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疫病①―8歳―

 リド暦787年 三の月 二日


 本当にありがとう、ティモ。

 貴方が動いてくれるというそれが分かるだけで、私はとても安心しているの。

 ティモが動いていてくれているから、私はこれだけ落ち着けているわ。

 あと、お母様への医者は増やしてもらうことになったわ。これで少しは疫病が起こった時にお母様が亡くなる事がないかなと思うわ。

 でも、この世に絶対はないもの。どうなるかってとても不安だわ。

 あとは領地全体としてもそういうものに備えなければならないわね。私に出来ることって何かしら?


 ミリセント



 リド暦787年 三の月 五日


 ミリーが安心してくれるなら良かった。

 僕に何が出来るか分からないけど、国のためにもミリーのためにも、どうにか出来るように僕は頑張るよ。

 公爵夫人への医者が増えたのなら良かった。医者が多いことに越したことはないからね。

 ミリーに何が出来るかか、そうだね。炊き出しの準備をしたりとか、医療機関に働きかけるとか、色々あるとは思うけど……ミリーには危険なことはしてほしくないんだよね。ただ僕やミリーが少しでも何か行っていたら、それだけでも民にとっては良い影響は与えられると思う。

 でも焦りは禁物だからね。何かやりたい場合は、公爵や僕とかに相談して。一人で決めたら駄目だからね。出来ることから少しずつやればいいと思う。

 僕も疫病が起こるかもって事態に遭遇するのは初めてだから、考えてやらなきゃならないし。この国で疫病が流行るなんてしばらくなかったしね。


 ティモ



 リド暦787年 三の月 八日


 ええ。ありがとう、ティモ。

 私は色々考えるわ。私が何を出来るか。

 まとめたらティモに送るから。ちょっとお父様やお母様と相談しながら考えてみるわ。


 ミリセント



 リド暦787年 三の月 十一日


 そうだね。そうしたらいいと思う。僕も父上に意見を色々出しているよ。

 弟のキッドと今日は遊んだよ。小さいと日に日に成長するんだなって不思議だよ。疫病だとこういう小さな子供や、年配の人たちから亡くなるだろうから、改めてどうにかしたいと思ったよ。

 何か僕の思いつかない発想がないかなと思って、側近候補たちに意見を求めたけど三人とも何も意見を出せないようだった。エイブルガンは真面目に考えてはいたけど、他二人はあまりそういうの考えるの苦手みたいだった。相変わらず僕に剣と魔法の勝負を挑んでくるんだよね。

 

 ティモ



 リド暦787年 三の月 十四日


 そうよね。小さい子は特に元からか弱い存在だから余計に気を付けなければならないわ。

 特に貧しい人達ほどそういう傾向にあるかもしれないわね。貧しい民たちだと、医者にかかることも出来ないだろうから、医者の派遣などのもやった方がいいわよね。

 それは仕方ないわよ。というか、相変わらずお二人とも剣と魔法をティモに挑むのね。私も魔法とか、ティモに並べるように頑張らないと。

 色々纏めてみたから見てもらっていい?

 あと疫病のことばかりに集中して、王太子妃としての教育を怠るわけにはいかないからそちらも手を抜かないように気を引き締めるわ。


 ミリセント



 リド暦787年 三の月 十八日


 ミリーがまとめてくれたの、見たよ。内容も問題なかったから、文官たちと改めて相談してまとめ直して父上にも話しておいたよ。

 手洗いうがいが大事ね……とりあえずまずこれに関しては王城で実践してみるよ。何事も統計をとることは大事だからね。

 それはそうだよね。ミリーは王太子妃教育が忙しい場合は、疫病のことは国に任せてもらっていいよ。それで行動して、ミリーが倒れたら大変だから。僕も自分の体調管理をしながらやるよ。

 あと絵本とかの売り上げも送るから。公爵にも手紙でどのくらいの売り上げになったかなどの報告はしておくよ。


 ティモ



 リド暦787年 三の月 二十五日


 返事が遅くなってごめん。

 ちょっとティモの書いた文章を見て、絵本を作ってみようと熱中していたわ。病気の予防に関する絵本よ。即興で話と絵を作ってみたのだけどどうかしら?

 よければ、こういうのを量産して広めたらって思うのだけど。

 私は私に出来ることをやるわ。魔法や王太子妃としての勉強も一生懸命やっているわ。今度、会えた時にティモにどれだけ勉強したか報告するわ。



 ミリセント



 リド暦787年 三の月 二十七日


 返事が来ないから、何かやってるんだろうなとは思っていたよ。

 絵本を読んだよ。とても分かりやすくていいと思う。辺境だと識字率も低いけど、これは絵だけでも十分伝わるし、いいと思う。

 辺境の村にはそうだね、絵だけの物語を伝えるといいのかもと感じたよ。

 僕も王太子として出来る限りのことをするよ。

 そうそう、色々情報を集めてみたのだけど、隣国の方でも疫病が流行っている地域があるみたいだね。ミリーが言っていた東の地域は、その隣国と隣接しているからもしかしたら隣国から疫病が流れてきたのかもしれない。

 国境付近で入国する人たちが疫病にかかってないか、なども検査したほうがいいのかなって。そのあたりも父上に意見は出してみるよ。



 ティモ




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[一言] ミリーのママンが生き延びる未来になりますように…!
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