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思い出したこと―8歳―

 リド暦787年 二の月 三日


 ティモ、落ち着いて聞いてね。そして私のことを頭がおかしくなったなんて思わないでね。

 あのね、これから疫病が流行ることを思い出したの。……頭おかしくなったって本当に思わないでね?

 理由は上手く説明出来ないけど、私は知っているの。その疫病で多くの人が亡くなるわ。お母様もその病に倒れてしまうの。そしてその後、ミリセント・アグエッドスは悪役令嬢の道を歩むことになるの!!

 おかしいと思っていたのよ。お母様という素晴らしい存在がいるにも関わらずそんなことになるんて。ああ、でもどうしましょう!! 折角お母様のお腹に新しい命が宿っているのに。


 ミリセント



 リド暦787年 二の月 五日


 ミリーが一番落ち着いて。

 頭がおかしくなったとは思わないよ。ミリーが未来のことを語ることは不思議だと思うけれど、僕はミリーが本気で言っていること、文章を見ればわかるよ。

 他の誰かが言うのなら僕は信じないけど、ミリーが言う言葉なら僕は信じる。

 公爵夫人も亡くなるっていうのは、大事だね。それに疫病が流行って多くの国民が亡くなるのも僕は阻止したい。

 ミリーが知っていること、僕に話してくれる? 

 ミリー、大丈夫だよ。公爵夫人を亡くならせないように僕はする。絶対はないから絶対は言えないけど、僕は出来るだけやる。悪役令嬢が何かは分からないけど、ミリーはそんな悪役なんて存在にはならないよ。


 ティモ


 リド暦787年 二の月 七日


 私の事を信じてくれるって言ってくれてありがとう。ティモ。

 交換日記送ったあと、凄く支離滅裂な話をした気がしてティモに変だって言われるかって思ったの。でもティモがそう言ってくれたの読んで、私思わず嬉しくて泣いちゃった。

 でもティモ、私の言う事全て信じるっていうのは怖いからやめて。私が悪いことをティモに教えたらどうするの!!

 知っていること……っていってもそうはないわ。

 確か国の東の地域で疫病が始まって、気づいた時には手遅れで……確かお母様がミリセント・アグエッドスが八歳の夏に亡くなるの。

 私が知っているのって本当にそれだけなの……。ゲームでそんなに情報出てなかったの。私には分からないの。どうしよう、ティモ!!


 ミリセント


 

 リド暦787年 二の月 十日


 ミリーは僕に悪い事なんて言わないでしょ? 大丈夫、ちゃんと知っているから、ミリーを信じているんだよ。

 なるほど、ありがとう。それだけでも分かれば、何とかする。僕も公爵夫人が亡くなるのは嫌だし、それでミリーが悲しむのも嫌だから。それに国民達が苦しむことも避けたい。

 なら、なんとかするから。

 だからミリーはそんなに不安にならなくていいよ。ゲームが何かは分からないけど、そんなに焦らないで大丈夫。僕が全力をつくすから。


 ティモ



 リド暦787年 二の月 十三日


 本当にごめんね、ティモ。

 こんなこと急にいって、それで全然情報何て知らなくて。

 そしてこんなに取り乱して。


 ミリセント



 リド暦787年 二の月 十七日


 大丈夫だよ。寧ろ僕はミリーが僕にそういう取り乱した姿をちゃんと見せてくれることが嬉しいから。

 ミリーが不安なことをちゃんと僕に相談してくれることが嬉しいんだ。もちろん、疫病は嫌な情報ではあるけど、それでもまだ起こっていないなら行動することは出来るから。

 ミリーは落ち着いて。

 父上にも疫病の兆しがあるかもしれないって言ってちゃんと調べてもらうよ。即急に対応出来れば、なんとかなるかもしれない。僕の言葉なら、ちゃんと父上は聞いてくれるはずだから。


 ティモ



 リド暦787年 二の月 二十日


 ありがとう。ティモ。これで取り越し苦労だったらごめんなさい。

 私がこんな子供じゃなければ、もっと動けたら、実際に疫病が起こる地域を調べたりも出来たかもしれないのに。


 ミリセント


 リド暦787年 二の月 二十三日


 起こらなかったら起こらなかったで問題はないよ。それはよいことだからね。

 もし事前に起こるかもと行動して、それが結局起こらなかったとしても、何も無駄にはならないから。

 あとミリー、焦っているからとはいえ、滅多なことはしないでね。例えもっと大人になっていても疫病が起こるかもしれないなんて場所にいったらだめだよ。心配させないで。

 ちゃんと国として調べるから。それと公爵夫人には本当に体調に気を付けるようにしてもらった方がいいと思う。


 ティモ



 リド暦787年 二の月 二十六日


 そうね。取り乱し過ぎたわ。

 慌てるのは禁物だわね。私は公爵令嬢だものね。勝手に疫病のためにとかいって行動する訳にもいかないわね……。ティモに言われて冷静になれたわ。ちゃんと考えて行動しないと。

 ええ。もちろんだわ。お母様のことはちゃんと気を付けるようにするわ。妊娠中なのもあってお父様が心配してお医者様を呼んでいるの。滞在してもらうことになっているけれど、もう少し医者を増やせないかとかもお父様に交渉してみるわ。

 ティモ、ありがとう。


 ミリセント



 リド暦787年 二の月 二十九日


 ミリーが落ち着いてくれたなら良かった。

 公爵夫人には医者がついているんだね。それならまだ安心かも。そうだね、増やした方がもしもの可能性があった時にやりようがあるよ。

 父上が国として行動を起こしてくれるって。あとは僕の方でも医者を集めて色々動こうと思う。だからミリーは安心して。


 ティモ




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― 新着の感想 ―
[一言] ミリーが悪役令嬢コースを回避できますように! そのためには、ご母堂と新たな命には無事でいてもらわんと…。
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