51.VS魔王ハーデス 後編
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それから暫くして。
「じゃ、これなら―――」
『却下。 高出力ビーム兵装の使用は禁止されています』
「これもかよ!?」
『はい、数値上高出力な物になりますので。 回収いたしますね』
「はいはい…」
「では行くぞぉォ!」
結局ベース状態に戻った俺は次々と魔王に武装の制限を設けられ、ほとんどの武装が使用制限に陥った。
「しかし…どうするかな~」
ガン!
魔王の攻撃を片手で受け止めた俺は呑気に独り言を言い始めた。
「くそぅ! これでも届かぬか!? えぇい! こうなればヤケだ! 我が闇の力よぉぉ!! 爆ぜるがいい! エクスプロ―ジョン!!」
「おい、待て。 なんか滅茶苦茶ヤバそうな技―――」
「って魔王様ぁぁぁ! 我らも居るんですよぉォ!!!」
「うわぁぁぁぁ! 逃げろォォ!!」
「ちょちょちょっとぉぉぉ!」
「逃げる…」
魔王の腕が黒く輝いた時である。
目の前は真っ白になった―――
が、しかし。
『成程。 広範囲を爆破する魔法ですか。 しかし―――重力波パルス解放―――構いませんね? 艦長』
「あぁ、機能の制限は設けられていないからな?」
『では。 相転移解放―――空間を歪めます』
次の瞬間である。
真っ白だった景色は晴れ、それと同時に間抜けな表情をした魔王の姿が現れた。
「な、に?」
「え?」
近くに居たトウマも驚いた表情でこちらを見つめる。
「あれ? 生きてる?」
「何が起こった…」
「嘘…」
仕方ない。
こいつ等にも説明してやるとするか。
「まぁ、なんだ。 さっきの爆発を無かった事にした」
「「「「「は?」」」」」
「ま、ま、ま、まて!? エクスプロ―ジョンだぞ!? 自慢ではなないが、それを無詠唱で放ったのだ! 流石にダメージ位は与えられている筈!? そ、そ、それを無かった事だと!?」
「あぁ」
しかし、答えに納得できなかったのか…魔王はプルプルと全身を震わせ始める。
「あれ? ミスった?」
『嘘でも付いておけばよかったでしょうか?』
「さぁ?」
「ぐぬぬぬ…ここまでファントム。 お主に条件を設けたというのに…ここまでして…ここまでして!!」
気のせいか、俺でも理解できる程に顔が真っ赤になっていた。
紫肌なのに解るレベル…という事は、本気で怒っているのかもしれない。
だが、実際に返って来た言葉は意外なものだった。
ガクッ。
「じ、自信無くすわ~…」
「ま、魔王様ぁぁぁ!?」
膝から崩れ落ちた魔王は芋虫の様に丸まってしまった。
それから1時間程して―――
無事戦いは終わった?訳だが、俺はひたすら魔王を慰める為にあれやこれやと言葉をかけた。
「ま、まぁな? 魔王、俺が例外なだけで。 ほら、他なら大丈夫だから、な?」
「我だって特別だもん…しかし、ファントムに傷一つも付けられなかった…もう心が折れたよ。 ポッきりとな? そもそも、エクスプロ―ジョン使ってまで無傷では…もうどうすればよい!? 何が効くのだ!? 物理は疎か魔法は効かない! おまけに分身した所で、いきなり本体を攻撃されては意味がないではないか!?」
あ、駄目だ。 こいつはかなりの重傷だ。
「どれだけ、小細工しようと…まるで初めから解ってる様に貴様は動く! これではこちらの考えが意味を成さないではないか!? なんだそれ! 反則だろう!!」
いきなり元気なった魔王は俺に詰め寄りアーマーの胸を軽く叩いた。
「それになんだこれは! 傷一つも付かんとはどういう事だ!? えぇ!?」
「まぁ、自動修復機能が働いて…」
「卑怯だ!! それも卑怯だ!! おまけにバリアとやらも付いておるし、さっきのはなんだ!? あの黒い塊は! えぇい! 無理だ! やーめた!! こやつには絶対敵わん! 無理!」
もう色々と吹っ切れたのか、大声でとんでもない事を言い始めた魔王。
流石の部下達も見たこと無い魔王の変貌に、ただただ白い眼を向けるだけだった。
そして、移動を再開した俺達は再びエルフの国を目指した。
が―――
「で? なんでお前らはさっきまでと違ってそう、よく話しかけて来るようになったんだ?」
道中話しかけてくるもの好きと言えばトウマ位のものだった。
しかしどうしたものか、先程の戦い?を終えた俺の周りを魔王の四天王が囲う様に集っていた。
「いや~あの魔王様が完全敗北を認めちゃ~ねぇ? 僕らはここで媚を売っておこうかと思って。 なんなら僕とエッチな事でもする~?」
「いや、却下で」
「ちぇ~」
「ファントムがそこまでの者だったとは…その…色々とすまない」
リールイの奴も何故かさっきから謝罪ばかり。
他の連中も心做しか、話しかけては来ないがちらほらと視線を感じる。
「はぁ。 面倒な事になった」
『まぁ、艦長ですし』
「で? 何も言わずにどこかへ行ったお前は何してんだ?」
後方を歩く馬へと話しかけた俺。
『え、えっと分析をアルジュナ様に頼まれまして…』
「遠くで?」
『いえ、そ、それは…艦長の攻撃に巻き込まれない様にと…』
色んな意味でアーサーらしい答えだった。
さてと、これからどうするかな? なんて言い訳をアリスにしようか、俺は数日間考えるのであった。




