4.姫騎士来訪
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朝。 のんびりと目を覚ますと、何時にも増して外が騒がしい気がした。
様子を見る為、各所に設置したカメラの映像を確認する。
「ん? なんだこれ?」
何かが一瞬通り過ぎた様な気がしたが、それは一瞬で姿を消した。
『警告。警告。侵入者あり。侵入者あり。 超高速で接近する生命反応を探知。 現在円卓の騎士達による追跡を開始していますが、追い付きそうにありません。 このままでは、こちらに侵入される可能性があります』
「一直線でこっちに向かって来てると?」
『はい。 予測経路を計算いたしましたが、明らかに目的は明白。 こちらの存在に気付いているのでしょう。 捕獲用ネットも射出致しましたが、難なく回避されました』
「へぇ~…」
『ゴッド組に出撃を要請致しますか?』
「いや、それはいい。 円卓組に手を出していないんだ、何か考えがあるんだろう。 それにあいつら、今は船の解体で大忙しだろ? しゃあねぇ。 少し話してみるか」
そう告げた俺は、全員に警戒を解くよう指示すると家の外で座って待機していた。
それから数十分。 あくびをする俺の元には息を荒げたTHE女騎士様が現れたのだった。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ。 やっと、やっと見つけたわよ! あんた、一体何処に腰を据えてるのよ! ここは死の森って呼ばれるとんでもない所よ!? おまけにブラッドスネークやらミノタウロス…レッドドラゴンまで手懐けてるじゃないのよ! ねぇ!? 聞いてるの!?」
豪勢な鎧を身に着けた金髪の女性は蟹股で俺の近くに詰め寄る。
まるで知り合いみたいな物言いだな?
「あの~どちら様で?」
知らん。 というか、一切誰とも交流していない俺は知り合いなんて1人もいない筈だ。
おまけに? 金髪で巨乳で耳の尖った女性なんて知り合いに居ない。
「は? 私よ私!」
知ってるでしょ?と言わんばかりの顔で俺を見る彼女だが、いえ~? 全く心当たりありませんけど?
そうこうしているに全速力でやって来た円卓の連中が俺の周りを囲んだ。
『#$%#%&#&$?』
『$%&#&%&$%#&%』
『&%&’$%’&#&$&#&』
『%&$%#&$?』
「きぃぃぃ! なんて言ってるのよ! こいつら! あんたなら解るんでしょ!? 答えなさい!」
「え? 何で知って―――「アリスよ!!」
ん?
「はい?」
「だ~か~ら~! アリス! アリス・R・マクリル!! 今は~その~エルフに生まれ変わって。 名前もアリス・ブランヒルデって名前で生きてるんだけどね?」
俺は彼女の胸を見て尋ねる。
「アリス?」
「…は? 何処指差してんのよあんた? 胸でしょ!? 入れてないわよ!? 本物よ! こう~生まれ変わったらバインバインになったのよ!」
うん。 間違いない。
姿形はどうであれ、こいつは俺の知るアリスに間違いないだろう。
「え? なんだよ、お前もこっちに来たの?」
明らかにテンションが落ちた俺はそう告げる。
しかし、どうやって俺の場所が解ったんだ? おまけになんでこいつだけ生まれ変わってんの?
「はぁ…だから。 話をさせて頂戴。 こいつらに狙われてたら気が気じゃないんだけど?」
「あ~解った。 皆~武装解除だ。 どうやらこの姫騎士様は? あのアリス・R・マクリルらしいぞ?」
と言ったのは良いが、全員が先程とは違い…凄い殺気を込めて再び構えた。
「ひっ! 解ってる!解ってるわよ! あんた達の事も! 色々謝るから…おろして頂戴。 ご、ごめんなさい」
その言葉を聞いて満足したのか。
円卓組は全員散って行った。
「で? 話ってのは?」
「その~…中でもいい? お家の――」
「はぁ、どうぞ?」
―――――――――――――――――
彼女。 アリスの話を聞いて俺は腹を抱えて笑う事となった。
「くっくっくっ! はははははは!! マジか! マジでか!? 俺が居なくなった後に兵器達が反乱!? ははははは!!」
『あ、は、は、は、は、は。 それは傑作だ。 あ、は、は、は、は』
とこの様にアルジュナも上機嫌だった。
「くぅ~! こんな筈じゃなかったのに! あんたが突然居なくなったせいで、私達は何億もの兵器の反感を買う事になったのよ!? お前達があの方を消したんだろって! 良き理解者だったファントムを消した罪は重いって! ほんと…殺し合いにならなくてよかったわよ。 20年よ!? 彼らを説得するのに20年を費やしたわ! まぁ、それにあの世界の人間と兵器達は共存の道へ進みだした。 そこで、あんたが本来受け取るはずだった”ギフト”を私が受け取って。 今に至る訳」
成程な。
確か、当初はそんな話をしてたっけ? 世界を救った異世界の勇者は”黄金の果実”と呼ばれるギフトを受け取り、何でも願いが1つ叶うとか。
ん? 待て? じゃあこいつの年齢は…
「当時24歳だろ? プラス20年で44―――そして現在20歳、プラス20年で64!? ババァじゃねぇか!」
「う、五月蠅いわね!! そんなのはどうでもいいでしょ!!」
「何より。 なんで態々そこまでして追いかけて来たんだよ? 黄金の果実とやらでなんでも願いを叶えればよかったじゃねぇか」
何も態々44にもなってこんな所に転生する意味とは?
不思議で仕方ない。
「―――――――――だからよ//」
「はい?」
「だ~か~ら~! 好きだったからよ!! あんたのことが!! 好きで好きで仕方なかったの!///」
「え?」
何言っちゃってんのこいつ? そもそもお前は俺にヒロインらしい事を何かしたかね?
あの争いの中で何かしたかね?
「その…初めは頼りない感じだと思ってたけど。 あんたが1人であの子達を指揮する姿、次々と活躍する姿を見てるうちに思ったの。 それに総司令だった私にも気兼ねなく話しかけてくれて…いつの間にか私も隊の皆と打ち解けていった。 で、色々したのよ? ほら…何も無い日とかは皆でよく話たりしたじゃない? 2人だと…緊張しちゃうから// 皆を誘ったりしたんだ。 それに! ほら! 業務連絡の後も何時も話してたじゃない! あ、あれは緊張したけど// で、戦争が終わったら…もっと話したり、色々しようと思ってた。 けど、けど…あんたが急に居なくなっちゃうから!! うぐっ…ひぐっ…それに揉め事が起こるし…あんたを失うし! けど総司令で…どうにかしなくちゃって! だから!」
流石に大粒の涙を流す彼女の姿を見て、冗談を言う気にはなれなかった。
まぁ、今はヒロインしてるんじゃないか? うん。
なんというか、言葉足らずというか!? なんでそういう所だけシャイなんだよ!?
「悪かったよ。 俺もこんなつもりじゃなかったんだ。 まさか―――戦艦ごとな? この世界に来ちまうとは…」
彼女を抱きしめた俺はそう発言した。
すると同時に泣きじゃくっていた彼女はビクッと肩を震わせる。
「え?」
「ん?」
「え?待って? まさか、あの超ヤバイ級のガーンデーヴァが宇宙に居るの!?」
超ヤバイ級ってなんだよ。 それは初耳だぞ。
「あぁ」
「そ、そういえばあんた! その恰好! 戦闘用スーツじゃない? え?え? ほんとに!?」
「だからそう言ってるだろう。 何一つ損傷も無く、核融合炉を搭載して現在、宇宙を自由航行中だ」
「か、核融合炉!? エイリアンエンジンは!?」
「無くなった」
「な、な、無くなった!?」
「あぁ、どうやらいつの間にか変わってたというか…」
「ま、ま、ま、待って! その話! 詳しく!!」
血相を変えた彼女は俺の肩を掴むとグイグイと顔を近付けてきた。
痛! 痛い! 強い強い強い! どんな力をしてんだ!