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75.魔法少女?と遭遇

気軽に感想いただければ作者のモチベに繋がります!

よろしくお願いいたします。

キュィィィン!!!


ルナの指導をサラに任せた俺は1人で荒野を駆けていた。

これだけの広さで、人目に触れないとあれば…移動手段はこれに限る。


ノーマルフレームに備え付けられた機能――レッグホイール。

足裏に隠されたホイールを展開する事で、荒れた陸地であってもこの様に高速で移動できる手段だ。

ただまぁ…


『艦長。 グラビティ―モードがあるにも関わらず、何故態々ホイールを使用したのですか?』

「…解らんだろうなアルジュナ。 お前には…この意味が」


そう。 ただの男の浪漫である! がしかし!

確かにホバリング移動が可能なグラビティ―モードは効率的な移動に違いないだろう? だがしかし! 

何とも言えぬこの駆動音―――これこそがまさに浪漫を感じる瞬間なんだ。


『また、男の浪漫と言う奴ですか?』

「あぁそうだ。 浪漫だ!」





―――――――――――――



暫くしてからの事だ。

俺の道を遮ろうとする魔物共を排除しながら移動していると、何かの反応を検知。

気になった俺はその反応が示す場所へと向かった。


なんせここは辺境と呼ばれた地。

冒険者ですら足を踏み入れる事が無いと聞く程だ。

そこに人間の反応? これは調べる価値がありそうだ。


そして―――


「え、えい!!」



あ、あれは…なんだ?


ピピッ!

『光学迷彩発動―――目標のスキャンを開始―――』


フリフリの桃色ドレスに身を包んだ桃色の髪の――



『スキャン完了。 年齢12歳、少年と判断致しました―――あれは…コスプレでしょうか?』


少年らしい。

つまるところ、魔法少年という所か?

何故あの様な珍妙な恰好で周りの”オーク”共を撲殺しているのか、謎で仕方ない。


「お、俺に聞くな」

『そうでしたね、申し訳ありません。 ですが、あの少年…中々の腕っぷしですね』


確かに、オークは体長2mもある巨漢の生物だ。

それの頭部をいとも簡単に謎のステッキで粉砕してみせるあたり、並みの力で無い事は直ぐに理解出来た。

が、しかし…


「ま、魔法は?」

『………さぁ?』



それから1時間程して。


『「………」』


観察を続ける俺達は無言で、コスプレを少年を見つめていた。

なんせこの1時間あまり…全く魔法を使う気配がない。

というか、ほとんど物理攻撃ばかりだ。


「やぁぁぁぁ!」


ボゴッ!!


迫力は無いが、それなりにエグイ音が辺りに響き渡る。

そして――

グシャ!!!


いとも簡単オークの頭部は消し飛んだ。


『「お見事」』


あの少年には拍手を送ってやりたい気分だ。

しかしどうしてなのだろうか?

気になる点が幾つもある。


「まず初めに…何故こんな場所で1人なのか」

『そして次に、明らかにあの少年はこちらの世界の人間ではなさそうですね?』

「あぁ」


言動が言動だけに、こちら側としても同情せざるを得ないというか。

彼なりに苦労してきたのだろう。

ん? 何故それが解るのか? それは簡単な話だ。


「全く、もう! なんで僕がこんな格好で! それも異世界でレベル上げをしなきゃいけないんだ! これも全部! あいつらのせいだ! というか、なんで職業が僕だけ魔法少年なんだよぉ! 魔法少年って何!? それにこの服は何!? スース―する! これってあれかな? 日曜の朝にやってる、そういう奴なのかな!?」


なんて事を文句たらたら、片手間にオークを撲殺しながら発言していた。


「あー…けど街にはもう戻れないだろうなぁ…偉い人をコレで殴っちゃったし」


しみじみと自分の持つハートのステッキを見つめた少年。

え?何? そのハートのステッキでお偉いさんを殴ったの!? 

何だろう、色々気になって仕方ない。


『艦長。 そろそろこの場所を離れましょう、あの少年と関わる事は得策ではありません』


だが、確かにあの少年と関わると色々と問題がありそうだ。

ここはさっさとこの場を離れる事にしよう。

そう決意した俺は後ろを振り返り、来た道を引き返そうとした―――しかし!


ズシン!! ズシン!!!


「へっ!?」


少年が慌てた様子で俺達の方向を見つめた。

いや、この地響きは俺達じゃない。

何か巨大な―――それもオークとかそんな奴じゃない気配が…真横からする。


「ちょっと待て」

『成程。 艦長、申し訳ありません。 この様な湧き方をするとは私も想定外でした。 これは興味深い―――規定数以上の討伐による、ボスモンスターの出現ですか。 新たに登録するとしましょう』

「んな事言ってる場合かよ」


油断していた俺は光学迷彩をOFFにしていた。

つまり、何が言いたいのかと言うと…

4mはある巨大な生物が俺の事を凝視して、今か今かと巨大な棍棒を振り被ろうとしていた。


『おっと、失礼。 艦長、攻撃が来ます』

「いや、見えてるよ」

「ウゴォォォ!!」



ズシン!!!


俺はなんとか奴の棍棒を受け止めた。

がしかし、なんつー馬鹿力だ。

俺達じゃ無けりゃ余裕で粉々だったぞ?


「ふぅ~…間一髪」

『ですが、残念なお知らせが1つ』

「なんだよ?」

『少年がこちらを凝視しています』

「成程」


棍棒を受け止めながら、隣へ視線を向けた。

するとそこには―――


「あ、あの~…」

「………」


完全に俺は少年と目が合ってしまった。


「アルジュナ。 こういう場合はどうすればいいと思う?」

『…そうですね。 とりあえず、目の前の標的をなんとかしてから―――という事でどうでしょうか?』

「そうだな。 それは確かに…」


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