42.いざ、雪山へ
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氷床の上を暫く歩いた俺は、立ち止まると真下の氷床を軽く叩いた。
コンコン。
「グランパス、来たぞ?」
そう呟いてから数秒。
奴が真下から姿を現した。
『やっほ~久しぶりだね~! 艦長!』
上機嫌でやって来たシャチは俺に向かって笑顔でそう答える。
実際は氷越しにやり取りしている訳だが…
「おぅ。 お前こそ元気そうで何よりだ」
『そりゃね! ここはわりかし楽しいよ~! んで、早速なんだけど』
ピピッ。
『グランパスからMAPデータを受信致しました』
「ん? MAPデータ? それも、これは…近くの山?」
そこには近くにそびえたつ雪山のデータがあった。
グランパスの奴、何の為にこんなデータを?
『そそっ。 どうも最近ウルフの様子がどうにもきな臭くてね? 個人通信でお呼び出ししたんだ~』
「きな臭い?」
『うん。 裏切りとかそういう事は絶対に無いんだけど、なんていうか…何かを隠してる気がするんだよね』
「成程」
『一応僕も、ウルフの行動パターンを解析したんだけど。 そのMAPにある山の中腹辺りでよく止まってる事が多いんだよね。 真面目な彼の事だから、何かに巻き込まれたか―――』
「あるいは何かを抱えている、という訳か?」
『うん。 それに僕は…その、この周辺から離れる事が出来ないからさ…』
何かに視線を移したグランパスは残念そうに答える。
あぁ、そうか…そうだったな。
『頑張れ! 6020番! もう少し! もう少しデータがあれば! 我らは雪原地帯も怖くない! さぁ! がんばるであります!!』
『イエッサー! うぉぉぉぉぉ!!』
雪まみれになりながら、必死に進み続けるWLAH部隊の者達。
その後ろには途中で力尽きた様子の者達もちらほらと見える。
「あれか…」
『あれなんだよね…」
なんでも雪原地帯のデータが少ないWLAH部隊は装備拡張の為、雪原でのデータを収集している様だ。
まぁあの根性が、奴らの良い所でもあり悪い所でもあるというか…普通はそこまでしないだろう。
「普通、壊れるまでやるか?」
『あはは…まぁ。 それが彼等なりのやり方なんだとおもうよ…ただ―――』
ブロロロロ!!
フラフラやって来た大型ドローンはしびれを切らしたのか、大人しい様子から一変。
ガチャンガチャン!!
アーム部分を展開後、赤いモノアイを光らせ怒鳴り散らしていた。
『ふざけんなぁ!!! WLAH部隊!! これで何機目だ! ちきしょうがぁぁ! こっちは今なぁ!? お前等の回収をしてる場合じゃねぇんだよ! あぁん!? 人魚族と魚人族って野郎どもの特産物をなぁ、今地下格納庫に収めている所なんだよ! 解るかぁ!? えぇ!?』
『ま、まぁまぁ! ドローン様! そう怒らなくてもいいじゃないですか! 我らも我らなりの信念というものが――』
『うるせぇ!! 信念か何か知らねぇが! こっちは手が足りてないって言ってんだよ!? さっきから言ってるよなぁ!? 倒れるまでやるんじゃねぇってよぉ!』
『で、ですが! 我々にも! 信念―――』
『さっき聞いたよぉぉ!? くそっ! お前等と会話してたら頭が痛くならぁ。 チッ…しゃあねぇ、運んでやるよ』
『『『あ、ありがとうございます!』』』
向こうも向こうで、苦労している様だ。
今は…うん。 そっとしておこう。
「まっ、がんばれよグランパス」
『ほどほどに頑張るよぉ~…』
「あぁ。 さてと…シバ? パーシュパタをオートで目的地へ送れ」
『了解。 オートで移動を開始致します』
パーシュパタの起動を確認した俺は準備運動を始めた。
「いっちに~さんし~! さ~て、やるか。 昇降用のワイヤーを降ろせ」
『マスター。 まさかと思いますが…』
この氷床地帯を抜けるには1キロ以上道を引き返さなくてはならない。
となれば、移動手段が歩きしかない俺にとっては最悪の条件だ。
しかし―――今この場でパーシュパタに搭乗出来れば話は別。
「そのまさかだ?」
『マスター、お言葉ですが…面倒だからといってこういった特殊な方法は―――』
「いいからやれ」
『了解致しました。 ワイヤー降下――――そのままオートでマスターの頭上を通過致します』
「おっけー…いくぞ…腕がつりませんように! 腕がつりませんように!」
『艦長…まさか、アレやるの?』
「あぁ!」
笑顔で後方のグランパスに答えた。
『お、御達者で~』
「うるせぇ。 そっちのがはやいだろ?」
という訳で―――
目の前、約20m程の所には黒いグリップとワイヤーが垂れているのを確認。
目視で高さを確認した俺はそのまま頭上へ腕を伸ばした。
そして―――
ゴン!!
「よし来た!!」
『成功、おめでとうございます』
「どういたしまして」
ワイヤーのグリップを掴んだ俺はそのまま宙に浮いた。
ゴゴゴゴゴ!!
しかし―――
「寒い! 顔が寒い!!」
『だと思いました。 コックピットハッチ展開―――昇降ワイヤー…作動』
カシュン…
ギュィン~
そのままコックピットへ収納された俺は目的の場所へ向かったのであった。




