街
諸事情により、主人公の年齢を十七にしました。
前話の内容は改訂済みです。
私は今詰所にいる。
そしてひとりでポツンと座っている。
おっさんが五分待ってろと言ってから早十分ほど。今だに動きは見られない。
……と思ったら扉がガチャリと音をたてた。
「す、すいません。少し手間取ってしまって遅れてしまいました……」
おっさんとは違う若い男が、おずおずと入室してきて、私の前にテーブルを挟んで座った。
「いえいえ、お気になさらず」
彼はそれでも申し訳なさそうにしていたが、このままだと何も進まないと思ったのだろう。やっと口を開いてくれた。
「それでは身分証を作ります。料金は大銀貨一枚です。それと街に入るために銀貨一枚が必要なので、累計で大銀貨一枚、銀貨一枚を支払っていただきます」
彼は受け皿のようなものを差し出してきたが、私は目をそらすしかない。
ぎんかいちまい。だいぎんかいちまい。
……もってない……。
……あれ?私街に入れない?
嫌な汗が頬を伝う。
彼は動かない私を見て、まさかという顔をした。
「……もってない、ですか?なにも……?」
「は、はい……。売れそうなものならあるのですが……」
私は先ほど狩った狼の毛皮を差し出した。
すると、彼は少し申し訳なさそうにして、言った。
「申し訳ありません。毛皮なら買い取れますが、それではたぶん足りません。魔石が少しでもあれば足りると思いますが……」
私はそれを聞いて安堵した。
「良かった。魔石ならたくさんありますよ」
私はオークの魔石を袋から取り出した。
それからはさほど時間はかからなかった。
面倒なことは、紙に何かを書き込んだりするくらいで終わった。
そしてついに――
「……ここがエピーか」
私は街に入ることができた。空にはすっかり星が浮かんでいた。
……そうそう、身分証には十三歳って書かれてました。十七って言ったのに……。解せぬ。