王城滞在から帰るまで―7歳―
リド暦786年 四の月 五日
ティモ、陛下が色々くれるのだけどどうするべき?
ミリセント
リド暦786年 四の月 五日
父上に話つけてきた。
ティモ
リド暦786年 四の月 五日
ティモ、陛下に何言ったの?
数時間前と違うのだけど。
ミリセント
リド暦786年 四の月 五日
注意しただけ。ミリーは僕の婚約者だし。
ミリーは気にしなくていいよ。父上は娘が出来たみたいではしゃいだだけだから。
ティモ
リド暦786年 四の月 五日
『なんで同じ場所にいるのに交換日記交換しているんですか』と侍女に突っ込まれたわ。
でもティモとこそこそ話したいこともあるものね!!
私とティモの仲良しアピールになるもの。
ミリセント
リド暦786年 四の月 五日
僕は楽しいから答えているだけだよ。ミリーが口で話したいなら交換日記渡してこなかったらいいよ。僕はすぐ返事するから。
口で喋るのも楽しいけれど、こういう文章は物として残るからね。大人になった時に見たら楽しいんじゃないかと思うんだ。
ティモ
リド暦786年 四の月 五日
ティモは返事がとてもはやいわよね。ティモがとてもやさしくて私は嬉しいわ!! 私も楽しいから書いちゃう。お喋りもするけど、これはこれで別よね。
そうね。大人になった時、ティモに捨てられてたらこのころ楽しかったなと見とくわ。
ミリセント
リド暦786年 四の月 五日
口でもいったけど、それはないからね? 捨てないよ。
というか仮にだよ、本当に僕とミリーの婚約が解消されるとして穏便に終わるだろうね。そんなことはありえないけど。幼いころからの婚約者を捨てるって僕、どれだけ非道に思われてるの?
僕の全力を持って王城にいる間、優しくしてあげる。僕がそんなことしないって思い知らせてあげるから。
ティモ
リド暦786年 四の月 八日
ティモ……、怒ってる? ごめんね、ティモのことを非道とか思ってないんだよ!!
ティモに優しくされるのは嬉しいけど、お姫様みたいな扱いされるの恥ずかしいの!!
ミリセント
リド暦786年 四の月 八日
ミリーは可愛いね。
僕は王子だし、僕の婚約者のミリーをお姫様扱いするのは当然でしょ?
それにしてもいい事しった。僕がこんな扱いすると恥ずかしくなって可愛くなるんだね。
ティモ
リド暦786年 四の月 八日
ティモ、ごめんね? 許して。
いつものティモのが私は好きよ。
ミリセント
リド暦786年 四の月 八日
お気に召さなかった?
ティモ
リド暦786年 四の月 八日
『たまにならいいのよ!! でも顔面偏差値が高くてドキドキするのよ!! いつものティモに戻りなさい!!』
そういうなら、たまににしとくよ。
ティモ
リド暦786年 四の月 八日
何で、交換日記に私の言葉を書いているの
ミリセント
リド暦786年 四の月 八日
可愛かったから記録しておこうかなと思ったから。
此処に書いておけばミリーが益々恥ずかしがりそうだし。
ティモ
リド暦786年 四の月 十日
王宮の薬草園が楽しかった。
お腹の不調の時にきくもの――ミガ草。
頭痛の時にきくもの――アッキ草。
ミリセント
リド暦786年 四の月 十日
薬草園が楽しかったのは良かったけど、何でメモしているの?
それに王妃教育外のことも学ぼうとするなんて勉強熱心だね。
ティモ
リド暦786年 四の月 十日
この前、ティモもメモみたいにしてたじゃない。だから私も記録したいことを書くメモにもするの。
こういう知識は×××(消した跡)何かあった時に役に立つもの
ミリセント
リド暦786年 四の月 十日
何を消したの?
ティモ
リド暦786年 四の月 十二日
ティモは気になったこと結構聞いてくるわよね。何を書いて消したのって、秘密よ!!
もう私は領地に戻るからまたね!!
領地でチョコレートが出来たら、食べさせてあげるからね!!
ミリセント
リド暦786年 四の月 十四日
まだ馬車の中かな?
いう気ないなら、聞くのは諦めるよ。
チョコレートを出来るの楽しみにしているよ。
父上がミリーが帰ったことで落ち込んでいてちょっと面白いよ。
ティモ
リド暦786年 四の月 十七日
本当に返事が早すぎじゃない?
まだ領地にはついていないわ。寄り道をしているの。お父様とお母様と一緒に観光をしているの。楽しいわ。
まだまだこの世界は私の知らない景色が沢山あるのだって思うと凄く楽しい気持ちになったわ。
ここで良いものを手に入れたわ!!
陛下が落ち込んでいるのね。陛下への手紙もつけるわ。
ミリセント
リド暦786年 四の月 十九日
観光しているんだね。楽しそうで何よりだよ。
僕もミリーと一緒にどこかを回ったりしてみたいな。王族だから難しい事は分かっているけど、今度頼むだけしてみる。
良いものってなんだろう? ミリーが喜んでいるなら何より。
父上はびっくりするぐらい喜んでいたよ。父上の返事もつけておくね。それに対する返事はいらないよ。
僕の方で面白い話というと、そうだね。僕たちが仲が良いって噂が王城で広まっているね。良いことだね。
ティモ
リド暦786年 四の月 二十一日
領地についたわ。帰ってきたという気分でいっぱいよ。
王族だから難しいとはいえ、ティモは子供なんだからもっと「どこかに行きたい!!」と言っていいわよ。私からも頼み込むわ。今度、一緒に行きましょう。
楽しみにしてて!
陛下への返事はいらないって、いいのかしら? でも一つ手紙はつけるからこれは渡しておいてほしいの。ティモは読まないでね。
まぁ、それは良いことだわ。私とティモは仲良しだものね。
私の方は馬車の移動の疲れもあって、ぐっすり眠ってしまったわ。もっと馬車の移動にもなれないとね。
ミリセント