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結 花と獣
「しののめの馬鹿やろう! この木偶!」
橘の樹から落ちて骨を折った東雲が運ばれる間、はなはずっと喚いていた。東雲の顔がみるみる蒼白になって、血の気が失せていくのが怖くてたまらなかった。震えてしがみつくはなの頬を無事だったほうの手で叩いて、「木偶ではないぞ」と東雲がわらう。傷ついた指先にみどりの葉が握られていた。
「次は実のほうを取ってやるから」
そう言って葉を押し付ける東雲が憎らしくて、いとおしくて、はなは泣きわらった。
あいしているよ、東雲。
わたしはあなたの子どもだ。ずっと、あなたの子どもだ。




