56.これは調査が必要である…がしかし
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「行ったな?」
城の屋上でそうアリスに告げた俺は画面を閉じた。
「行ったわね…まさか。 あんな小さな子達が銃を持って構えてたなんて…」
「恐らく少年兵か何かだろう。 数にして20人の少年少女達、年齢は十代半ば、トランシーバーを所持しており…銃には魔法が付与されていた」
「そ、そこまで解ってるのね…」
「あぁ。 それにあの統率の取れ方は尋常じゃない。 あの年ながら経験は豊富なようだな?」
「へぇ…やっぱりその線はあり得る訳ね?」
俺の耳元でそう言ったアリスは腕を組むと何かを考え始めた。
「十分にあり得るかもしれないな。 もしかすると向こうは軍隊を抱えてるかもな?」
「あはは…笑えない冗談ね。 だったらあれかしら? いざって時の為に匿ってる?」
「さぁ? そこは何とも言えないな…」
「で? 聞く事でも無いと思うけど、軍隊が相手でもあんたは――」
「残念ながら軍隊が勝てる要素は微塵もない」
「そ、そこまで言い切るのね」
なんせこっちは遥か未来の兵器だ。
ただの実弾…核弾頭が相手であってもなんら問題はない。
「だが、それは向こうがもし軍隊を抱えていて…攻めてこんできたら―――って話だ。 今はそんな事よりも相手の情報を調査するのが先だ。 アルジュナ、使いたくは無かったが…アレを使う」
「アレ?」
不安げな表情で首を傾げたアリス。
お前の反応はいささか間違いでもない…いや、正直言えば使いたくはなかった。
何故なら俺はアレが途轍もなく苦手だからである。
そう、その名も”G”。
おわかりいただけだろうか? Gである。 その名の通り…
『ガーデンヴァより入電―――まもなく世界各地へ向けカプセルの投入を開始致します―――3,2,1…発射』
目の前には見たくもない文字がひたすら表示されていた。
―――Gの生成カプセルを投下中…1号機、2号機及び各所――設置ポイントを計算――繁殖予想図公開――
「うげぇ…」
「え? 何よ? どうしたのよ?」
これは正直にアリスに言った方がいいのだろうか?
はい、数億匹の”ゴキブリ”兵器を投下しましたと。
否! それは否! そんな事を言えば、女性陣の反感を買うに違いないだろう。
故に俺は黙っておく。
「いや、ちょっと追加で更なる索敵兵器をな? うん…」
「?? その割にはあまり嬉しそうじゃないけど?」
そう、何を隠そうANTの話も彼女にはしていない。
なんせアリスは大の虫嫌いだ。 一体何をされるか解ったもんじゃない。
すまないアリス…許せ!
翌日。
無事に投下が完了したカプセルは兵器を生み出し、各地へ向かい様々な場所を進み始めた。
想像するだけで吐き気がするが、ほぼノーコストの彼等に頼らざる得ない状況だ。
いくらなんでも、常にエネルギーを有する兵器達を他国へ派遣する訳にもいかない。
理由はひとつ。
彼等も俺の設置した重力レーザーの影響を受けることが出来る、ビーコンなしでは行動範囲が限られてしまうからだ。
しかしその点、Gは色々と優れている。
何故なら、奴らのエネルギー源は非常に乏しい食環境であってもほぼ永久に動き続ける事が出来る―――その燃費にある。
流石の俺含め戦艦の乗組員のほとんどはドン引きしていたが、使える物はなんでも使うしかない。
おまけに全世界に派遣するとなると…もうG以外頼る存在が居ないのである。
『あとはそうですね。 たとえ見つかったとしても、自爆後粒子となって飛び散る事でしょうか?』
そして更にはナノマシンで生成されたGはマイクロサイズであろうとも再起動後再び行動する。
全くとんでもない化け物を作ってくれたもんだ。
しかし、弱点と言ってはなんだが…戦闘に置いてはからっきし―――つまり殺される道以外存在していない。
「ほぼ侵略だぞ、これ…」
『違いありません』
ボソッとアリスに聞こえない様に呟く。
流石の俺もアレはまじまじと見たくない。
『不思議な物です。 無害であるのに何故人間は彼等を嫌うのでしょうか? よく見ると可愛いですよ? 平たくて――』
「馬鹿。 お前そんな話をするんじゃねぇ、想像しちまうだろが」
「想像? 何をよ?」
「いや! なんにも! なんにもない! ほら! 明日帰るからな!? 俺は! よし! 風呂だ風呂!!」
半場強引に誤魔化した俺は大浴場を目指した。
チャポン…
「駄目だ。 暫く頭から離れそうにない」
「ん? 何の話だ?」
「どうしたんですか、ファントムさん?」
気付けば魔王とトウマも一緒に風呂に浸かってるし…あ、そうだ。
トウマに聞いてみよう。
「なぁトウマ? ゴキブリ好きか?」
「へ? ゴキブリ!? いや、その~…僕はちょっと…虫は…」
だよな?
「ゴキブリ? なんだそれは?」
そういえばそうか、魔王は知らないんだっけな?
「なんだと言われてもな? 虫って奴だ」
「虫? ふむ…」
ある一点を見つめながら俺は言う。
「そうそう。 あんな感じの茶色い奴だな?」
丁度めのまえの脱衣所付近にそれらしきものを確認した俺は指を差した。
「ほぅ。 あれが…」
「「あれ?」」
その瞬間俺とトウマの空気は凍り付いた。
互いに見つめ合う。
「あの~ファントムさん? ゴキブリ…この世界に存在する訳ないんですけど? あの~?」
若干キレ気味に俺にそう告げたトウマ。
「ふっ…そうだなトウマ? 存在する訳がない―――確かにそうだ。 だが、その前に言う事があるだろう?」
「え、えぇ…そうですね…」
「ん? どうした2人共? 様子が変だぞ?」
大きく息を吸った俺とトウマは裸で抱き合いながらこう叫んだ。
「「ぎゃぁぁぁぁ!! ゴキブリぃぃぃx!!!」」




