表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/120

疫病③―8歳―


 リド暦787年 五の月 四日



 王城に行くための準備をしているわ。お母様は身籠っているというのもあってお留守番するのよ。

 私はキッドの事を思いっきりかわいがるわ。きっとティモに似て可愛いでしょうね。

 疫病の兆しが見つかったのね。それでどうにか出来るなら嬉しいと思うけど、疫病が本当に始まると思うと怖いわ。


 ミリセント



 リド暦787年 五の月 七日


 そうだね。馬車での移動は妊婦にはつらいからね。

 ミリーも王都に来る時は気を付けてね。我が国は治安が良好な方とはいえ、起こる時は問題も起きるからね。

 そうだね。疫病が広まっていくのは怖いことだよ。病魔と言うのは簡単に人を殺すから。けど、これから僕や父上が疫病を広めないために全力で動くから。

 ミリーのためにも国民のためにもね。その疫病の兆しが起こっている村には、医者にいってもらっているから。


 ティモ



 リド暦787年 五の月 十一日


 ええ。お父様が問題がないように、護衛をちゃんとつけてくれるから大丈夫よ。でも、気を付けるわ。

 ティモがそんな風に言ってくれると、疫病でもなんとかなるんだって気持ちになれるわ。

 今日から王都に向かうわよ。

 ティモに会えるの楽しみにしてる。



 ミリセント



 リド暦787年 五の月 十三日


 王都に向かってるんだね。気を付けて。

 僕もミリーに会えるの楽しみだよ。

 今日はキッドにこれからミリーがくるんだよっていっぱい話しかけたよ。

 母上も父上もミリーがくるの楽しみにしているよ。沢山、話そうね。

 紙芝居も少しずつ広めていくことになったよ。ミリーのこと、母上たちがほめてた。僕の誇りだよ、ミリーは。


 ティモ



 リド暦787年 五の月 十五日


 ええ。沢山話しましょう。

 私はティモに話したいことが沢山あるの。

 王都に向かう途中、外を見たら国民達が幸せそうに笑っていたわ。

 今笑っている人が苦しい目にあうのは嫌だからやっぱり疫病をどうにかしたいと思ったわ。


 ミリセント



 リド暦787年 五の月 十七日


 僕もミリーと沢山話したいよ。

 もうそろそろ王都に着くころかな?

 

 ティモ



 リド暦787年 五の月 十九日


 ティモが相変わらずの美少年で毎回ドキドキするわ。

 今日はキッドに会えてよかったわ。とてもかわいらしくて仕方がなかったわ。

 ティモの弟だと思うと、余計に可愛く思えたわ。大事なティモの弟だから。ティモもちゃんとお兄ちゃんやっていて、ティモの違う一面見れて嬉しかった。

 あと疫病の話は今日は出来なかったから、時間を見つけてしましょう。でも傍仕えがいる中で突然疫病の話を色々したら変な子だって思われるかしら。

 ティモは私が変なことを言っていても受け入れてくれているけれど、他の人はそうもきっといかないもの。


 ミリセント


 リド暦787年 五の月 十九日


 ミリーがキッドを可愛がってくれて嬉しいよ。

 弟を可愛がる自分なんて想像が出来なかったけど、今は本当にキッドが可愛いと思ってるんだ。

 ミリーはまた不安になってるんだね。最低限人を減らしてセッダとミリーの所の侍女のエドナぐらいにして話したらいいんじゃないかな。

 セッダやエドナはミリーのそんな一面を知っても何も気にしないと思うよ。セッダは僕がミリーを大切にしているの知っているから余計な事はしないし、エドナはミリーを本当に大切に思っているんだから。

 二人の前でそういう事を言いたくないっていうなら幾らでも交換日記に書けばいいよ。


 ティモ


 リド暦787年 五の月 十九日


 そうね。セッダもエドナも気にしないかもしれないわ。

 でも一応、なるべく私の変な部分を出すのはティモにだけにしておくわ。

 疫病対策の話をただする分には、問題ないと思うから沢山話しましょう。

 それにしてもすっかり王城の人たちは私とティモが同じ場所にいて交換日記しているのも当たり前のように受け入れるようになったわね。


 ミリセント



 リド暦787年 五の月 二十三日


 ここ数日でミリーと疫病のことで沢山話せてよかったよ。

 ミリーの考え方は独特だよね。ミリーらしいと言えるけど。

 ところで今日言い渋っていたことはなんだったの?


 ティモ


 リド暦787年 五の月 二十三日


 私もティモと沢山話せてよかった。

 ティモはやっぱり凄いわと思ったの。

 言い渋ってた事……なんというか、また思い出したことがあったの。

 疫病で両親を亡くした子がいずれ国を憎むことがあるの。突然こんなことを言ってティモを混乱させるかもしれないけど。そういうことがあるの。

 疫病を早い段階でどうにかする事が出来たらそういう悲しい未来も防げるのかなって思ったの。


 ミリセント



 リド暦787年 五の月 二十三日


 ミリーは相変わらず未来を知っているみたいな発言するね。

 ミリーの言う事だから信じるけど。

 そういうこともあるかもしれないね。国民たちにとって、この国が揺らげば揺らぐほどそれは国や王族のせいになる。そういう風に思う国民は結構いるよ。

 歴史書をよんでいると国民が反乱を起こして滅んだ国はあるしね。そういうのを無くすためにも疫病のことをどうにかしたいね。これからそのためにも行動出来たらって思うよ。


 ティモ



 リド暦787年 五の月 二十三日


 ティモは本当に八歳と思えないぐらい冷静よね。

 ティモがそれだけ冷静でいてくれるから私も落ち着けるのだけど。

 そうね。まだ起こっていないことだからやろうと思えばどうにでも出来るわ。

 きっと私は彼を救うわ!


 ミリセント



 リド暦787年 五の月 二十三日


 彼って事は男?


 ティモ



 リド暦787年 五の月 二十五日


 ……ティモ、確かに私は彼を救いたいとは思っているけど、恋愛感情とかそういうのはないからね!

 だからそんなに私に引っ付かなくていいのよ?

 べったりで仲良しねと言われるのは私は嬉しいけれど。

 それに私は昔からティモが一番だもの。


 ミリセント



 リド暦787年 五の月 二十八日


 ごめんね。ミリー。凄くミリーに張り付いちゃって。

 何だかあったこともないその子がミリーに「救う」なんて思われて、ミリーの心を占めていると思うと何とも言えない気持ちになったんだよね。


 ティモ



 リド暦787年 五の月 二十八日


 いいのよ、全然。

 ティモをそんな気持ちにさせてごめんね。私はティモとずっと一緒にいるから安心して。

 来月には疫病の兆しのあった村に行っている医者が帰ってくるのでしょう? 何か発見があったかどうか教えてね。

 それじゃあ、またね。ティモ。








 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ