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82.しつこい奴ら

気軽に感想いただければ作者のモチベに繋がります!

よろしくお願いいたします

更新は週1くらいになりそうです::: すいません!!


俺が明確に異性を意識しなくなったのは、何時からだろうか?

人間を止めた時? 多くの人間を殺した時?

解らない。 だが、そんな俺に昔、しつこく絡んで来た人間が居たな―――


そうだ。 あれは―――





――――――――――――――



『ゲートの開放を確認。 どうぞ』


ガチャン!!

目の前の分厚い鉄の扉が開くと、その中には軍服姿の男女がなにやら屯っていた。

だが、騒がしかったその場所も”俺”と言う存在に気付いてか、無言になると視線は集中した。


「アルジュナ。 いちいちナビはしなくていい。 お前は過保護すぎる」


目も合わせる事無く俺は目的地を目指した。


『いえ、この連中も信用できるとは限りません。 あの男の息がかかった存在であれば尚の事です。 用心する必要は十分にあります』

「解った。 好きにしろ」

『はい。 好きにします』


足を進めるとヒソヒソと話し声が聞こえて来た。


「あ、あの男が…マザーベースをたった1人で破壊したって言う!?」

「しっ! あんまり大きな声を出すな。 奴は…操られていたとは言え、襲い掛かるコロニーの民間人をたった1人でやっちまった男だぞ? もし奴の気に障ったらどうするんだ? 問答無用で殺されるぞ!」

「わ、わりぃ…」


と、この様に周りの連中は俺を恐れている。

まぁ…お陰で1人楽しく戦争ごっこが出来るから、気が楽で仕方ない。

そう。 俺は”俺の仲間”だけいればそれでいい。 他に何も必要はない、感情も何もかもが。

俺の”使命”はこの世からエイリアン共を1匹残らず葬り去る事だ。

だが、必要であれば”不要”な人間も殺す。 


いや、違うな。 俺が”不要”と判断した人間は全てゴミと同じだ。

この世に不必要な人間はごまんと存在する、そう奴の様なゴミクズが再び現れれば俺は殺す!

そう――全て!!


ピピッ!!


『抑制装置作動―――鎮静剤を投与いたします。 艦長、精神状態に乱れを検知致しました。 あまり考え事はしないでください。 我々が付いています』

「あ、あぁ…悪い」


もはや俺は自分がどういう存在であったのさえあやふやだ。

世界を守る為に戦っているのか、ただ戦いたいから戦っているのか。

もうそうそんな事すらどうでもよくなってきた。


だが、俺は恐らく…もう戻れないところまでやって来たのだろう。

何故なら俺は―――エイリアン共を殺す事でしか、生きている実感が出来なくなっていた。

いまもこうやって静かな時間が出来るだけで声が聞こえるんだ。


―――滅ぼせ


―――全てを壊せ


―――エイリアン共を皆殺しにしろ!!


―――そうでなければ、お前に何が残る?


―――人間を止め、兵器となったお前はもはや何者でもない―――


―――それにお前に残された時間は”あとわずか”だ。


―――ならば殺せ!! 殺せ殺せ殺せ!! お前の全てを奪ったエイリアン共を!


―――この銀河系から消し去ってやるんだ!!


―――1匹残らずな? 



――――――――――――――――――――――



「!?」

「…おいおい。 ファントム、おめぇ大丈夫かよ? なんか顔色悪いぜ? なぁ皆?」


隣の赤髪の男は心配そうな表情でそう告げると、まわりを見渡した。


「えぇ。 やはりお休みになった方がよろしいのでは? 明らかに息遣いが変です」


目の前の青髪の女性はそう言うと、強い眼差しでこちらを見つめた。


「そうっすよね~! 絶対におかしいっすよ! 最近通信にもこたえてくれないし! ファントムさん 冷たいんじゃないんですか!?」


緑髪の小柄な少年がテーブルに身を乗り出すと俺にそう言い放つ。


「落ち着け。 ウェントゥス…何を言った所でファントムは止まらぬ。 そうお前達も知っているだろう? ファントムには自らの使命がある、だからこそここで足を止める訳にはいかんのだ。 それに―――何も知らなかった我らに彼を止める資格等無い。 そうだろう?」


隣で睨みを聞かせた紫髪の女性はその場に居る全員を黙らせる。


「ごほん! というか? そっちで盛り上がらないでくれる? 一応ここに総司令たる私! アリス様がいるんだけど!?」

「おっといけね。 忘れてたわ」

「えぇ。 そこには同意ですね」

「はいはいはーい! 俺も!」

「ふんっ…」

「………」


何故か全員は俺を見つめ続けた。

なんだこいつら? おれが何か発言するまでそうしているつもりか?

全く…厚かましい連中だ。


「…全く。 体調なら気にするな、正常だ。 だから作戦を教えてくれ、お前らも全員モニターを見ろ。 俺の顔をみるんじゃねぇよ」

「「「「「ラジャー」」」」」

「じゃ!! 話しがまとまった所で今回の作戦を伝えるわ! 今回は――――――――――――――」




―――――――――――――――――――――


作戦会議室を後にした俺は一足先にガーンデーヴァが格納されているデッキを目指した。

相変わらずいい加減に広い場所だ。

お陰でこっちの息も上がりまくり、正直言って通信でやり取りして欲しい物だ。

なんで、いちいちこんな場所まで――


そんな考え事をしていると、目の前にある人物が現れた。


「……」


終始無言で腕を組んだ”彼女”はひたすら俺を見つめていた。


「……何の用だ? オルレイン。 お前の船、戦艦カラドボルグは2つも先の格納デッキだろう?」

「皆は黙っていたが、実の所私はお前に言いたい事が山の様にある。 その意味は解るか?」

「意味だと?」

「そうだ。 実を言うと、こういった作戦会議も本来であれば必要ない事だ。 なんせ通信で全て解決するからな? だが、そうしない理由がある」


理由だと?


「理由?」

「あぁ、お前だよ」

「??」


言ってる意味が理解出来ない。

作戦会議で顔を合わせる理由が俺? どういう意味なんだ。


「ふっ。その顔は本当に理解していない―――そういう顔だな」


何故かオルレインは悲しい表情を作ると顔を伏せた。


「怖いんだよ。 私達は…」

「怖い? エイリアン共がか?」

「全く、こうも話が噛み合わんもんか…まぁそうだろうな。 だったらこれでどうだ?」

「!?」


何故か俺はオルレインに唇を奪われていた。

意味が解らない、この行動の意味はなんだ? 色仕掛けか? はたまた、何かの作戦か?


「ふっ。 あいつらには悪い事をしたな。 まぁ…お前のそんな驚いた表情が見れて私は満足だ。 忘れるなよ、お前には私達5人が付いている。 必ず共に道を歩むと誓おう! 信じてくれとは言わん、弾避け位に思っていればいいさ。 おっとそうだ、あと…是非とも”最期は”共に戦わせて欲しいものだな」

「…!?」

「ふっ。 気付いていないとでも思っていたか? 全員が気付いている、ファントム。 もう長くはないのだろう?」

「……」

「いや、やはり何も言うな。 私だけそれを実感したくはない。 何時かお前から聞ける事を心待ちにしている。 ではな?」


オルレインはそれだけを告げるとその場を去っていった。


「な、なんだったんだ…あいつ。 それに…」

『接吻でしょうか? あれは挨拶なのですか?』

「…知るかよ」


ったく…しつこい奴らだよ。

本当に。


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