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不老の剣士は呪いを解きたい  作者: こまこま ろにの
冒険者の街エピー
11/18

路地裏

きりが悪いので、明日も投稿します。

短編の方も変わらず投稿します。

「はぁ……はぁ……。くそ!なんでこんな目に……!」


私は今、人に追われていて、日差しの差し込まない細い路地を走っている。

そもそも、昼間でも薄暗い路地なのに、今はもう夕方。

もう少し時間が経てば、完全な闇に閉ざされるだろう。


……でも、もしかしたらこれは悪くないかもしれない。

真っ暗闇になれば、私からは奴ら……人攫いどもが見えないが、同じように奴らからも私が見えなくなる。


そうなると、私が無事に生き残るためには、夜になるまで逃げること。そして、詰所に駆け込むこと。

逆に、奴らの勝利条件は、衛兵に報告だれる前に私の口を塞ぐこと。


不老。この呪いをどう使おうか。

この呪いは、私にはデメリットがほとんどないが、それに見合わないほどのメリット、すなわち時間をもたらしてくれる。

唯一、この年齢と身長能力が変わらないことだけは痛いが、それくらいなら、きっと経験でどうにかなるだろう。


私は周りに注意をはらわず、ほくそ笑みながら歩いていた。


……いま思えば、これがいけなかった。

気が付けば、路地裏に迷いこんで、ニヤニヤと笑いを浮かべる男どもに囲まれていた。


「なんの用ですか?」

「いやなに、お嬢ちゃんがひとりでこんなところにいると危ないからなぁ。俺たちが外まで連れていってやるよ」


……やってしまった。

不注意にも程がある。もっとしっかり周りを見るんだった。


こんな男たちが、数人で少女を囲んで、親切に外まで出してくれるとは考えにくい。


「いりません。どいてください」

「おっと、遠慮すんなよ。子供は大人に助けてもらってもなんにも恥ずかしくないぜ?」


目の前にいる男はにやりと笑い、舐めるように私の体を見ている。

……やっぱり、親切なひとには、どう頑張っても見えない。


「本当に、大丈夫……です!」


私は目の前の男の股間を蹴り上げ、脇をすり抜けて駆け出した。


少し前のわたしに、馬鹿か、と言いたい。

周りをしっかり見ろとも。

ここは山とは違ったって、危険なことには変わりない。


山だったら、少し気を抜けば殺されるんだ。

その環境を思い出せ。


荒い呼吸を整えるため、深呼吸をして、改めて気を引き締める。

同じ過ちなど繰り返すものか。


……いくら身体的に成長しないとはいえ、危険な山に身を置いていたため、私の第六感はある程度鍛えられている。

もはや少し先も見えなくなりつつある闇の中、何かが動く気配がした。

そしてその直後、私の目の前に何かが降り下ろされた。


「なんだ?意外とすばしっこいじゃねぇか」


大柄な男は、降り下ろした棍棒を持ち上げ、一層笑みを深めた。


ちらりと後ろを確認する。

ザッザッザッと、小さいが、確かに地面を蹴る音がする。


……きっともうすぐ奴らがここにくる。

時間はあまりない。

街で剣を抜くのは基本的にはダメだが、しかたない。

私は両手を腰に当て、剣の柄を握った。


「お?やりあうってのか?できるだけ傷は付けるなとは言われたが、向こうがその気ならしかたねぇな。……おい。ちょっと痛いかもしれねぇが、精々我慢するんだな」


男は棍棒を振り上げ、私を叩き付けようとしたが、遅い。

無論、私は速いわけではないが、それを補う程に技術がある。


私は男が棍棒を降り下ろす一瞬の隙を突き、男の横をすり抜け、置き土産とばかりに太ももを切り裂いていった。


「ぐあっ!」


男の声が聞こえるが、無視して走り続ける。

男の声がどんどん後ろに流れていく。

そして、後ろから追いかけてきた足音も、今はすっかり聞こえなくなった。

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