学園で努力するヒロイン―17歳―
リド歴796年 十一の月 一日
ツェーガン伯爵令嬢へ近づく者達だけど、数が多いね。こんなにもヒロインという立場だからといって様々な接触を受けていて大変そうだ。
学園の学生に対して、外部から近づくなんてよろしくない。
それに関係のない一般生徒によからぬことを吹き込むような者もいるし、騎士達も対応するのが大変そうだ。私達が卒業した後も同じような外部の人間が居ると困るな。
ティモ
リド歴796年 十一の月 四日
ヒロインというのはそれだけ特別なものなのよ。特に乙女ゲームのことを知っている人達からしてみるとね。ツェーガン伯爵令嬢は、自分のことを特別視する人たちのことを凄く嫌がっているみたいだけどね。
考えてみると勝手に特別な存在だと思われて、自分の人生を滅茶苦茶にしている人達に対して良い感情を抱くわけないわよね。
自分が狙われているからこそ、自分の身は自分で守れるようになりたいと一生懸命みたいで応援したくなるわ。クラスメイト達の進路も様々みたいね。
私とティモのように卒業後の進路が最初から決まっている生徒も居れば、きちんと自分で進路を決めた生徒も居る。進路が決まっていない生徒に関しては心配だけど、全員素晴らしいことね。
ミリセント
リド歴796年 十一の月 七日
立場とか、肩書で特別扱いされるのは嫌だと私も思う。私も王太子という立場だからこそ、それで近づいてくる人は幾らでもいるから、気持ちはわかる。王太子という肩書は私の一部だから、その立場で居ることを嫌とは思わないけれど、それぞれに色んな悩みがあるんだろうし。
ただ自分で選んだり納得したりしている肩書じゃないもので色々言われるのは嫌だろうけれど。
婚活や花嫁修業をする女子生徒もそれなりに居るよね。家を継がない男子生徒だと就職先を決めたり、婿養子になったりもするし。学園卒業したら会話を交わすことも無くなる人も多いだろうけれど、学生時代に築いた人間関係はなるべく大事にしていきたいな。
ティモ
リド歴796年 十一の月 十二日
王太子という立場も含めてティモだものね。それに私も、公爵令嬢や王太子の婚約者って立場も含めて私。ティモのそう言う考え方、素敵だと思うわ。
学園で出会った様々な人達との出会いって、後々に役立てられると思うわ。もちろん、打算だけで仲良くしたわけではないけれど、互いに良い影響を与えられるならそれに越したことはないわよね。
ツェーガン伯爵令嬢は、誰かと恋をしようとかそういうことを考えていないみたい。これまで乙女ゲームのヒロインだからと色んなことに巻き込まれていたから当然のことなのかもしれないわ。
ミリセント
リド歴796年 十一の月 十三日
ミリーは根本的にはいつも前向きだよね。不安を口にしていることもあるけれど、人のことを悪く言ったりなんかはしないし。
ミリーはしたたかな面も含めて、魅力的だよ。それに私と違って他人のことを沢山気に掛けていて優しいと思う。私はそこまで気にならないから。
ミリーと接している私は愛情深いと言われるし、基本的には優しいと言われがちだけど親しくなった人からはそこまで優しくないって私は言われるからなぁ。
ティモ
リド歴796年 十一の月 十七日
ティモだって自分が思っているよりもずっと優しいわよ。確かに容赦のない一面があることは知っているけれど、ティモは人を大切に出来る人だわ。
王族だと優しいだけでも居られないから、そのあたりも難しいわよね。私だって出来る限りは人に優しくしたいなとは思っているけれど、全員に嫌われずに生きて行くことってきっと難しいもの。
王と王妃として生きるならば冷酷な判断もしなければならない時もきっとある。その時にちゃんと出来るかは少し不安ね。今もそうだけど、王と王妃という立場になったら更に人の人生を預かることになるもの。取り返しのつかない失敗はしないように注意を払いながら政策は進めないと。
ミリセント
リド歴796年 十一の月 二十日
今日はお疲れ様、ミリー。文官や騎士達が学園にきて少しバタバタしていただろうけれど、そつなく対応をこなしていて流石ミリーだと思ったよ。堂々としたミリーの様子を見て、生徒達も憧れの視線を向けていたよ。
ミリーは結婚が近づいているのもあって色々考えてしまっているんだなというのが分かるよ。私だって王位を継ぐことに不安はある。その不安も含めてちゃんと二人で話し合いしようね。
ティモ
リド歴796年 十一の月 二十三日
今日は一日、時間を取ってくれてありがとう。ティモはいつだって私の不安を取り除こうとしてくれているわね。
私もやっぱり何だかんだ乙女ゲームとか、前世の記憶とかに無意識にとらわれてしまっている部分はあるのかもしれないわ。あとはマリッジブルーも少しはあるのかも。楽しみだけど心配していることもあるから、ティモと話すとほっとするの。
ミリセント
リド歴796年 十一の月 二十七日
結婚って大きな人生の節目だからね。私も楽しみの方が大きいけれど、色んな事に対する不安がないわけではないよ。
でもミリーと一緒だから、大丈夫だって思っているんだよ。
ティモ




