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54.前触れ

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魔王一行とアリス達が話し合いを始めたのを確認した俺は1人で城の屋上へと向かった。

後の事はあいつら当人達に任せるとして、こっちは奴らとこの国を守る事に一肌脱ぐとしよう。

といっても? よっぽどの馬鹿じゃない限り、この国へ直接手を出す事は無いだろう。


「だが、一応念には念を入れとくか」

『そうですね。 もしかすると馬鹿の集団かもしれませんから』

「ははっ。 そうじゃない事を願いたいな」

『全くです。 加えて艦長、円卓組の配置完了致しました』

「了解。 あ~あ~…各機に通達。 これより2日間に渡る国の防衛を開始する。 あくまでも穏便にな?  国周囲の防衛は円卓組、内部の防衛はドローン隊、加えてWLAH部隊も2000機程上空3000m地点で待機させている」

『む? お言葉ですが艦長、発言よろしいでしょうか?』


何かが引っ掛かったのか、アーサーが通信を飛ばして来た。


「ん? あぁ、いいぞ」

『では。 いささかドローン隊だけではこの国の内部全体を守れるとは思えません。 小型偵察機の要請をするべきではないでしょうか?』

「もっともだな。 だが、心配はない。 俺は反対だったんだがな? その…なんだ? 超小型偵察機”ANT”が既に国全体を監視している…」


その瞬間。 

いつも言葉をあまり発さない他の円卓組の連中までもがこう呟いた。


『『『『『え…』』』』』

『超小型偵察機ANTとは―――その名の通り蟻型の偵察機です。 攻撃手段はありませんが、偵察機としては無類の力を誇ります。 体長2.5mm―――そして、この国で待機中のANTの数は―――数十万匹―――完璧な防衛です』

「解説どうも…」

『『『『『うわぁ…』』』』』


想像するだけでも身の毛がよだつ…一瞬想像してしまったせいか、鳥肌が立っていた。


「いつも思うんだが、なんで毎回毎回! モチーフが虫とか生物とか! リアル寄りの物ばかりなんだよ! もうちょっとこうロボットっぽいものがあっただろう!?」

『艦長。 地球上の生物を舐めてはいけませんよ? 蟻であろうとなんであろうと、彼等には彼等なりの役割というものがあるのです。 そして完璧なまでに再現されたモーションシステムは――もはや人知を超越していると言っても過言ではないでしょう。 この言葉の意味が解りますか?』

「あ~はいはい。 解ってますとも」 

  

俺は深く頭を抱えた。

そういえば、この辺の趣味嗜好はアルジュナさんのオーダーでしたね。

コンセプトは地球上に存在していた生物―――そう注文を受けたブラフマーが偵察機やら兵器を生成する。

既に俺が転移した世界では地球は死に絶え、エイリアン共に侵略された後だった。


それが原因ともあってか、やたらと地球上の生物に興味があったアルジュナは俺の記憶と知識――過去のデータを元にこうやって気味の悪い兵器を次々と作っていく。

正直なぁ…俺、虫は苦手なんだよな。

子供の頃は難なく触れてた気がするのに、いつの間にか駄目になっていた。


「しかし、よくまぁ…こんな事を思いつくよな? お前は…」

『ANTを舐めてはいけませんよ? 生産コストはなんと―――WLAH部隊の100分の1――性能は遠く及びませんが。 偵察機としての性能は彼等を遥かに凌駕しています。 幾度となる試験を終え、やっとの事で実戦投入可能となったのです―――がんばりなさいANT…とはいえ、喋る機能等はないんですけどね?』


生物の話となるといつもこうだ。

饒舌というか、口数が多い気がする。

だが、流石はアルジュナだ。 蟻型とは言え、この完璧なまでの配置と偵察能力―――かなりの実用性があると言っても過言ではないだろう。


「偵察機か…これからはこいつら主体の動きに―――なる訳も無いか」

『そうですね。 残念ながら私達には防衛向きの装備―――と言うよりも、破壊的な物が多いですからね。 そうですね、いっその事ブラフマーに頼んで防御専用の兵器でも作って貰いますか?』

「防御専用か…」


悪くない案ではあるが、俺達にはもう1つの問題があった。


「生産コストを考えるとなぁ…この世界の鉱石じゃ。 碌なのは作れんぞ?」

『確かにそうですね。 殆どはWLAH部隊が使用してるわけですし、余裕もありませんね』

「だろ? ただでさえ、ボコボコ壊れて帰って来るのにだ。 そこまで手が回らん」

『間違いありませんね。 では、やはり何時ものスタイルでいきましょう』

「あぁ」


まだまだ不安要素は大量にあるが、とりあえずは目先の事だけに集中するとしよう。

他の問題は―――まぁ、なんとかなるだろう。

ため息を付いた俺は屋上で1人、目の前に表示されたMAPへ目を通した。


「今の所は問題なしと」


迫る眠けと戦いながらも映像チェックをする俺は周囲を警戒していた。

奴らは転移の魔法を使って攻め込んでくる筈だ。 警戒を怠ると後で痛い目をみる。

そんな時だった。 俺の眠気を覚ます様な通信が届いたのは。


ピピッ!!


『艦長! 失礼します!』

「ん? どうした?」

『こ、この映像をご覧ください!』

「ん?」


何かを発見したのか、アーサーから現在目視している物の映像が届いた。

それを見た俺は思わず声を発した。


「こ、これは…薬莢?」

『はい。 近くの山頂で確認致しました』

『照合開始――――完了。 おそらくこれはNATO弾でしょう。 ―――H&K HK416 アサルトライフの弾薬です』

「アサルトライフル? おいおい…まさか軍人がこの世界に居るとでも?」

『もしくは、トウマの様な存在でしょうか?』


だとするとこれは、何かの前触れか何かか? 


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