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63.牢獄の悪魔

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よろしくお願いいたします。

「はいはい。 こちらでお間違いありません。 いやはや、あの様な意味深な別れ方をしておきながら…こちらへ再びお招きして申し訳ございません」


ガチャン!!

深々と俺に頭を下げたタナトスは牢獄の扉を閉じると、満足気にこちらを振り向いた。

相変わらず意味の解らん奴だ。


「ったく。 素直にそいつらを連れて来た俺も俺だが、よく俺の居場所が解ったな?」


俺は念の為に竜人の里の近くで待機していた訳だが、何故かタナトス(こいつ)に俺の居場所がバレていた。

と言っても俺自身が、何もせずに谷の洞窟で普通に待機していたのも原因だろうけども。

しかし、何故こいつに見つかったのか。

それだけは解らない。


「まぁ、貴方様と同じでこちらにも色々あるのですよ」

「へぇ~色々ねぇ?」

「はい!」

「まぁ、こっちの邪魔さえしなけりゃそれでいい。 後は好きにやってくれ」


それに、この場所に居るだけで妙に視線を感じるんだ。

出来ればこんな所とはさっさとおさらばしたい。


後ろ手を振って俺は門がある場所まで移動を始める―――しかし。


ガシッ。


「おい、これはどういう意味だ?」


何故かタナトスが待てと言わんばかりの力で俺の腕を掴んだ。

どうやら、まだ何かあるらしい。


「お待ちください。 実はですね? こちらへご足労をかけました理由が、もう1つありまして! というか、それが本題でありまして! まぁまぁ、そうお急ぎにならなくとも! これが正真正銘! 最後な訳ですし!」


ひしひしと感じる、何としても俺を引き留めたいとするこの意思。

危険だ。 さっさと帰ろう!


「おぉぉぉ!? こ、これは凄い力だ! す、少しお待ちを!!」

「いや。 俺はもう帰る。 どうせ碌な話じゃないだろう」

「まぁまぁ! そうおっしゃらずに! ね!? ね!? 少しだけお話を!」

「いやだ! 帰る! 今すぐ帰る!」





―――――――――――――――



結局、俺はタナトスの話を聞く事にした。

何故なら。 このままでは埒が明かないと感じたからである。


「で? 話ってなんだ?」


明らかに、怪しい雰囲気が漂う牢獄の前に立たされた俺はタナトスに尋ねた。

ここだけ異様な気配を感じる。 というか、既に変な声が聞こえる。


ガチャンガチャンガチャン!!


「ウゴァァ…ウゴァァ!! ウゴァァァ!!」

「おい、なんか騒いでるぞ。 おい?」

「…実はですね。 こちらの牢獄の方なのですが、うちの会社では手に負えなくてですね? 処分するにも色々と問題がありまして。 元々は人間だったのですよ? ですが、こう~気付いたら化け物になっていまして。 いやはや、困った事です」

「無視かこら。 こっちの話は無視か?」


ワザと経緯と理由を話し始めたタナトスは困った雰囲気を漂わせ。

首を傾げながら俺の方を見た。


「いやはや~困りました」

「だろうな。 鉄格子がボロボロだ」


中に居たのは、黒い毛むくじゃらの体長3m程の見たことも無い化け物だった。

分析するからに。 こちらと地球の生物ではないのは確かだ。


「このままでは私達も職務を全うする事が難しいかもしれません。 いやはや~これではこの世界に長居する他。 ですが、この中へ入る事の出来る存在もあまりに希少だ。 加えてこんな化け物を葬れる程のお力を持つ存在を片っ端から探すと言うのも―――いやはや~困りました!」


こいつ、絶対ワザとだろ?

そんなに大きな声で言われなくても解ってるよ。


「俺にやれと? 見ず知らずの、おまけに滅茶苦茶怪しいお前の為に?」

「もちろん! タダと言いません。 それはもう、すばらしい報酬を用意しております! はい! きっと気に入ると思いますよ?」


報酬か。

尚の事怪しい。 が、このままで埒が明かない。


「っち。 どうせここから出るのにも、お前の力が必要な訳だしな? やると言うまで閉じ込めておくつもりだったろ?」

「いえいえ~そんな事は御座いませんよ?」


嘘くさい。

こいつ、本当に俺をこの場所に閉じ込めておく気だったな?


「いいだろう。 最初で最後の仕事だ。 まぁ、報酬には期待しないでおく」

「おぉ! そうでございますか! ではでは! 私は少し離れておきますね? 危険な臭いが致しますので…」


それだけを告げるとタナトスは俺に一礼した後、その場から姿を消した。

ちょっと待て? 危険?


ピピッ!

『来ます』


アルジュナの音声が聞こえて来た頃には―――


ドゴン!!

既に俺は頭部を掴まれ、気付けば後ろの牢獄の中へ居た。


「あ、あ…あぁ…あぁ!」

「どうも、お邪魔してます」

「あ、え?」


壁に押さえつけられた俺は隣のベッドで眠っていた金髪の男へ話しかけた。

男の恰好からするに、どこかの騎士か何かだろう。

にしても…こいつ1人って。 どんな…いや、違うな。


『死亡者6名確認。 生命反応がありません。 ご臨終です』

「だったら、そこの男に言ってやれ」

『失礼。 ゲスの臭いがしたので、因果応報かと思いまして。 艦長だけにお知らせしておきました』

「ゲスの臭い…ってか死人が出てるが大丈夫なのか?」

『大丈夫でしょう。 犠牲は出すな――等と言う発言は一切聞いておりませんので』

「だな」


ブラックジョークを交えながらも俺は戦闘態勢に移行した。

そして――


「フルドレス! からの…高トルクパンチ!!」

『ラジャー。 フルパワーで稼働―――』


ドゴン!!!

化け物の頭部目掛けて鋭い拳をお見舞いする。


「ウゴァァァァ!!!!」

「効果は抜群だな」

『そのようです。 ですが―――』


向こう側の牢獄の壁に叩き付けられた化け物。

しかし、何を思ったのか…


「ウゴ! ウゴゴゴ!! ウゴォォォォ!!」


叫びながら俺達の前から姿を消した。


『逃亡されましたね?』

「おい、嘘だろ!? 普通は怒って突撃してくるだろ!」

『余程先程の一撃が効いたのでしょう。 ですが――この場所で自由に移動させるのは少し――』

「骨が折れるな…」

『はい。 ですので――ー高機動モードへ換装致します。 外部装甲強制排除――ー』


ガシュン!!


「おい、まさかお前!」


問答無用で取り外された装甲を眺めながら俺は叫んだ。

俺の勘が当たっているとするならば…まさかアレを使う気じゃないだろうな?


『パーフェクトブースターアーマー。 換装致します』

「ま、まて! それはまて! 大丈夫だ! 追い付く! すぐに追いつける!」

『――――換装開始』

「おい聞け! 俺の話を聞け!」




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