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―Side― 俺達はこの目で見た

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よろしくお願いいたします。

俺達の住まう大陸はイオニアと呼ばれ、冒険者界隈でも噂される程の危険な区域だ。

故に俺達の様な冒険者パーティー”ゴルドラン”ですらも手を焼く程だ。

この場所は恐ろしい。


何故ならば、同じ場所に同じモンスターが倒しても倒しても現れるからだ。

しかもそれは一定時間たてば何事も無かったかのように地面から湧いて出てくる。

幸いな事に、この地のモンスターは街や村を襲わない。


詳細な理由は解らないが、こちらが相手の目視に入らなければどうという事は無い。

しかし、物資運搬等――他の地であれば楽な依頼が、この地では最も危険な依頼とされいる。

理由は簡単だ。

奴らは目に映った存在を見境なく襲う。


例えそれが人間であろうと亜人であってもだ。

だが、長年に渡る調査の末気付いた事は――ある一定の距離を離れれば奴らは元の場所へ帰っていくという事だろう。

これに関しても理由は不明だ。 あの地に何か眠る訳でもない。

ましてやダンジョンコア等の確認も出来なかった。


この地は故に異常だ。

だからこそ、この地へ踏み込もう等という冒険者は愚か商人すらいない。

おまけに最近はこの先にある森”死の森”からも聞いた事の無い鳴き声が聞こえてくると言うでは無いか。


しかしこの地の人間はモンスターの肉を食料とする事で生き長らえている。

だからこそ食料には困らないが、他が問題だ。

なんせここの連中は一癖も二癖もある。 一筋縄では説得出来ない連中も多いんだ。


「全く…少数での突破は難しいんだぞ。 ギルドマスターは何を考えているんだ!」

「まぁ、そう言わずにリーダー! 危険だと思えば尻尾を巻いて逃げりゃいい、それが俺達なりのやり方だろ?」


隣の優男がそう告げる。

確かにな――それが俺達のやり方だ。


「そうですね。 幸いな事に、護衛対象も彼1人と言うではないですか」

「そうね~まぁ。 簡単っちゃ~簡単よね~」

「しかしだ! 俺達4人で子供の護衛だと!? それだけ凄い家具師の息子だろ? 故になぜ俺達だけなんだ? 守るとしてもだ! これだけでは危険すぎる!」


そう俺が怒っている理由は依頼に関してではない。

この子供を守る為には戦力不足が否めないという点だ。 最悪仲間の命は愚か、この子供の命さえも危険に晒す事になる。


「相変わらずリーダーは優しいねぇ…が、今回ばかりは俺もリーダーと同感だ。 危険区域だからと言って、少数での突破は危険すぎる」

「えぇ。 最悪の事態は避けたい所です」

「まぁ、なんとかな――りそうにもないかぁ」


今回ばかりは話が別だ。

流石の冒険者連中もこの草原へ向かうと知って、依頼を断ったのだろう。

それもその筈。 この依頼、かなりの報酬だ。


「しっかし、なんでこの子供が1人で街へ居たんだよ? 相当な距離だぞ?」

「さぁな。 しかし、街の連中の反応も怪しい感じだった。 おまけにこの子も口を割りそうにない、だからこそ俺はこの依頼を受けたんだ」

「ギルドの連中の裏を取れる…ってわけかなぁ~」

「あぁ」


危険すぎる依頼だ。

しかし、成功すればあの街のギルドの謎も暴ける。


「けっ。 その為にはやるしかねぇってか?」

「そうだ。 無法の地―――故に俺達が自らの手で勝ち取る他無い。 勝てば正義だ。 そんな場所なんだよ、ここは」

「だな。 いいぜ? ギルドの連中が俺達が邪魔で、この子共々全滅させようって魂胆なら。尚の事燃えてきたぜ! ぜってぇ送り届けてやる!」

「ふっ。 その意気だ」


そして―――草原が目前に差し掛かった頃。


「お、おい? 何か聞こえてねぇか?」

「ほ、本当ですね…」

「誰か居るぅ? 嘘ぉ!?」


この丘を越えれば目的の草原だ。

だがおかしい! 明らかに誰かが戦っている――まさかこんな所に他の地の軍が!?


凄まじい音だ。

数百、いや数千―――これは個人で発する程の戦闘音ではない。

だが、丘を越えた俺達は。



「う、嘘だろ…」

「あ、あり得ません!」

「ありゃ~何あれぇ!?」

「す、すげぇ!!」

「馬鹿な…相手は軽く数百はいるんだぞ!? 単身じゃないか!?」


あれはなんだ?

俺達は悪い夢でも見ているんだろうか?

目にも止まらぬ速度で赤い鎧を纏った女性が、鎌の様な武器で次々とモンスターを倒していく。

鮮やかだ。 まるで踊っている様にしなやかな動きで、尚且つ的確にモンスターの弱点部位を攻撃している。


「き、綺麗だ…」

「えぇ…」


今まで俺達はあれ程までの猛者に出会った事があっただろうか。

凄い、凄すぎる。


「深紅の女神」


ボソッと少年が呟いた。


「深紅の女神か…いい名だ」


俺達のパーティー、ゴルドランは女神のお陰もあってか無事に少年を村へ送り届ける事が出来たのであった。

俺達はこの目で見た。 


あの美しも気高い、深紅の女神を!



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