目覚め
なにかにゆらゆら揺られている気がした。
体が跳ねるごとに体中に鈍い痛みがはしる。
「……うぁ……」
身じろぎをしようとしたら、今度は激痛が襲ってきて、呻き声みたいなものが出た。
そのまま痛みに悶えていると、なにかが耳元で囁いた気がした。
そして、それと同時に頭になにか温かいものが置かれた。
それが気持ちよくて、意識は再び闇に閉ざされていった。
◇
……柔らかい。ふわふわする……。それにすっごく温かい。
まるで、あの日の宿屋のベッドのような……
「……はっ!」
まるで、ではなく、本当に、だった。
私は思わず飛び起きた。
「――痛!」
のはいいが、その瞬間にとんでもない程の痛みが襲ってきた。
……しかし、そんなことはきっと些細なことだろう。
「なんで、生きているんだ……?」
そう、問題はそれだ。
昨日私は魔石を飲んだはず。
ただの毒を飲んだくらいでは、あれほどの痛みが襲ってくるはずがないから、確かに魔石は飲んだはずなんだ。
あの、劇毒の魔石を。
ナイフで頸動脈を切られたら死なない者はいないのと同じように、魔石を飲んだら人は必ず死ぬはずなんだ。
それなのに、なぜ?
……。
…………。
…………わからない。
なぜ死ななかったのかは、全く見当がつかない。
しかし、ひとつだけ確かなことはある。
「生きてる……」
私は体を抱きしめた。
温かかった。
柔らかかった。
それになにより、全身がとても痛かった。
痛いことが、生きていることのなによりの証拠だった。
知らないうちにとても大きな安堵感が押し寄せてきて、気付けば涙が流れていた。
◇
ここはどこだろう?
落ち着いて涙を拭ったあと、そう思って立ち上がろうとしたら、激痛のせいでフラりと体が傾いて。
体がまたもやベッドに沈んだ。
そして、今更のように喉の渇きと空腹感が襲ってきた。
私はそのあと何度かもがいたが、そのたびに激痛に襲われたので、仕方がなく周りを見回すことにした。
壁や天井は、石でできていてとても頑丈そうだ。
壁に嵌まった小さい窓からは、柔らかい日差しが差し込んでいる。
私の寝ているベッドからは、お日様の匂いがしていて、また眠ってしまいそうな魔力が……
「……はっ!」
一瞬意識が途切れた気がした。
危ない危ない。もう少しで寝てしまうところだった。
ここは知らない場所だし、寝るのは危険だ。意識をしっかり保て。
……まあ、今まで寝てたし言うほど危険じゃないかもしれないが。
と、ここまで考えたところで木造の扉がガチャリと開いた。
「……!お目覚めですか?」
そこには、赤い髪の綺麗な女性がいた。
急所だけを金属で補強した革鎧をきている。
「はい」
「良かった。もう三日も寝込んでいたから、凄く心配したんですよ」
「三日も……」
そこで私はふと気付いてしまった。
……三日後だって?
学園に編入するための準備、全くしてないじゃん。明日ギルドに行かなきゃいけないの?まだ体の痛みはとれそうもないのに?




