表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

50/113

―Side― 魔王の苦難

気軽に感想いただければ作者のモチベに繋がります!

よろしくお願いいたします

死の森直前、十分な手見上げを持参した我は奴の元へ四天王を引き連れやって来た。

が、しかし直前で重大な問題が発生―――仕方なく、我は留守番を任せていた2人を呼び出す事となった。

というのも――


「あの…魔王様、ご所望の書類をお持ち致しました」

「うむ」


ハイリアから受け取った書類が本物だと確認した我は大きく息を吸い込んだ。

ここからが本番だ。

何せ―――


「リールイ、ハイリア。 そして、我が四天王が2人…トウマとイリスまでも接触していたとは」


不覚だった。

これでは奴に顔合わせする以前の問題となり得る。


「トウマ、イリスよ? 説教は後だ。 今からこの森へ侵入する。 が―――抵抗は決してするな? いいな?」

「「は、はい…」」


我は後ろの2人に言い聞かせるようにつぶやく。

なにせ問題は山積みだ。

目の前には見たことも無い生物がうそうそしている。

まるで野生の魔物と共存している様だ。


ありえん、こんな光景はありえてはならない。

何故なら、魔物は天より生を授かった謎多き存在―――それが訳も分からない生物と―――いや、まて?


「おい、トウマよ?」

「は、はい!!」

「貴様のその表情。 まさか、あの生物達を知っているのか!?」


トウマ。 トウマ・ユズキ――彼は元々この世界の住人ではない。

所謂転移者と言う奴だ。

彼は人間の国の体制に嫌気がさし、我が配下へ降った人物だ。

その男が怯える様子で目の前に生息する生物を見て固まっていた。


まさかとは思うが。


「知っていると言えば…知っています」

「ん? 妙な物言いをする、どういう事だ?」

「僕らの地球に元々生息していた生物なのは違いありません。 ですが―――あれは…1億年以上前に生息していた生物です! あ、あんなのが再現できるわけが!」


トウマの表情からするにあり得ない光景なのだろう、転移者であるトウマがあんな反応をみせるのだ。

間違いない、やはりあの男は異常ならざる者だ。


「しかし、困ったな」

「どうかされましたか!? 魔王様!?」


我が右腕でもあるイリスがそう告げる。

彼女の魔力はこの世界屈指の物と言っても過言ではない、実力もさることながら…我が一番信頼を置いている人物でもある。

成程。 彼女でも気付けぬか…


「待ってくれ!! 我は魔王ハーデス! 貴殿らの主に会いに来ただけだ! 決して攻撃しようなどとは思っていない!」

「ま、まさか既に囲まれて!?」


慌てて攻撃態勢へ移行するイリスを我は止めた。


「押さえろ! 決して手をだすな!? こちらの行動は全て奴らの手の内だ!」


既にこの森へ侵入した時点で勝敗は決している。

我らの全身を覆い尽くす程の赤い閃光―――その小さな点は的確に各部位に当てられていた。

腕から足へ腰から首まで、動きの起点となる全ての個所を…


「レ、レーザーサイト!?」

「ほぅ? レーザーサイトとはなんだ、トウマよ?」

「こ、これは僕の使っている銃にも搭載されている代物です。 ですが、この数はあまりに…」


多すぎる、そう言いたげな顔だった。


「銃か」


あの鉛玉と飛ばすという、変わった杖の様な物か。

であれば―――

しかし、トウマの言葉を否定するかのように我らの真横を一筋の閃光が通り過ぎた。

 

チュン!!!


「…銃じゃない?」

「「「「……」」」」


トウマの言葉を聞き緊張感がより増した我らは身動きが取れないでいた。

何度かトウマが銃を発砲する姿を目撃したが、あの様な発砲音と弾丸ではなかった。

いや、寧ろあれは鉛玉だったのだろうか?


違うな、どうみてもあれは鉛玉ではなかった。

明らかに赤い閃光だった。


「話しを聞いてくれないだろうか! 我らは決して抵抗するつもりはない! 本当だ!」

「さ、先程はご無礼を! 私達も抵抗するつもりはありません! ですから一度、お話を!」


イリス…

そしてしばらくした後―――

ドシン! ドシン!! ドシン!!!


大きな揺れと共に目の前からは巨大な赤い竜が現れた。

地の竜!? いや、違う! あれはなんだ!?


「ティラノサウルス!? 嘘だ、嘘だ!」


またもや聞いたことのない名だ。 しかし、何故あの様な生物が我らの前に?

まさか――我らを排除しようと!?

息を呑む、見たことも無い巨大な竜を前に思わず冷や汗を掻くほどだ。


駄目だ! 我が尻込みすれば奴らに不安を与えてしまう。

ここは我慢だ!


そして―――


『(ほぅ? ちったぁ出来る様だな? ってか通じてるか?)』

「「「「「「え?」」」」」」


思わず間抜けな声が漏れた。

後ろの四天王達に視線をやると彼等も大きく頷いていた。

まさかとおもうが、まさかと思うが―――


「ま、待ってくれ! 我らと会話が出来るのか!? 貴殿は!?」

『(お? 通じてる様だな。 あぁ、会話位なら容易いぜ? というよりも、こっちから一方的な質問だ。 そこのトウマって男? お前、異世界の人間だな?)』

「!?!?!?」


な、何故それを…いや。 不思議な事はではないか。

目の前の現象そのものが全てを物語っている。


『(よしよし、だったら話は出来そうだな? まぁ、見た感じ…こいつらの仲間じゃなさそうだ?)』

「なっ!?」

「う、嘘…」

「あ、あり得ない!」

「嘘でしょう…これはたまげたなぁ…」


視線を追ったその先には、破壊派の連中と思われる魔族の亡骸がまるで餌の様に山積みにされていた。

数にして500はくだらない。

奴らはそれなりに実力を保持している連中だ――それが、それが遊ばれる様に殺された!?


『(言っておくぜ? こいつらの様になりたく無けりゃ、ちゃんと要件を話す事だ? 俺らの主もてめぇら魔族にはうんざりしてるんだ。 次は”魔界”まで行くぜ? なんつって…がははは!!)』 


笑い事ではない。

とんでもない連中に喧嘩を吹っ掛けたものだ、あのベルザードめ!

さて、どう言い訳を始めるか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ