ホワイトデーを二人で過ごす―16歳―
リド歴795年 三の月 四日
ミリーはいつも嬉しいことを言ってくれるよね。私は交換日記を読み返すのが好きだよ。だってそこに書かれている言葉はいつだってミリーからの愛情にあふれているから。
人前ではミリーは取り繕っていたりするから、交換日記をしていなかったらミリーの本音がなかなか分からなかったと思う。
だからミリーと交換日記が出来て良かったなと改めて感じたよ。
私はさ、ミリーが居ない未来なんて想像が出来ない。何があってもどうにか出来るように、対応を進めているよ。
ティモ
リド歴795年 三の月 七日
私も交換日記を読み返すのが好きだわ。なんだろう、何か不安になった時、一番良いのはあなたと直接話すことだわ。それでもそれが難しい時はあるでしょう? その時に交換日記を読むとティモのことがすぐ近くで感じられるから。
そもそも私は交換日記をしなかったら、ティモとこんなに仲が良い婚約者になれなかっただろうなとそう想像をしてしまったの。そんなあったかもしれない未来を考えると、私は交換日記をしたいと口にして良かったなとそう思うわ。
制度を整えるために大人たちの前で説明をしにいくことになったわ。見知った人たちの前で説明をするよりもずっと緊張するわ。だけど私頑張るわ。あなたの未来の妃として、立派にやり遂げてみせる。
ミリセント
リド歴795年 三の月 十一日
ミリーが不安な時にずっと隣に居られたらいいのにな。立場とかがあるから、ずっと一緒にいるのが難しいのがもどかしいね。全ての責務を放り投げてもいいなら別だけど、そんなことは出来ないし。でもミリーが私との交換日記をそれだけ大切にしてくれているのが嬉しい。
そうだね。ミリーが交換日記を初めてくれなかったら互いの本音が分からずもっとすれ違っていたかも。ミリーは照れて思っていることを言えない時もあるもんね。二人っきりの時はいつも素直だけど。そういうミリーも可愛いなって思うけれど。
ティモ
リド歴795年 三の月 十四日
ホワイトデーを一日、一緒に過ごしてくれてありがとう。ティモが忙しいのに私のためにっていつも時間を作ってくれていると、それだけで嬉しい。
それにやっぱり学園に通い出してからのホワイトデーは今までとまた違う雰囲気ね。周りに人が居ない状況で、二人でゆっくり過ごせる日々ってやっぱり大事だと思うの。
卒業後はこんな風に過ごす時間が減ってしまうかもしれないけれど、出来る限り時間を作るようにしたいわ。
あとはもちろん、今も大事にしなければならないけれど。
毎年ホワイトデーをもらっているけれど、本当に幸せな気持ちでいっぱいだわ。これから進めなければならないこととか、乙女ゲームのこととか心配にはなるけれど頑張るわ。
ミリセント
リド歴795年 三の月 十八日
今日は学園の男子生徒から、婚約者と仲良くなる秘訣を聞かれたよ。私とミリーがお忍びで出かけているのを目撃したらしいよ。可愛いミリーの記憶は無くすようにって言っておいた。
私の傍にいるミリーは可愛い顔をしていることが多いからね。
――殿下はそんな性格なんですね。
なんて驚かれたけれど、私は昔からこうなのにとは思ったよ。
ただ仲良くなれそうなんだ。
ティモ
リド歴795年 三の月 二十一日
ティモは今日も友人になった方と一緒にいたわね。ティモに仲良しな方が出来るのは嬉しいわ。
ただ私のこともあまり放っておかないでね? 私はティモと過ごす時間が減るのは嫌だから。
ミリセント
リド歴795年 三の月 二十三日
本当に可愛い。
今日改めてミリーの可愛さを実感したよ。いつでもミリーは可愛くて、私のことを夢中にさせてい仕方がないけれど、年々その魅力を増すよね。早く結婚したいなっていつも思っているよ。美人で可愛くて、一生懸命な私のミリーが婚約者であることが嬉しい。
それと来月、女子生徒が新しくやってくるって。彼女がヒロインかもね?
ティモ
リド歴795年 三の月 二十五日
本当にヒロインがやってくるんだなって妙に心配してしまうわ。
ティモが私から離れることはなくて、私のことを大切にしてくれていることは分かっているの。愛されているんだって。だから大丈夫だとは思うのだけれど、私と同じく乙女ゲームを知っている人達の暗躍もあるから……その辺は気をつけたいわ。
前々から話している反乱の芽も同時に動き出す可能性もあるし。
一緒に解決していかないといけないわ。対策は重ねているけれど……どうかしらね。
ミリセント
リド歴795年 三の月 二十八日
ヒロインらしき子の情報は集めているけれど、不自然に集まらないね。誰かが情報を抜き取られないように動いているのかもしれない。
ただの女の子にそんなことが行われているのがまず異常だから、何かはありそう。
もちろん、背景は調べないといけないけれど。
ミリーはヒロインや乙女ゲーム関連の事が気になるだろうけれど、無茶はしないでね。
ティモ




