表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢と王子殿下の交換日記  作者: 池中織奈


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/122

交換日記の始まり―7歳―

 リド暦786年 二の月 四日


 ごきげんよう。ティモ殿下。

 この度は、交換日記をすることを了承していただきありがとうございます。

 また先日のパーティーで倒れてしまい、ご迷惑をかけてしまい申し訳ありませんでした。

 さて、交換日記ということで私の近状をかきましょう。あの後、倒れてしまったということでお父様からしばらく外出禁止令を出されてしまいました。とても退屈です。


 ミリセント




 リド暦786年 二の月 七日


 こんばんは、ミリー。

 急にどうしたの? その口調。王族の僕相手だからってそこまでかしこまらなくていいよ。

 どうせこの日記は僕しか見ないから。そんな他人行儀な態度だと嫌なんだけど。

 あと倒れたんだから公爵の言う通り大人しくするように。ミリーに何かあったら困るから。それに倒れた時に何処の言葉か分からない言葉を言っていたよ。本当に無理はしないように。

 退屈だっていうのならばこれをあげよう。これで退屈をしのぎなよ。

 あと何を書けばいいんだっけ。僕の近状? 僕は相変わらず王太子教育を受けているよ。


 ティモ




 リド暦786年 二の月 十二日


 私はこれまでの行いを反省したのです。ティモ殿下に対して、婚約者だからとなれなれしくしすぎたのではないかと。

 ティモ殿下は優しいから気安い口調で良いと言ってくださいますが、いずれ貴方は私が増長して横暴な態度を取って、私を嫌うようになるのです。その防止のためなのです。

 それと返事がはやすぎませんか? 幾らティモ殿下の使い魔が優秀とはいえ、アグエッドスの領地と王都はそれなりに離れているでしょう? 返事が早くてとても驚きました。

 ティモ殿下の使い魔のモアはとても美しい鳥なのですから、ストレスで禿げさせたりとかしないようにしてくださいませ。

 それと本をありがとうございます。ティモ殿下のお勧めしてくださる本はとても面白いです。これで退屈をしのいでいます。

 まだお父様が外に出してくれません。



 ミリセント



 リド暦786年 二の月 十四日


 本当にどうしたの? 変なものでも食べた? そういう他人行儀な態度嫌だなって書いたよね?

 それに増長して横暴になって僕がミリーを嫌うって、どんな妄想なの? それが分かっているなら横暴にならなきゃいいだけじゃない?

 何を気にしているのかと思うのだけど、知っての通りモアは僕の使い魔で魔法生物だから、ストレスで禿げるなんてことはないよ。その文を読んでセッタと共に爆笑しちゃったよ。本当にミリーは昔から面白いね。

 本を気に入ってくれたなら良かった。まだ退屈なら色々送ってあげるね。

 公爵がまだ外出許可を出さないということは、まだ体調が万全じゃないんだね? 大人しく家で休んでおいて。

 僕の方は相変わらずこれと言ったこともなく、いつも通りの日々だよ。



 P.S このまま他人行儀な態度をするなら僕にも考えがあるよ?



 ティモ




 リド暦786年 二の月 十九日


 ティモが怖いので以前の態度に戻す。本当に私が未来で横暴になって、人を見下して、身分を振りかざして人を虐めぬくような子になっても知らないからね!! なったらティモのせいだから!!

 モアがストレスで禿げたりしないなら安心ね。あんなに可愛くて有能な使い魔なら私も欲しい。モアみたいな可愛い子が良い。

 また色々送ってくれてありがとう。お菓子美味しい。甘い物食べると幸せね。

 お父様が心配性なだけで体調は良くなったの。でも私が倒れるなんて珍しいことだからまだ駄目だっていうのよ。ティモの所にも遊びに行きたいのに。

 あと相変わらずとかいつも通りとか、なんとなく想像出来るけど折角の交換日記なんだからもっとちゃんと細かく書いてよね。私だけが近状を書いていることになるじゃない。

 ちなみに私はティモがくれた本を読んで、お菓子を食べて、とても楽しい気分よ。外に出れないのは嫌だけどね。


 ミリセント




 リド暦786年 二の月 二十一日


 ようやくいつものミリーだね。一安心。それにしても倒れて何かあったの? 突然交換日記しようなんて僕に言ってきたのもそうだけど。

 あとミリーが未来で横暴になってひどい悪女になるってすごい妄想だね。そういう未来への妄想が出来るならそうならないようにミリーなら出来るでしょ。だからミリーはそういう存在にはならないよ。

 使い魔はミリーにはまだ少し早いと思う。もう少し魔力が安定してからにしようね。

 本もお菓子も気に入ってくれたらよかった。

 公爵は親バカだからね。ミリーが倒れたらそりゃあ心配するだろう。僕も心配だから無茶はしないようにね。

 それで近状だっけ。細かくって言われても……、貴族としての作法を学んだり、歴史を学んだり、あとはダンスの練習をしたり、魔法の練習をしたりしたぐらいだよ。変わったことは、特にないかな。


 ティモ




 リド暦786年 二の月 二十五日


 相変わらず返信はやすぎない? はやすぎて私はびっくりしているわ。

 交換日記をしようと言った理由は……ティモと仲良くなるためよ。

 悪女にならないように出来るか、それなら私はならないように頑張るわ。

 まだはやいって、同じ年のティモは使い魔を持ってるのに。これが天才と凡人の差か……。

 お父様もティモも本当に心配性ね。別にもう大丈夫なのに。まだ外出許可が出ないからティモの所に行けそうにはないわ。

 それに相変わらずティモは頑張り屋さんね。私は今は王妃教育もお休みしなさいと言われているから、許可が出てからおいていかれないように頑張るわ。


 ミリセント




 リド暦786年 二の月 二十七日


 ミリーに言われて始めたけど、案外この交換日記楽しいなと思うからすぐに返信書いちゃうんだよ。

 仲良くなるためって、もう僕たちは婚約者だし、十分仲良しだと思ってたんだけど……。まぁ、交換日記なんてしたことなかったから、面白いからやるのはいいんだけど。

 天才と凡人の差って、それ言うならミリーも十分優秀な分類だから。僕が人よりも魔力がおおかったり、魔法が得意だったりするだけで、ミリーも平均よりずっと魔法の才能があるから、そのうち使い魔も手に入れられるよ。

 僕もミリーが来ないのは残念だけど、ミリーの体調の方が大事だからね。

 ミリーも体調が治ったら、勉強一緒に頑張ろうね。

 

 ティモ





 

 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ