70.家を引っこ抜いた後は開拓
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家の建て替えを決意した俺は――小型輸送艦”ゼノン”を呼び出す事にした。
小型輸送艦・ゼノンは本来、WLAH部隊の”専用ビークル”及び”追加兵装”の輸送を目的とした物で。
機関砲以外の武装は一切搭載されていない、ただの輸送艦である。
『艦長。 アンカーの設置完了致しました』
「よし」
家を囲う様に四方に設置されたアンカー。
建て替えとなれば、普通は取り壊し工事を行うべきなんだろう。
しかし! 色々と勿体ないと判断した俺はいままで過ごして来た家を移動させる事にした。
だが、ただ家を移動させる目的ではない…そう。
『WLAH部隊の配置を完了。 艦長―――何時でもどうぞ』
「了解。あ~あ~…WLAH部隊に通達だ。 今から俺の家を小型輸送艦・ゼノンでそちらへ輸送する。 そして…そこにいる連中にインストールした設計図を元に後…そうだな~30は同じものを建ててくれ。 以上、報告おわり!」
『『『『『了解であります!』』』』』
目の前の設計予想図を前に俺は微笑んだ。
ふっ…開拓するべき時がやって来たようだ。
『座標のセッティング終了―――ゼノン。 発進――ー』
ギギギギ…ガコッ。
流石は輸送艦―――ログハウス等軽々と持ち上げて見せた。
というか――
「やっぱり4隻も要らなかったな?」
『ですね…まぁ。 丁寧に配置できるので、良しとしておきましょう』
「そうだな…」
さてと。 俺も仕事に取り掛かるとしよう。
「え~っと? この周辺は…」
「おりゃぁぁぁぁ! そりゃぁぁぁぁ! ほぁぁぁぁ! そぉぉぉぉい!!」
ブォン! ブォン! ブォン!
一筋の青い閃光が走ったかと思えば、次々と周りの木は薙ぎ倒されて行く。
どうやらサラは気合十分の御様子。
「とは言え、わざわざユニットを纏う意味よ…」
『問題ありません。 サラはユニット依存症なので―――』
「いや! 色々と問題あるわ!」
どうにもサラの奴め、ユニットの利点に色々と気付いてしまったせいか…最近は何も無くても纏っている事が多い。
なんでも性能を試す為と本人は豪語しているが、どうにも怪しい。
「まぁ…ユニットが気に入ったのは良い事だ。 それとこれとは話は別だがな!?」
誰も木を伐る為に”ビームサイス”を使えなんて言った覚えは無いんだけどな?
鎌状の武器を二双振り回す、黒色の奴――
まるで死神を連想させるような見た目をしたサラは。
「伐採! 伐採! 伐採! ばっさぁぁい!」
と叫んでいた。
『今日も気合十分な様ですね?』
「それは皮肉か?」
『いえ、誉め言葉です』
どうにも嘘くさい。
―――――――――――――――――
ピピッ!
『こちらジェット、目標地点へ到着。 木材の輸送を開始! 輸送地点のマーキングをお願い致します! オーバー!』
『了解。 輸送地点をマーキング致します。 そちらへ向かって下さい、ジェット』
『あいよ~!』
ピピッ!
『こちら円卓組、アーサー! あの~? 我らの命は?』
『安心してください。 木材加工が貴方達の役目です』
『あ、はい。 承知致しました。 ――――という訳だ。 解ったか!? 皆! え?何ぃ? ランスロットが羨ましい? ふっ、いい度胸だ! モードレッド! お前が代わりにやるかぁ!? 24時間、馬小屋生活だ! どうだ!? 羨ましいんだろう!?』
あっちはどうやら揉めてる様だ。
無視無視…
ピピッ!
『え? なんでありますか? 家を建てている? ―――え? 我らはパワードアーマーの調整中でありますよ? 何? 5000番台以降が羨ましい? はっはっは! 爆ぜろ蚊トンボ!!!』
こっちの回線は…まぁ色々と聞かなかった事にしよう。
ピピッ!
『急に歌い出す私~可愛い私~超かわいい私~それはもうアイドル~ラララ~! 艦長に何もいじるなと言われた私~! 他の皆はやってるのに~何故私だけ~! はぁ~心が荒む~病んじゃうよ~ラララ~!!!』
………よし。
気を取り直して、俺は仕事に取り掛かるとしようか。
整地はサラに任せたし…他の皆に仕事は割り振った。
そして俺は相変わらず全員の行動を見まりつつ…完成予定の建物を色々と眺めていた。
それなりに大きな建物で。
木造――
ただ、強度の問題も考えて色々と準備する物が多い。
「これは一筋縄ではいかないか…それに風呂も欲しい!! むしろ風呂が居る!!」
『必要物資調達の為に少し時間を有します―――ですので、間取りは艦長が考えておいてくださいね』
解ってるよ。
そう簡単に言ってくれるな。
それが一番悩むんだ!
「屋敷か…そうなると内装をどうするか…」
そこで俺は重大な事に気付いた。
あれ? そう言えば、家具の事なにも考えて無くね?と…
「……………」
『あの~艦長?』
「…………」
『家具探しの旅に出ましょうか…』
「………うん」
それ以上何も発言する事は無かった。




