65.そんな事は聞きたくなかった
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「アァ”? アデハ?」
化け物は前方上空に現れた、黒い円形の物を凝視した。
「な、なんですか。 あれは?」
「「「「え…?」」」」
横目で奴らを確認してみたが、ちょっと引いてる。
「お、おい…なんで上空にジャンプポイントを?」
『そうですね。 アグニからの希望で、どうしても…という事なので』
「え? どうしても?」
意味が解らない。
何時もの様に、不意打ち気味に真後ろから現れてそのまま鉄拳を叩き込めばいいものを。
何故あんな手の込んだ搭乗―――
ズゴン!
『(アグニ―――推・参!!)』
「「「「「お、おぉぉぉ…」」」」」
見事。 ヒーロー着地を決めたアグニは自慢げにこちらを振り返ると、親指を立てていた。
わぁ~すごい。 これが噂に聞くヒーロー着地か~膝の痛みには気を付けろ~
「お、おぅ…」
とりあえず俺は手を振っておいた。
『転送完了―――転送ゲートの消滅を確認。 アグニへ通達。 目標の排除を許可致します』
『(ふっ。 任せておいてください。 この私にかかれば…このような化け物! ワンパンですよ! ワンパン! 食らえ!! 炎のバ~ニングぅぅう! なっこぉぉぉぉ!!)』
ガコン!!
技名はさて置き。
アグニの拳を炎が包み込んだ。
これはゴッド組専用の武装で、その名も”神技武装”。
音声認識システムにより、内蔵された武装が発動する仕組みだ。
因みに、技名はちゃんと叫ばなければ発動しない。
一見バカげた力だが、その原理は俺達でも未だ解明出来ていない。
「なんせ、アグニには武装と言う武装が内蔵されていないんだ。 ったく、あのデタラメな力はなんだ?」
『解りません。 アグニ達曰く、感情を爆発させれば出来るらしいですよ?』
「曖昧過ぎる!」
しかし、戦いはあまりに一方的なものであった。
というのも…
『(巨大化する化け物か。 これは興味深い…奴に持って返ってやってもいいな? しかし、これは主による命だ。 爆ぜるがいい。 デッド・エンド・フレイム!!)』
ゴゴゴゴゴゴ!!!
化け物の頭部を掴んだアグニは全身に炎を纏い、その炎を化け物へ移した。
だが、ダメージにより徐々に巨大化する化け物。
が――
「ナ、ナンダ!! キョダイカ…デキ…」
足元を見た化け物。
成程。 そういう手があったか。
「ほぅ~? そうきましたか?」
「「「「す、すごい…」」」」
『(確かに、お前は化け物だろうな? しかし、所詮は生物。 この灼熱の炎に耐えうる身体ではないらしい)』
そう。 下半身が溶けて無くなっていたのだ。
えぐい事をする。
「グ、ハナゼ! ハナゼ!!」
ゴン! ゴン! ゴン!!
何度もアグニの頭部を攻撃する化け物。
しかし、アグニはびくともしなかった。
『(まぁ、もう少し待て。 解析がまだだ。 このまま殺すに訳にはいかない)』
あぁ~そういう事か。
何故とどめを刺さないのか疑問だったが、どうやら途中でブラフマーの奴にデータを寄越せと怒鳴られたんだろう。
『こちらもデータの解析を始めます。 艦長』
「了解」
その場面を眺めながら俺は隣に居たタナトスへ話しかけた。
「で? あれは元々なんだったんだ? ただの化け物、って訳じゃなさそうだ」
解析画面を前に俺はワザとらしくタナトスへ告げる。
照合結果”人間”ほぼ100%と言っても過言ではない、あれは人間の”塊”だ。
と言っても、生物学上は人間という認識であって…言い方を変えるならば、人肉の塊だ。
「成程。 そこまでお分かりになりますか…」
タナトスの声色が変わった。
流石のこいつも、俺に頼んだ手前引き下がれないみたいだ。
「えぇ。 その認識で間違いありません、彼?、彼女?、は人間ですよ。 しかし、何者かに実験を受けたね?」
「実験だと?」
おいおい、雲行きが怪しくなって来たぞ?
「はい。 我々は”大手の企業”ですので、約束は必ずお守り致します。 ですが―――我々の様な存在が、他にあるとすればどうでしょうか? 我々の目的はあくまでも”復讐代行”それが業務であります。 しかし、他に――”戦力増強・政治的支援”等の様々な分野で活躍する者が居るとすれば!? どうですか?」
「まじかよ…」
俺はその言葉を聞いて頭を抱える。
こいつの言ってる事が全て真実だとするならば、それはもう厄介極まりない。
俺の考える異世界とは――それはもう平和的な物ばかりだ。 なかにはそれなりに厳しい環境もあるだろう、しかしどうしたものか…その異世界に介入できる連中。
組織があるなんて事は今までにあっただろうか、いや…俺の勉強不足か。
あり得るのかもしれない。
「そしてあれが、先日接触を図った別会社の―――まぁ、成れの果てですよ」
「つまり何か? 元々はお前らがここへやって来た訳じゃなく」
「はい。 そこの一部となった方が政治的支援等を担当していました。 まぁ、結果は見ての通りです」
「……これから他の会社を潰すご予定は?」
しかめっ面でタナトスを食い入るように睨み付けた。
「そ、そんな顔で見ないで貰えますか? 我々も私情で動く事は出来ないのですから、今回はまぁ…それなりの伝がありましたのでね。 なんとかなった次第です」
おっと。 ますます話の流れが嫌な方向へ向かっている気がするぞ~
となると何か? 初めに攻撃を仕掛けて来たのもワザと? こっちへ誘導する作戦だった?
ま、まさかな? そ、そんな上手い話がある訳。
「おっとそうだ。 これをどうぞ」
「あ?」
わざとらしい態度で何か書物的な物を渡して来たタナトス。
何か分厚い本の様にも思えるが、中を見て俺は固まった。
「ちょ、っと…ま、まじで?」
「えぇ。 出来れば、こちらにもご協力願えないかと」
カパッ。
仮面を外したタナトスは満面の笑みで俺に頭を下げた。
わぉ。 白髪イケメン。
『これは上手くのせられましたね。 まぁ、ギアの時点で少し不信感がありましたが』
『え? どういうことですか? もしかして、これ…罠だったり!?』
『えぇ。 ある意味、巧妙な罠でした』
「まじかよ…」
俺はその後、小一時間程「まじかよ…」と呟き続けたという。




