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60.救出と言う名の依頼

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よろしくお願いいたします。

今考えれば、こうやってアリスと普通に会話しているのも…この世界にやって来た事で、色々と俺自身に気持ちの余裕が出来たからだろう。


「――――という訳で。 今、私達と魔王達は手が離せないのよ。 これからやる事が山積みでね? そこで個人的なお願いがあるの…竜人の里へ向かって欲しいの。 本当は私達が向かうべきなんでしょうけど…竜人の里へ乗り込むには相応の戦力が必要になる。 だけどあんたであれば…」

「単身で乗り込めるな?」

「さらっと言うのね…」


解ってたけどさぁ? 等とため息交じりに反応を見せるアリス。

因みに竜人に関する解析は既に終わっている。 イルダと手合わせを何度かした事で、基礎能力等の分析はバッチリだ。


「で、これが報酬。 今回は前払いよ」


前払い。 何故か嫌な予感がする。

何時もは終わった事を確認してから、アリスの奴は俺に報酬を手渡していた。

まるで自宅へ直帰してもいい。 と言わんばかりの物言いだ。


「おい、まて」

「何よ?」

「今回の依頼はイルダの救出。 その筈だよな?」

「えぇ」


アリスの話によれば、竜人の里で裏切り者とされたイルダは地下深くへ閉じ込められ、数日後には人間の国へ”交渉材料”として送られる予定だという。

嘘か本当の話か、俺は既にその事実を知っているが。 話がややこしなるので、今はアリスに黙っている。 


「何故今回に限って前払いだ?」

「いや、その……」


解ってるでしょ?と言わんばかりの表情で歯切れの悪い答え方をするアリス。

確かに、今回の救出作戦は完全なアリスの独断。

これの話が漏れれば、国にとってはデメリットしかない。


「だが―――」

『我らの拠点であれば、彼女を匿っても外へ情報がもれる事は無い』

「そう。 だけどこれは私個人の依頼よ。 断ってくれても――」

「いや、まぁいい。 サラ!!」


軽く返事をしておいた俺は、サラを呼んだ。

と言っても、彼女は現在拠点にて雑用中だ。

本来であればこの相当な距離がある中で、すぐに反応出来る筈はない。

だが―――


「はいはい~呼びました? ご主人様?」

「へ?」


突然隣に現れたサラを見て、固まったアリス。


「やぁやぁ! アリスちゃん! で? ご用件は?」

「竜人の里へ行くぞ」

「え!? 私もいいんですか!?」

「今回は俺一人じゃきつい! 故に付いてこい!」

「あぁ~…ご主人様顔バレしてますもんね? 了解!! 準備してきます!!」


シュン!

敬礼したサラはまたもやその場から姿を消した。


「ちょっと? どうなってるのよ!? サラが現れたり、消えたり!?」

「あ~…なんだ? まぁ、所謂転移魔法みたいな?」

「はぁ…またもや意味不明な力を見せたわね? まぁいいわ、その、引き受けてくれてありがとう」


深々とアリスは俺に頭を下げた。


「それに、身内を利用されるのは俺が一番嫌うやり方だ。 調子に乗ってる様だから、ちょっくら挨拶してきてやろう」

「え!? ちょちょっと!? それ以上の事はしなくていいからね!? こう、こっそり! イルダを助けてくれればそれでいいから! ね!?」

「解ってるよ。 こっそりな?」


ニタっと微笑んだ俺はその場から姿を消した。

まぁ、ステルスで姿を消しただけだがな…


そして―――





地図を頼りに竜人の里近くへやって来た俺達は、円陣を組んで作戦会議を始めた。


「という訳で、暴れたい連中をごっそり連れて来た訳だが? 何か質問はあるかな?」

『質問であります! 艦長殿!』

「よし、WLAH部隊隊長・グリーン! 発言を許可する!」

『はっ! あの~これは救出作戦でありますよね?』

「何を言ってる。 当たり前だろ?」


俺達は今から、アリスの友人のイルダを竜人の里から脱出させる。

それがこんかい俺に与えられた仕事だ。


『で、で、で、ですが! 何故、円卓組様達が! こう、ほとんど集まっているでありますか!? 事は穏便にと…聞かされていたでありますが!?』

「何を驚いているんだ? あくまでも”俺だけは穏便に”そして誰にもバレない様に竜人の里へ忍び込む。 だが―――」


MAPに目をやる。

するとこの場所”竜人の道”と呼ばれる渓谷にはそれはもう大量の――人間達の反応があった。


「戦闘機にヘリはお預けだが? タンク!!」

『感じる。 これは戦車の反応…腕がなるよぉぉぉぉ~うぉぉぉ!!!』


姿は見えないが、頭上から反応を見せたタンク。


『あの、艦長。 これは流石に冗談所の域を超えています。 相手戦力を遥かに上回る、部隊編成――これをどうするおつもりですか?』

「俺はどうもしねぇよ。 あくまで必要だったら出動させる為の連中だ。 それに、俺は本当にイルダを救出に行くだけだ。 なぁ? サラ?」


隣でガタガタと震える黒いロングコートに身を包んだサラが、震え声でこう告げた。


「が、が、が、頑張りマッスル!」

「よし、絶好調だ」

『『『『『何処がですか!?』』』』』


全員に総ツッコミを受けた俺は「まぁ、為せば成る」とだけ告げると。


「じゃ、俺は一足先に侵入する。 周りの連中の対処は任せたぞ? お前達」

『『『『『って! 艦長! 話はまだ!?!?』』』』』


無視した俺は一足先に現場へ向かうのだった。

大量の部下をその場へ残し、アーマーを纏った俺はイルダの救出へ向かった。

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