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プロローグ

短編のネタが尽きたので、前から書きたいと思っていたファンタジーを書くことにしました。

二日に一回ほどこちらの作品を投稿します。

力が、欲しかった。

飛んできた火の粉を全て払えるような、力が。

……だから剣を取った。

山に籠って、何度も何度も剣を降り下ろした。

無駄だと知りながら、それでも剣は放さなかった。


朝起きて剣を取り、動物を狩って焼いて食い、そしてそのまま日が暮れるまで剣を振る。


そんな生活が一年続いた頃、私の心はポッキリ折れていた。


「……なんでよ。なんで全然成長してないの……?」


熊と対峙し剣を振るう。熊の首に剣を当てたが、一太刀では切り落とせない。

ニ撃、三撃と続け、ようやく太い血管を切れた。


後は逃げたり、攻撃をいなしたりして時間をおく。

そうすれば自ずと、ほら、熊が倒れた。

……でも虚しいな。血抜きをしながら物思いに耽る。


昔どこかで聞いた話だ。

誰でも少し練習すれば、ただの動物なんて一刀両断よ。

小柄なあの子は確かに言った。そんなに時間はかからないとも。


……それがこのザマだ。

一太刀でなんて倒せないし、出血させられなければもっと時間はかかっただろう。

頑張ったのに……。死物狂いで剣を振ったのに……。なんで私は成長しないんだ……。


あれから更に一年。私は戦い方を変えていた。


剣を地面に軽く刺し、振り上げ土をオークの顔に。

奴が土に気をとられている隙に、振り上げた剣を降り下ろし、オークの足を切る。


「ブモォォォ!」


これで奴は素早く動けまい。後は出来た隙に首を突く。

オークはあっけなく沈んだ。


魔物を簡単に屠った。しかし、私の心は晴れない。


「……筋力も、速さも変わらない……。小手先の技術を覚えないと勝てないなんて……。なんで私の体は成長しないのだろう……?」


オークから魔石を剥ぎ取り、悔しさの滲む瞳で帰路につく。

亡骸はそのまま放置した。どうせ、魔物以外は喰らうまい。


私は決心した。山を降りることにした。

季節が一周回った頃の話だ。


正直、もう限界だったのだ。

剣を振れども力は上がらない。どんなに走ったって速くはならないし、体力も上がらない。

これらの原因を調べたかったし、なによりひとりだとこれ以上強くなれない気がした。


だから私は、家を出た。たくさんの魔石と二本の剣をぶらさげて。

目指すは北の、冒険者の街。


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