47.地下格納庫へ
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この日俺は用事を済ませると、地格納庫へと赴いた。
理由は2つ。
1つは研究に明け暮れるブラフマーの様子を伺う為。
2つめは――――
「よう。 ブラフマー。 どうだ? 何か解ったか?」
『これはこれは艦長殿。 いやはや、不思議なもので…儂でさえも解析は不能ですじゃ。 どういった原理で力が沸き上がっているのか。 はたまた、この様な力を無限に湧かせている理由はなんなのか。 まるで儂らの心臓部の様な物ですのぉ』
「そうか。 お前でも解らないか…それに心臓部ねぇ。 核融合炉ってやつか?」
『ですじゃ。 儂らは元々エイリアンエンジンと呼ばれる。 奴らの技術を元に製造された有限の力を使用しておりましたのぉ?』
「あぁ、その通りだ」
有限であるということは、限界があった。
それは動力源をエイリアン共が使うエネルギー、バイオニクスと呼ばれる結晶を使用する事でこいつらも同様に活動出来ていた。
だが、その力”バイオニクス”を解明するまでには至らなかった。
何せ―――
「エイリアン共も、結晶が生まれる理由を知らないじゃな?」
『ほっほっほ! あの時は流石の儂もずっこけましたじゃ!』
笑い事じゃねぇぞ?
下手すりゃ今頃、おまえら全員活動停止していたんだからな?
「つくづく俺らも何の力を使って戦ってんだか、最後まで解らず仕舞いだな?」
『ほっほっほ! ですが、この世界へ迷い込んできたのも何かの縁。 これからはじっくり解明していきましょうぞ? 艦長殿』
「まぁ、それも悪くねぇわな。 にしても…相変わらず、すげぇ眺めだな」
目の前には機械で囲われた巨大な水晶が強い光を発していた。
青く輝きクリスタルの様なそれは、無限のエネルギーを生むとんでもない存在だ。
元々これは地面を掘り進んでいたサラ達が見つけた物で、今では森全体に広がるエレベーターの電力はこいつ1つが賄っている。
地下2千メートルに位置するこの場所に眠る巨大な水晶。
ありがたく使用させてもらっているが、実のところ…色々と不明な点が多い。
「そもそも、この不自然な穴だ。 まるで水晶を囲う様にしっかりとした形の穴が開いてる時点で色々おかしいだろ」
『ですのぉ。 おまけにこの水晶、艦長殿が近付くと強い光を発するのですじゃ』
それだそれだ。
それが一番意味不明なんだよ。
そもそも俺はこんな水晶見たことも聞いたことも無い、完全に初見だぞ?
意味が解らん、何故俺だけに反応を示すんだ?
「謎だな」
『えぇ、全く』
「アルジュナ? お前の意見はどうだ?」
『何とも言い難いですね。 何か懐かしさも感じる―――その様な気がします』
「ふぅ~ん」
懐かしさ、ねぇ?
「というか、なんだよその視線は? サラ?」
まるで何も感じないのか?と言わんばかりの表情を向けるサラ。
一緒に連れてきておいてなんだが、何も無いぞ?
「別に感想はないぞ? これと言って何も感じない」
「ほんとですか?」
「まじで」
「そうだといいんですけど…だったらこの光はなんなんでしょうか?」
「『『さぁ…』』」
解らないものは解らないのである。
暫く話をした後俺はサラ達と別れ、格納庫へ上がった。
理由は簡単―――――
「さてと…俺専用の格納庫にある、ガラクタを片付けるとするか」
目の前の光景を見るとため息がこぼれそうだ。
それ程までに物が大量に散らばっていた。
綺麗な箇所と言うと、パーシュパタが設置された場所だけだろう。
まず初めに俺は目に留まった銃を手に取る。
「これは?」
『エイリアンから奪った。 粒子光線銃でしょうか?』
試しに壁に向かって撃ってみたが、弾切れらしい。
「ゴミだな」
『ですね』
ぽいっと軽く後ろへ放り投げると次の瞬間、ドローンがうまい具合にキャッチすると何処かへ向かって行った。
恐らく処理場へ向かったのだろう。
「流石だ。 さてと、続けるぞアルジュナ」
『了解』
次々とガラクタを手にすると物色を始めた。
エイリアンから奪った兵器&仲間達の古いパーツ等、ゴミの様な物がわんさかと出てくる。
「これもだめ」
『了解―――』
「これもだ」
『はい』
「これも、これも…これも…これもぉぉ!!」
整理する事数時間―――やっと綺麗になってきた格納庫を見て笑みがこぼれた。
「ガラクタばかりだったな…」
『そうですね。 実用性が無い物ばかりでした』
多少なりともお宝が眠っているかと期待したが、まぁそんな事はなかった。
現実とは悲しいものだ。
「しかし…」
目の前に残った少しの物を眺める。
どれこれも、俺には必要の無い物ばかりだ。
「確かこれって…」
『ヒートブレイド。 超高熱で相手を切り裂く剣です。 ですが―――』
態々熱々の剣を振り回す必要もない訳で、本当にガラクタだ。
だが―――
「まだ使えるんだよな」
『えぇ…』
どうも処分する気にはなれない、折角使えるんだし。
態々処分しなくてもな?
こうして俺の品定めはまだまだ続くのであった。




