48.巻き込まれ体質者と任命する
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「お前らなぁ!? ふざけんじゃねぇ! なんで俺に助けを求めてんだ! それとアーサー! なんかすまん!」
『い、いえ…私のデータ不足故に…』
「「「「「も、申し訳ない」」」」」
こいつらから目を離して2日後の事であった。
アーサーの位置をチラッと確認した俺は、異変を感じ強制的にアーサーの視界をジャックした訳だが、どうしたものか…アーサーは魔王一行と何故かはぐれていた。
そして態々現地に赴いた俺は、現場で全てを気付く事となった。
「まさか、ダンジョンの発生に巻き込まれるとは…」
新たに発見した事もあった。
それは、アーサー達は例えその場でダンジョンが発生してもそれ自体に巻き込まれない事。
おまけに侵入は愚か、救助も出来ない。
「はぁ…結局俺が出向いた訳だが、何をこんなドラゴンにビビってたんだよ?」
目の前の黒くて巨大なドラゴンを指差し俺は発言した。
腐っても魔王一行だ。
たかが体長20m程のドラゴンに何を憶する事があるのか、俺は謎で仕方ない。
「いやはや…さ、流石はファントム殿だ! かの有名なカオスドラゴンさえも、い…一撃で葬ってしまうとは…」
「ご、ごめんなさい! だからあの時の事は許して下さい! お願いします!」
「す、すまない! ファントム! い、今までの…ぶ、無礼を許してくれ!」
なんだこいつら?
手の平を返す様に態度を改めたリールイとハイリア。
こいつらの態度からするに、それ程の実力があったドラゴンだったんだろうか?
今となってはどうでもいいけど。
「はぁ…なんでこう、もっとスマートに行かないもんかね?」
『ま、腐っても魔王一行と元勇者ですよ? これ位のイレギュラーは起こり得るでしょう』
「こいつらがビビる程の魔物が現れる事も?」
『お、恐らく…』
だとしたら、あっけなく退場しちまうぞ? こいつらは…
「さてと…」
ポイッ。
ダンジョンの入口へ四角い鉄の塊を投げ捨てた俺は全員にダンジョンを脱出するよう指示した。
ダンジョン攻略。 あれは入り口の番人らしく、奥にはもっと強力な魔物が住み着いてるらしい。
が、そんなものを馬鹿正直に攻略する様な俺ではない。
さっさとこいつらをエルフの国へ送り届けておさらばだ。
「え、えっと何を?」
「お、おい? ほ、本当に脱出していいのか!? だ、ダンジョンは放っておけば!」
「そ、そうですよ!? これ程危険なダンジョンを放置すると―――」
「え? もしかしてファントムさん…あれって―――」
狼狽える魔王一行と何か納得した様な表情を見せるトウマ。
いや、お前らがこっちの肩を持ちだしてどうするんだ。
「ほら、いいから入り口に戻れ。 しっ、しっ」
そして―――
無事入り口から脱出した俺達は元の場所へ戻って来た。
「さてと。 ポチッとな」
腑抜けた声で、目の前に見えるディスプレイ上のボタンを押した俺。
不思議そうに眺める魔王一行。
次の瞬間―――
『ダンジョンコアの破壊を確認―――流石は反応弾です』
パリ―ン!!
ダンジョンの入り口が消し飛んだ。
「「「「「は??」」」」」
「やっぱりあれ…C4爆弾じゃなく…設置型の反応弾だったりします?」
流石はトウマだ。 SF・ロボット・ファンタジーが大好きなだけはある。
「「「「「は? 反応弾?」」」」」
「ご明察。 まぁ、そんなところだ」
それ以上を俺は説明する事はなかった。
何故なら、トウマの顔が一気に青ざめるのを見てか、全員が色々察した感じだったからである。
―――――――――――――
無言で俺の後を付いてくる魔王一行。
先程から空気がかなり重たい気がする、まるで化け物を前にしているかのような空気だ。
「おっと、それと。 報酬の話は向こうに着いてからな?」
「しょ、承知した」
と、この様に魔王も何故か反応が悪い。
ここ数日までの威勢は何処へいったんだ? まぁいいか、さっさとこいつらをエルフの国へ――――
「ふははは! やはりここに居たか! 魔王ハーデスとその一行! その首、もら―――」
「アーサー。 ソードビット射出!!」
『了解!! 目標! 排除致します!!』
アーサーの腰から射出されたソードビットが次々と目標を捉える。
「な、なんだこれは!? うわぁぁぁぁ!!」
「や、やめろ! やめろぉぉぉ!!」
「うがぁぁぁぁ!!」
断末魔が響き渡る―――
「これも追加報酬な?」
「は、はい…」
『あの、艦長。 お言葉ですが、こうも私達の手の内を明かして、いいものなのでしょうか?』
正直な話をしよう、余計な詮索をいれられる前に…こちらから大っぴらにしてしまおうという作戦である。
「まぁ、正直な所。 こいつらに隠した所でなぁ?」
『確かに』
アーサー以下の連中を相手に手の内がどうとか関係ないと思うんだが。
まぁ、それは俺個人の問題だ。 もしかすると、こいつらもアリス達にとっては脅威なのかもしれない…
が、いまはどうでもいい。
さっさとこの巻き込まれ体質者達を送り届けなくては…




