分も映ったらどうだと言われました。


 結果としてミリセント様に写真を撮っていただくことになり、何だか言われるままにポーズを決めて写真を撮られるのは恥ずかしかったです。





「エドナは、誰か好きな人いるの?」

「えっと、秘密です」

「まぁ、どなたかいるのね。言ってもよくなったら私に教えてね」



 ……私は好きな人がいますが、流石に主であるミリセント様に言うのは恥ずかしかったのです。もし仮にこの恋が実ったらミリセント様にお伝えしましょう。


 そういえばミリセント様とティモ殿下は、今後、魅了の魔法など不測の事態があった時の可能性を考えておられています。今のミリセント様とティモ殿下の様子を見ているとそういうことが起こることはないだろうと思うけれど万が一の可能性がある。



 私もミリセント様の侍女であるからこそ、周りから懐柔されないように気を付けなければならない。私に何かがあってミリセント様たちの足を引っ張るのは嫌だから。

 ……まぁ、ミリセント様たちは立場があるから私に何かあっても、取り乱すことはないだろう。けれど悲しみはするだろう。



 それが分かるからこそ私は周りとの付き合い方に気を付けている。




「今年はファッションショーに参加できるように体調を整えないと!」


 ミリセント様はそう言って張り切っている。

 去年、ミリセント様が体調不良になった時は私もはらはらした。大丈夫だろうかと心配になっていたから、ミリセント様が回復してくれてよかったと思ったものである。



 毎年行われているファッションショーでは、ミリセント様もティモ殿下も美しい衣服を身にまとい、素敵な姿を見せてくれる。私はファッションショーを見るのが好きだ。それに何より、美しい衣服を身にまとっている互いを見て、褒めあっているミリセント様とティモ殿下をみたり、仲良さげな二人を見るだけで私は幸せな気持ちになる。



 年々、ミリセント様とティモ殿下は仲がよくなっている。元々仲が良かったけれど、大人になるにつれて、益々仲が良くなっている。

 このままどんなふうに二人が仲良くなっていくのだろうかと、楽しみで仕方がありません。



 それにしてもまだ先ですが、ミリセント様とティモ殿下もあと数年も経てば学園に入学する。学園の寮に入寮する際に、是非とも私も連れて行ってもらいたいものだとミリセント様にはついていきたいというのをご本人にも当主様にも伝えてある。



 ミリセント様は学園生活に不安があるようだけれど、ティモ殿下はその不安を払拭すべく、行動に出ているとセッタ様から聞いた。

 ミリセント様が不安になることなど何もない……と思うけれど、ミリセント様の不安があるのならば私だってその不安を取り除くために行動をしましょう。



 私の大切なお嬢様――ミリセント様がティモ殿下と一緒に楽しそうな姿を見せてくれるというだけで、私にとっては幸せなのですから。



 それにミリセント様とティモ殿下の尊い関係をこんなに側で見れるのは私がミリセント様の侍女だからこそですから。





「エドナ、今日ティモがね」

「ティモからの交換日記にね」

「ティモの」



 それにしても本当にミリセント様は、ティモ殿下のことばかり語られている。それだけミリセント様の中で、ティモ殿下がしめる割合が多いのだろう。

 ミリセント様とティモ殿下は、公爵領と王都で離れた位置にいる。だけれども交換日記をしているというのもあり、その心の距離はとても近い。



 ミリセント様がティモ殿下を思っていることがわかる言葉を聞くのが私は好きだなぁと改めて思うのだった。




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