49.目指すは300km先の国
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俺の森からエルフ国までの距離は約500km…なかなかの距離になる訳だが、こいつら魔王一行はそれを徒歩で向かおうという考えらしい。
しかし言わせてもらおう。 例え徒歩で向かったとしても、これほどまで敵に襲撃される連中を俺は知らない。
道中頻繁に破壊派と呼ばれる魔族の連中が湯水のように押し寄せてくる。
何処で嗅ぎ付けたのか知らないが、これじゃあ休む暇もない。
「まぁ、休むほど働いてもいねぇか」
俺達全員を囲む様にソードビットを停滞させた俺は周囲の反応を確認。
ん~やはり反応はない。 という事は、やはり高度な魔法技術で転移か何かをして…刺客を送り込んでいるんだろう。
エルフの国まで残りは300km――――問題が山積みで頭を抱えるレベルである。
「ドローンに命令だ。 半径1㎞を常にスキャンしておけ、石ころの位置・微妙な空気の変化・少しの異変も見逃すなよ? 以上! 散開!」
『『『『『(承知致しました)』』』』』
ゴォォと音を立て、姿を露わにした巨大ドローンは俺達の周囲を囲う様に空中へ散らばった。
「!?!?!? な、な…既に我らを包囲していたのか!? ば、馬鹿な!?」
「あ、ありえ…ない」
「ははは…流石の僕も笑うしかないや」
「ここまでされては…我らの威厳も…」
「す、すごい! これってステルスって奴ですよね!? どうやっているんですか!? まるで姿形、音までも感じられませんでした!」
と、この様に五月蠅くなるので…飛ばしてやればよかったと少し後悔した。
「して、トウマよ? 貴様で先程のアレを再現する事は可能か?」
「か、可能ではありますが。 流石に姿を消したり…音を無くす等というデタラメな事は無理です…」
「そうか。 やはりあの御仁は貴様などでは?」
「はい、足元にも及びません」
いや? 本人の近くでそう言う会話をするなよ?
こいつらわざとやってるのか?
「じゃあなに? こんな危険な人が迷い人って事?」
「えぇ、ファントムさんの言葉通りとするならば。 迷い人と呼ばれる存在で間違いありません」
「成程、迷い人ですか…」
「はい。 僕達と違い、いたずらにこの世界に呼ばれた存在だと思います」
迷い人――奴らトウマと違い、女神によって招かれた者ではない人物の事を指す言葉の様だ。
トウマ達勇者の事は”渡り人”といい…女神の祝福を受け、この世に転移or転生した者の事を言う。
つまり、アリスもその1人という訳だ。
「悪戯ねぇ。 おい、魔王。 あんたなら何か知ってるんじゃないのか? その迷い人って存在の事を」
「ふむ。 何度か迷い人と相対した事はある。 しかし…基本的には我らと同じ力を使っていた」
「成程。 つまり、俺は例外と?」
「その通りだ。 トウマの”創造”という能力もさることながら、貴殿のその力も何かの前触れやもしれぬな」
不吉な事を言うなよ。
まるで何かが起こるみたいな言い方をされると気になって仕方ない。
「創造か。 聞くところによると、地球に存在した物ならなんでも再現できるんだろう? かなり便利な能力だな」
「かなり強い能力に思えるんですけど。 まぁ…それには大量のMPが絡んでくるんで…その~あまり燃費はよくないんですよね」
「だろうな」
今のトウマの力では拳銃1つ再現するのに魔力切れって奴を起こすらしい。
毎回気絶されちゃ、世話無いだろうな。
それから数時間。
変に馴染んでしまった俺は、こいつらと普通に会話している事を疑問に思わなくなっていた。
なんというか、かなりアットホームな連中で…
言い訳はこのくらいにしておくか。
夜―――――
「zzzzzzz」
「zzzz…ま、魔王様ぁ…」
「zzz…殺してやるぅぅ…ぐふふふふ」
「済まない…みん…zzzzzz」
「へへ…」
「ふふ…zzzzzzz」
無防備な状態で固まって眠る魔王一行。
それを眺めながら俺はこう発言した。
「こいつらマジか」
『正気の沙汰とは思えませんね』
「あぁ、全くだ」
『あ、あはは…全く艦長の事を警戒していませんね?』
「だろ?」
やはりこいつらと絡むと調子が狂う。
馬鹿と言えばいいのか、アホと言えばいいのか、たった数日で警戒を解いてしまったこいつらの寝首を掻くのは容易の事。
やろうとは思わないが、俺がイカれた人間だったらどうするつもりだったんだ?
「まぁ、考えても仕方ねぇか」
『ですね』
『はい、その方がよろしいかと』
テントを出た俺は外で見張りを引き受けたトウマの元へ向かった。
「おいトウマ? お前、アレらと居て疲れないのか?」
「あ、あはは…慣れれば居心地はいいですよ?」
腑抜けた顔で笑みを浮かべるトウマ。
やはり聞いていた情報とはかなり雰囲気が異なる、アリス達曰く…何を考えているか解らない人間と称していたが、こいつ程馬鹿正直な人間は居ないと思える。
だとしたら、相当なペテン師か…だな。
「しかしまぁ、なんで態々悪役的なポジションを?」
「え? いやぁ~まぁ…その方が後くされないでしょう? 悪だと思われた方が、こっちも気持ち的に楽で。 罪悪感なんて湧いてきませんし」
「確かに…」
こうなってくるといよいよ人間側の王様がどんな奴なのか、嫌でも想像出来てしまう。
余程ひどい人間なのか、救いようのないクズ野郎なのは間違いないだろう。
「ふふふ…どう料理してやろうか。 ふふふふ」
「あの~ファントムさん!?」
『『やはり艦長の方が、魔王向きでは?』』




