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不老の剣士は呪いを解きたい  作者: こまこま ろにの
冒険者の街エピー
13/18

幕間 非日常

「あーあ、見回りかよ。面倒くせぇな」


私こと、ヒラリーは、隣にいる真面目そうな男、ディックとふたりで街を歩いていた。

日はまだまだ上ったばかりだ。店もあまり開いていないし、時々すれ違うのは武器をもった冒険者くらいなものだ。


「そう言うな。これもしっかりした仕事だぞ」

「はいはい、わかってますよー。まったく、少しはサボることも考えないと、気苦労で禿げるぞ」

「ふん。サボりすぎて頭がとろけているような奴には言われたくないな」


なんやかんやで駄弁りながら、私たちは街を見回っていた。


……今日も、本当は一日平和なはずだったんだ。

事件といえば酔払いが何かを壊した、とかそんなレベルでしかなくて。

……しかし、そんな幻想は次の瞬間には音をたてて崩れさっていた。


「だからお前という奴は……」

「――待って」


私はそれに気が付いたとき、とっさに彼の言葉を止めた。

私の真面目な顔を見て、彼にもなにかが伝わったのだろう。

彼は言葉に被せ気味になにかを言われると、いつもむすっとした表情になるが、今は真面目な顔をして私の目を見てきた。


「……どうした?」


私はスンスンと鼻をならした。


「血の匂いがする。それも、これはひとりとかいうレベルじゃない」


彼は目を見開いて、鼻をならした。


「……わからん。やっぱりお前の鼻はおかしいな」


そして笑ったが、目だけは全然笑ってなかった。


「案内してくれ」


その匂いにだんだん近付くごとに、彼の顔に皺ができてきた。……きっと彼にもこの匂いが感じられるようになったのだろう。

私の鼻は周りの奴らよりも敏感だから、今はこの匂いで嗅覚が麻痺しかかっている。


「もうそろそろあんたにもわかるようになったろ?もう臭くてかなわん。あとはあんたが探してくれ」


私が鼻を押さえて手を振れば、ディックは仕方がないとでも言いたそうにうなずいた。


そして、それから少ししたところの角を曲がると


「おいおい……、こりゃ想像以上だな」

「……ああ、そうだな」


大量の血が地面に吸われ、たくさんの男が倒れていた。


「……おい、ディック。他の仲間を呼んできてくれ」

「……わかった」


ディックが背を向けて走っていくと、私は鼻を押さえている手をどかしてひとりの男の下に行った。


(……脈がない。死んでいる。死因は……頸動脈を切られているからたぶん失血死だろうか?……ん?)


目の端に映ったそれは、かなり場違いなものだった。


(女だと?なんでこんなところに倒れていやがる?)


私は、血濡れているが、整った顔立ちをしている白髪の女――少女と言っても差し支えない――に近付いた。所々に黒のメッシュが入っている。


私は少女の手をとった。


(――!脈がある!呼吸は……正常か)


少女をよく見てみると、ボロボロの服を着ていて、全身に細かい切り傷があった。

なんだか、悪い予感がして止まらなかった。

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