到着
「ついた」
太陽が半分地平線に隠れて、空がすっかり赤くなった頃。
眼前には見上げるほどの石の壁がそそり立っていた。
そして、門の前には門番らしき人も立っていた。
髭面の男は私を見つけると、話しかけてきた。
「おう。子供がこんな時間まで外に出てるんじゃねぇぞ」
おっさんは子供と言った。……子供と言った。
「私はこれでも十七。子供じゃない」
私はむすっとしていると、おっさんは一瞬キョトンとしたあと、大声で笑い出した。
「はっはっはっ!そんな身長でか?つくんだったらもう少しマシな嘘をつくんだな!がっはっはっ!」
……!このおっさん、私の頭の上とこいつの胸の間で手を振っていやがる!低いだと?この野郎!お前の背が高すぎるだけじゃボケ!
私がおっさんを睨んでいると、おっさんは少しだけ真面目な顔になった。
「そんじゃ、身分証出してくれや」
おっさんは手を差し出し、クイクイっと動かす。
……はて、身分証?なんぞ、それ?
「身分証なんてないよ」
私の真面目な視線とおっさんの真面目な視線が空中でぶつかった。
「……」
「……」
「……ないの?」
「ない」
「……本当に?」
「うん」
それでも疑わしそうだったから、笑って言ってやった。
「身分証って、なぁに?」
なんか一話あたりの文字数が少ない気がする……。
明日以降もう少し増やそうかな?