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71.無法の地”イオニア”

気軽に感想いただければ作者のモチベに繋がります!

よろしくお願いいたします。

この世界は広く、陸地が多いせいか…その分人口も殆ど地球と変わらない。

ただし巨大な都市や街が幾つもある訳じゃない。

これだけ広い土地があるんだ。 それぞれが村をつくったとしても十分な広さがある。


おまけにアリスの話によれば、大陸全土の地図を入手する事は不可能に近いらしい。

それもそうか――


「こんだけバラバラに過ごしてりゃ…文明をクソもねぇか」

「えぇ。 争っている連中と言えば私達の様な国の人間だけ。 総人口で言う所の3分の1にも満たないわ」


それまた驚きの情報だ。

成程。 どうりで広大な陸地の割に巨大な都市や街が少ない訳だ。


「それでもあんたは行くって言うのね…無法の地”イオニア”へ」


真剣な眼差しで俺を見つめたアリス。

とまぁ、アリスは真剣な表情でシリアスチックに発言をしているが…


「あぁ…俺は行くぜ…」

「「「「ゴクッ…」」」」


何を隠そう。

これは”何時もの悪ふざけ”である。

しかし、それを知らない魔王連中は上手い事騙されている。


「どうしても…っていう顔ね? ふっ…仕方ないわね、まったく。 いいわ! 行きなさい! 家具師を探しに! イオニアへ!!」

「あぁ! 行ってくるぜ! 家具師を探しにな!!!」

「「「「へ? 家具師?」」」」


こうして俺はアリスから情報を得て、無法の地・イオニアを目指す事にした。

言わずもがな、アリスはその後…魔王連中に質問攻めに合ったらしい。

まぁ…ちょっとおふざけが過ぎたという事で。




――――――――――――――――――――――



それから数時間とちょっと。

俺はサラを連れ、ある場所までやって来た。


「ここがイオニアか…と言っても何時もの景色だな」


目の前の草原を見つめてそう告げる。


「そうですね。 特に異常なしですね? その辺でピクニックでもします?」

「ははは…馬鹿言え。 冗談も大概にしとけよ…景色はいつも通りだが、ひとつ違うものがあるだろう?」


まさか俺だけにしか見えていないのか?

なんてわざとらしい発言をする俺は、周りを指差しながらサラの方を見た。


「へ? あぁ…魔物の大群ですね!」

「………」


こいつマジか。 俺のリアクションを前にしてもその反応、まじか。


『艦長とサラのリアクションの違い―――それは恐らくこの世界での経験の差、というものでしょう。 この様な”異常な光景”も彼女からすれば普通の類なのでしょう』


解析ありがとうアルジュナ。

成程な。 流石は人生経験豊富なサラ先輩。


『反応、約300。 これはあくまで目視可能な範囲での数です』

「目視…」

「えぇっと~あれが”ボスクラス”のゴブリンキングで、あそこに居る狼がウルフ。 近くの銀狼がその名の通り”ボスクラス”のシルバーウルフって魔物ですね! じゃなくて…モンスターです!」

『成程。 あれがボスクラス・モンスターですか。 あの様に生息しているのですね。 それにしても凄い数のモンスターですね』

「ですねよね~! けど不思議なんですよ!? なんでかこの地のモンスターは村や街を一切襲う事がないんですよ! これだけの数が居ながら!」

『なんと!? それは益々興味深い!』


2人で盛り上がっている所、大変申し訳ないが…どうにも奴ら。

俺達の存在に気付いたみたいだぞ?

目の前の草原を埋め尽くす、大量の魔物は俺達を見るや否や――


「ウゴォォォ!!! 冒険者だ! 狩り殺せぇぇぇ!」

「え? 喋った?」

「あ、そうだ! ゴブリンキングって、あぁやって喋るんですよね~! 不思議じゃないですか!?」

『ほぉ!? 言葉を発するのですか!? それは凄い!』


ゴブリンキングと呼ばれた存在が俺をピンポイントで指差していた。

見た目はゴブリンをそのまま3m程の巨体にした様な姿で、裸に赤いマントと金色の王冠。

まさかにキングと呼ぶにふさわしい外見をしている。


いや、今はそんな事どうでもいい!

来てる! ゴブリンキングを筆頭に大量の魔物がこっちへ来てる!


『とまぁ、無駄話はここまでにしておきましょう。 サラ」

「はい!」

『艦長に変わって以後、戦闘はサラにお任せします。 艦長は残念ながら今回は見学――という事で』

「いや、それの方がいい。 流石の俺もアレに突っ込むのは多少なりとも勇気がいるしな…」


なんせ見たことも無い魔物がわんさか嫌がる。

ここは魔物の知識が豊富なサラに任せた方が得策だ。


「はい! 解りましたっ! 使用人サラ! 行っきま~す!!」

『戦闘モード起動。 サラ、可能であれば戦闘中に魔物の弱点等を教えてくれれば助かります。 今後のデータとして役立てたいので』

「はいっ! おまかせあれ! じゃっ! ご主人様!」

「おぅ…行ってこい」

「ドレスアップ!! レッドクイーン!!」


ガチャン!!

ランドセルから現れたレバーを引いたサラ。

へぇ…掛け声変えたのね…。


ほぼ一瞬でフレームを纏ったサラは深紅の鎧姿で魔物へ突っ込んで行った。

さて、俺は休憩でもしとくか。


「よっこらせ」


草原に寝そべった俺は青空を眺めて一言。


「いやぁ~…下手したらサラの奴。 俺より断然素質があるんじゃないか?」


目の前の赤いマーカーが次々と消え去るのを確認して再び俺はサラの方をみた。

す、すげぇ…

最小限の動きでピンポイントで弱点を貫き、魔物の身体を殆ど傷付ける事無く綺麗な状態で狩り殺していく。

まさかに”深紅の狩人”なんて二つ名を授けてやりたい気分だ。


「おまけに爆発音ひとつしねぇ…」

『最高火力で範囲攻撃をしかける艦長とは違いますかね、サラは…』

 

気のせいか、俺と言う人間性を否定されたような気がした。


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