人生初
しばらく間が開いてしまいました。
今後は二日に一度投稿に戻れそうです。
「うわぁ……!」
私は、お城のような外見をした建物の前にいる。
そして今、その建物のあまりの壮大さに驚いているところだ。
……しかし、あまり驚いてばかりもいられないだろう。
なぜなら、そう。
この立派な建物こそが、私の通うことになった学園だからだ。
私は門、それこそ巨大モンスターですらそのまま入れそうな、そしてドラゴンの一撃ですら防げそうな頑丈さをもった校門をくぐった。
門の外から見るだけでも大きいと思った学園は、近づけば近づく程、さらにその容姿を膨らませていった。
「ほわぁ……」
思わず、もう一度感嘆の声をあげてしまった。
これはいけないと思い、緩む頬を一度叩いて見たが、ふと下を見てみると、たくさんの珍しい草花が咲き乱れていた。
それらの植物を見てしまい、先ほどの決意も一瞬でダメになってしまった。
「……うわぁ!これなんて上質な回復薬が作れるじゃないか!」
気付けば、私は道のすぐ傍にしゃがみ込んでいた。
そして、まずいと思いながらも、結局は誘惑に負けて植物観察を始めてしまった。
◇◇◇
「す、凄い!これはマナ草か?!本来は魔力の濃いところにしか生えないのに!ここはそんなに魔力が濃いのか?!」
「いえいえ、魔術師になりたい学生が毎日魔力を与えているんですよ。一人一人の魔力は少なくとも、学生はたくさんいますからね」
「そうなのか!いや凄いな!……はっ!あれは効果の高い傷薬に使われる幻の……!」
「おお!気付きましたか!いやはや、意外と物知りなのですね、あなた」
「ええ!なにせ、いままでサバイバルでしたから!使える物は全部使わな……なに?!エリ草だと!そのまま口にするだけで指の一本や二本、煎じれば腕ですら再生するという、伝説の!」
「そうです、そうです。そのエリ草です。だからそろそろ目を覚ましませんか?」
「目なら覚ましているぞ!こんなに珍しい植物があるなんて夢のようだからな!さっきからずっと頬をつねってるけど、ずっと痛くてそろそろジンジンと……ん?」
ふと、正気に戻った。
目の前には、珍しい植物は勿論のこと、眼鏡を掛けた普段は優しそうな青年が――しかし今は目を吊り上げて青筋を浮かべている――口元をひくつかせながら、私のことを睨んでいた。
私は瞬時に状況を理解した。
しゃがんだ状態から地面に膝を付け、流れるように頭を下げた。
「誠に申し訳ありませんでした」
東洋から伝わった伝説の一撃、土下座。
人生初の学園生活は、人生初の土下座と共に始まった。




