新年と、家族との会話―15歳―
リド歴794年 一の月 一日
あけましておめでとう、ミリー。
直接口にできないことだけが残念だよ。ただ今年から学園だから、ミリーの姿を見つめられると思うと楽しみだよ。
ティモ
リド歴794年 一の月 四日
あけましておめでとう、ティモ。今年もよろしくね。
私もティモの姿を毎日のように見られるようになるなんて嬉しいわ。学園の休日の時も、出来る限り私と一緒に居てくれると嬉しいの。
恋人気分を味わいたいって私の我儘に付き合ってくれたら……と思うわ。
ミリセント
リド歴794年 一の月 七日
本当に僕のミリーは可愛いね? 学園に入学している間は王太子としての公務は少し減らしてもらえる予定ではあるから、何が何でも僕はミリーと一緒にいる時間を作るよ。
僕にとってはミリー以上に優先する存在なんていないんだから。恋人気分を味わいたいという、可愛い婚約者の望みを僕が叶えないわけがないんだよ。僕だってミリーといちゃいちゃしたい。
ティモ
リド歴794年 一の月 十日
ティモが私のために時間を作ってくれるかと思うと本当に嬉しいわ。
私ね、前世も含めてあんまりそう言う青春ってしてなかったの。誰かと恋人になって、お出かけしたり、学園生活を謳歌したり……そういうものへの憧れは少なからずあるわ。だからね、他でもない大好きなティモと一緒にそれが経験出来るかと思うと今から楽しみで仕方がないわ。
他でもないティモとだから、そんなことを味わえるかと思うと嬉しいの。私ね、学園で恋人たちがどんなふうに過ごしているかも調査しているの。
乙女ゲームの期間がこれから始まるから不安なことも多いけれども……ついつち楽しみで仕方がないのよ。自分でももっとまじめに備えなければと分かっているのに、駄目ね。
ミリセント
リド歴794年 一の月 十三日
僕もミリーが一緒に学園生活を謳歌したいからって調べてくれるのが嬉しいよ。僕もミリーとだからこそ、学園生活が楽しみなんだ。
例えば君以外が僕の婚約者だったなら、僕はこんなにも学園生活を心待ちにしなかったよ。というかそれ以前にこんなに毎日が楽しいのも全てミリーのおかげなんだ。
ミリーは僕のおかげで不安なく過ごせてるって言うけれど、ミリーだって僕に沢山のものをくれているんだよ。
僕は君の前世を知らないのが一番残念に思うんだ。僕の知らないミリーが誰と仲良くしていたんだろうって考えると凄くモヤモヤした気持ちになったりもする。過去も含めて、ミリーを一番知っているのは僕がいい。
不安な時でも目の前のことを楽しむのは良いことだよ。そもそも乙女ゲームのことは僕がちゃんと調べているし、何かあったとしても絶対になんとかするから。
ティモ
リド歴794年 一の月 十六日
ティモは聞きたい言葉をいつだって投げかけてくれるわね。口にしたものだと、記憶にしか残らないけれどティモは交換日記にも残してくれるから何度も読み返せて、その度に嬉しくなるの。
だってこれはティモが私を大切にしてくれている証だから。私だってあなたが居なきゃこんなにも充実した日々は送れなかったわ。ティモが居るから、私が居るんだから。
前世は本当に普通に生きていただけよ? それにティモには前世の話も幾らでもしているでしょう。私は前世も含めて一番仲良しなのはティモだわ。
ティモがなんとかすると言ってくれると、本当になんだって大丈夫な気がするわね。
学園に入学するのは四の月だけど、家族が凄く寂しがっているの。これまで短期間領地を離れることはあったけれど、学園に入学するとなると長期だもの。それに卒業後はすぐにティモと結婚することになっているから、両親も、ユージョンも寂しがっているの。
ミリセント
リド歴794年 一の月 十九日
僕もミリーが交換日記に書いてくれた、僕に向けた言葉をよく見返すよ。いつだってミリーは僕を喜ばせてくれているんだなってそう思うよ。
実際に会うミリーも僕と二人っきりの時は素直だけど、一番交換日記の中が素直だよね。やっぱり顔を合わせてなくて、文字として書くと本音をちゃんと書いてくれているのかな。
毎回、ミリーと交換日記を交わした後は君にすぐ会いたくなるんだよ。結婚したいって、何度も口にして父上と母上には呆れられているよ。
そうだよね。ミリーは僕の元へ嫁ぐから、家族とは離れてしまうもんね。卒業前にちゃんと「ミリーを僕に下さい」って挨拶しに行こうかな。僕がどれだけミリーを大切にしているかちゃんと報告した方が安心してもらえるだろうし。
ティモ
リド歴794年 一の月 二十二日
そうね。交換日記だと自然と本音が何でもかけているわ。元々ティモと仲良くなって破滅フラグを防がなきゃと思っていたけれど、想像以上の効果があったと思うの。
ティモと交換日記をしてなかったらここまで仲良くなれなかった気もするわ。
私だってそうよ。ティモと結婚した時のことをよく思い浮かべているの。……結婚したらどんなティモを見れるんだろうって、想像しただけでドキドキするわ。
もうっ、お母様とお父様はちゃんとあなたが私を大切にしていることを知っているわよ。
二人ともティモと一緒だから学園生活も問題ないだろうって言っていたわ。私はね、いつも家族にティモの話をするの。だから皆、安心してくれているのよ。
ミリセント
リド歴794年 一の月 二十六日
そうだね。交換日記がなければ僕はこんなにミリーの気持ちを知ることが出来なかっただろうね。
でもそうだったとしても僕はミリーのことを大切で、大好きだったと思うけれどね。
恥ずかしい話だけど、僕もミリーとの結婚生活をよく想像しているよ。ミリーが嫁いでくる時に向けて、ちゃんと整えなきゃなぁって改めて思っているんだ。
ミリーを正妃に沿えた上で側室を取らせたいって動きがいまだにあるらしいから、徹底的に卒業までにどうにかしとく。
僕の気持ちをアグエッドス公爵夫妻が知っていたとしてもだよ。ちゃんと僕はミリーを下さいって言いたい。
ティモ
リド歴794年 一の月 二十九日
二人して結婚した後のことを想像しているのって、とても幸せなことよね。
ティモはとても素敵で、それでいて王太子だもの、あなたと恋仲になりたい人はきっとこれからも居なくはならないと思う。だけど、私はこの座を誰にも渡すつもりはないのよ。私に出来ることがあったら言ってね。私だって、私達の将来のために動きたいわ。
お母様とお父様にティモのこと言ったら、嬉しそうにしていたわ。最近ね、学園入学前だからより一層家族と一緒に過ごして、話すようにしているの。お父様達も時間を作ってくれていて、楽しいわ。
ミリセント