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73.勝てば正義

気軽に感想いただければ作者のモチベに繋がります!

よろしくお願いいたします。

俺の後を付ける人物の詳細は気になるが、今はあの街の依頼を熟す事に集中するとしよう。

ん? 家具師? そんなものは見つからん!

後だ後!


それよりも、もっと興味深い事がこの周辺では日常的に起こっているんだ。



―――――――――――――――


ザシュン!!


「ニンゲン…デテイケェ…ウゴぁ…」


急所を貫かれ息絶えた青白いトカゲの様な生物。

名をリザードマンと言うらしい。 人間の様に言葉を発し、知能も高く…魔法を得意とする魔物だ。


「で? この洞窟の連中はどれ位で湧くんだ?」

『そうですね。 約30分―――という所でしょうか? やはりボスクラスともなると1時間に1度、もしくは2時間に1度ですね』

「ふぇ~…こりゃ冒険者共が食いっぱぐれねぇ訳だ」


この世界。 というよりもこの区域の魔物共はアリス達の区域と違い、ダンジョンも無ければ魔物が街や村を襲う事は無い。

これはかなり興味深い情報だ。


なんせ向こうとは勝手が違う場所…いいや、もはや別世界と言うべきだろう。

まるでゲームの世界にやって来た気持ちになる。 倒した魔物が時間経過と共に地面から湧き…ボスクラスと呼ばれる巨大な魔物でされ、時間が経てば蘇る。


「だが、一定距離を離れると追ってこなくなる…見境なく追って来るかと思えば…街や村には侵入しないか… 一体どうなってんだ」

『不思議ですね。 理解不能です。 死体の回収を済ませているのにも関わらず、全く別の新しい個体が地面より湧き出る。 まるでゲーム世界…というべきでしょうか?』

「あぁ。 この洞窟だってそうだ。 殆ど侵入された形跡が無いにも関わらず、魔物の数は少ない。 湧いて出てくるが、一定数以上は増えもしないんだ」


まるで予め定まった数が居る様にだ。

魔物連中はある一定の数で沸きが止まる。

好戦的な魔物かと思えば、ある一定の距離を離れると元の場所へ戻っていく。

意味が解らない。 そういう仕組みと言われれば納得は出来るだろうが、向こうでの魔物とは全く持って性質が違う。


「こりゃ本格的にタナトス達の言葉を信じるべきかもしれねぇな」

『えぇ。 これがもし、森と同じ性質であるのならば…世界がこの絶妙なバランスを保っている意味が解ります』

「……だな」


考えたくはないが、俺達にはあるひとつの疑問が生まれた。

それは森の存在と…ひとつの巨大な大陸であるにも関わらず態々”4つの大陸”と言われる意味だ。

まぁ…それは俺の住まう死の森が原因で解明には至ってない訳だが。

この現実を前に俺は考えを改めた。


「神が居ない世界か…」

『はい。 この様な現象があり得てしまうのであれば…もはや何が起きても不思議ではありませんね』

「残念ながら、そうなるな。 説明がつかない現象か――こりゃやべぇ世界に来ちまったぞ?」


頭を抱える事になった俺は大人しく宿へ戻ることにした。





――――――――――――――――――


とは言え、街へ戻っても問題は山積みだ。

自由の街とされたこの場所は…法も無ければ秩序も無い。

所謂やりたい放題が成立する無法の場所―――


しかし、それが正義か悪か…それを決める場所が存在している。

”審判コロシアム”その名の通り、被害者と加害者が力で全てを決める闘技場の様な物だ。

だが俺は見に行く気にはなれなかった。 何故ならあそこは力こそが全て―――と言わんばかりの馬鹿げた場所だ。

何が起ころうと、どんな残酷な目にあおうとも勝てば正義なのだ。


「だからこそ、サラを置いておくのは危険だな」

『はい』


俺が心配しているのはサラの人間性に付いてだ。

あいつならば、見ず知らずの人間の為に力を振るってしまうかもしれない。

もし自分と同じ様な目に合っている人物が居れば…あいつは迷わず力を貸す事だろう。


だが、それとこれとは話が別だ。

例えそれが救いの手だとしても、そんな様な奴はこの街は疎か…この大陸では生きて行けない。

だから助けるべきではないんだ。


「この街のルールは間違っている。 だが、それがこの場所のやり方だ。 これまたやべぇ所に来ちまったぜ。 アルジュナ? 最悪の事態は避けたい、不審な人物が居れば迷わず消せ―――必要であれば…あいつらを使ってでもな?」

『ラジャー』



後はサラが普通に依頼を終え帰って来る事を祈るばかりだ。

そう普通に…普通に依頼を終えればそれでいい。






――――――――――――――――――――




前言撤回。

サラはサラだ。 単身で行動させた俺が悪いんだろう。


「よし…どうしてこうなったか説明を聞いても!?」


サラに呼び出しをくらった俺は森の中で数十人の人物に睨まれていた。

因みに今は隣のサラへ質問している所だ。


「え、えっと…この子を攻撃しようとしていて。 あの方達が…そこに私が割って入った感じですかね?」


確かに、サラの腕の中には耳を生やした白髪の少女の姿があった。

みすぼらしい格好だ。

奴隷か何かなのだろう…少女は怯える様に震えている。



「まぁ~見た感じこっちが悪者だよな。 なんか向こうは滅茶苦茶睨んでるし?」

「え、えへへへ…」

『も、申し訳ありません』


こいつらと来たら…いよいよトラブルメーカー認定してやろうか?

しかしまぁ、起こってしまった事を咎めても仕方がない。

ここは俺の巧みな話術で―――


「あ、え~っと…理由を聞いても?」

「その少女をこっちに渡しな? 言えるのはそれだけだ」


リーダーと思わしき女性がそう告げる。


「まぁまぁ落ち着いてくれ。 少し話を―――」

「何も話す事はない。 痛い目をみたくなければ大人しく渡しな?」

「リーダー。 話しにならない…さっさと…」

「っち! 悪いねぇ。 問答無用で行かせてもうよ。 はぁぁぁ―――――」

「あ! 手が滑ってカウンターが!!」


バゴッ!!!


「ぶべらぁぁぁぁぁ!!」

「「「「「「「え?」」」」」」」


俺は飛び込んで来た女の顔面にグーパンチをお見舞いして―――


ビュン!!

女は後方50m程の距離を吹き飛んでいった。


「理由は解らんが。 よ~く解った。 話し合いより、こっちがご所望か…」


拳を鳴らして俺は背負った鎌を前方へ放り投げる。


ズゴン!!!


「「「「「「「「………」」」」」」」」


重さ約2tの鎌…名をガン・サイス。

しかし人間相手にこいつはあまりに卑怯だ。 

―――つまり、俺は今からこいつらと拳で語り合うとしよう。



「いいか? 手を出して来たのはそっちが先だからな? 俺はちゃんと話し合いを要求したぞ? 後悔するなよ? これはれっきとした”指導”だ 行くぞおラァァァぁ!!!」


と、この様な発言をしているが実際の所は何時もの憂さ晴らしである。

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