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44.人狼と艦長

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よろしくお願いいたします

―――成程。

どうやら、ウルフの話によるとだ。


少し前にこの森へやって来た人狼の男女30人余りの世話をしていたらしい。

この事は勿論、グランパスに承認済み。

問題はウルフ含め、森の連中の主が俺と言う人間という事。


人狼からすれば人間は最弱の生き物で、ウルフやグランパスを従える程とは思えないと…奴ら人狼は言った。

そして強行手段に出たグランパス、ウルフの両名は俺を呼び出したと…


「お前らなぁ? もうちょっと上手く出来たろ?」


ピピッ!


『いや~艦長の言い分も解るよぉ? だけどねぇ? もし、森に侵入したとしてだよ? 僕達2人の力じゃ、レックスを抑えるのは無理だし…それに――』

『はい、我らでは難しいかと! 森の管理を一任されているとはいえ、流石に他の皆様の目を欺くのは―――』

「苦労するわな」


流石に最強とうたわれたグランパスでも、それは海に生息する連中に限っての事だ。

頭の抜けた実力を保持するレックス等、専用組を相手取るには少々荷が重い。


『です! そうと決まれば! マスターをお呼びして、その実力を示していただき! 奴らに力の証明をさせようと思ったのですが―――』


辺りを見渡したウルフは人狼のリーダーを思わしき人物を咥えると、俺の前にボソッと落とした。

あ、こいつ…


『まさか、ねぇ~?』

『ははは…真っ先に総大将の首を取るとは。 流石でございます』


まさか最初に大将首を狙ってくるとは、夢にも思っていなかったらしい。


「いや、まぁ…そりゃなぁ? 連携がとられても面倒だし…」

『だからって普通。 そっちを狙うかな~…』

『全くですよ! こっちの計画が狂いまくりです!』


なんで俺が悪者みたいな流れになってんだよ!


『マスター。 つまり、空気を読めという事でしょう』


黙っていたかと思えば、辛辣な言葉を放つシバ。


「………」

『『………』』

『おっと。 失礼致しました』


よし、殺す!!




―――――――――――――――――


それから4時間後の事である。


『だからぁ~言ったじゃないですかぁ~!!! グランパス!! 上手く事が運ぶわけないってぇ~!! ぐぇ…』

『ご、ごめんよ…か、艦長の事を安く見積もり過ぎていた…よ…ガクッ』


ゴン! ゴン!!


『あの~艦長? シバから聞きましたが、これは訓練なんですよね?』


メンテナンスを無事終えたアルジュナはそう告げる。

というのも―――


目の前には、ボロボロになったシャチと狼の姿があったからだ。

俺は全身にユニットを纏い、奴らをボコ―――ではなく、久々の”訓練”を行っていた。


「あぁ、そうだ。 これは立派な訓練だ。 なに? 今の実力を試しただけだ。 なぁ?」

『『は、はい!!』』

『2人共。 ”また”艦長に何か良からぬ事を言ったんですか?』

『い、いえ~特に何も~!』

『は、はい! 特に何もマスターへ言っておりません! はい!』


とまぁ、お仕置――じゃなくて、訓練はこれ位にしてと。

次なる問題が早速発生した。


「お、お、お許しぉぉぉ! ぶ、無礼をお許しください!!」


涙目で俺に頭を下げる銀髪のイケメン。


「お静まりを!! わ、私達が悪いのです! ウルフ様は悪くありません! どうか、どうか!!」


ウルフを庇う様に前へ出て来た銀髪の美少女。

その声に反応する様に子供達は愚か、大人達も手をすり合わせ命乞いしていた。


「確かにそうだな。 元はと言えばお前等の責任だったな」

「「「「え?」」」」


見事に全員は目を点にさせて、呆けた顔をしていた。


『あ~あ…知~らない』

『お、お前達!』


ユニット越しにギッっと睨みを利かすとウルフは黙った。


「では、お前等ぁ! そこに座れぇぇぇぇ!! 大人も子供も全員だ!」

「「「「「は、はい!!!」」」」」

『起動終了―――グランパス、ウルフ?』

『『は、はい…』』

『ご愁傷様です。 では、暫くスリープモードへ移行』


何かを察したアルジュナはスリープモードへ移行した。

そして俺は相手を舐めて掛かればどういう事になるのか、戦闘における基礎とそれら物事に置ける重要な点を幾つも彼等に説明した。

半分軍隊式のお説教に近いものだが、しかし! 力だけで解決しようとした結果がこれだ。


「いいか? 低い天井を見るんじゃねぇ、もっと高い空を見ろ!! んな事では、おまえらはクソ雑魚中のクソ雑魚だ! まだ余裕でゴブリンの方が賢い!! お前等人狼はそれ以下の雑魚だ!」

「「「「は、はい…」」」」

「特にそこのお前! お前は指揮する立場に向いてない! どっちかというとお前は前衛役だ! 指揮官はそこの女にやらせろ! 絶望的に向いてない!!」

「あ…はい…すみません」


涙目で銀髪のイケメンはそう答えた。


「え、私…ですか?」

「あぁ。 あの場面で単独で飛び込もうとしていたのはお前だけだ。 思い切りがいい、まぁ…他にもあるが。 それは追々だ」


なんせ、こっちはじっくりと相手の動きを観察させてもらっていたからな?

これ位の判断は出来る。

というか、実際問題。 あそこの銀髪イケメンがもっと早く指示を出していれば、多少は状況が変わっていたのは確かだ。


なんというか―――


「ウルフ!!」

『は、はい!!』


ビシッと背筋を伸ばすウルフを見て一言。


「とりあえず、この集落とこいつら人狼の事は許可しよう。 が、しかし…あまりに未熟だ。 俺の言葉の意味が解るなウルフ?」

『は、はい…その~あの~マスター? やっぱり連れて行かないと駄目ですかね?』


明らかに目が泳いでいるウルフ。

まるでこれから何が起こるのか理解している様な表情だ。


「因みにサラは2日で突破した。 1人でな?…今回は何日掛かるだろうなぁ? ふふふ、ふはははは!」

『出たよ~…艦長の悪い癖が』

『あ、あははは…はぁ』


さて、明日が楽しみで仕方ないなぁ!

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