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41.氷雪地帯へ

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キューン…


駆動音と共に僅かに振動を感じる。

久々に握る操縦桿、少し油臭いこの感じ―――タッチパネルの操作も久しぶりな気がする。


『各部動作チェック―――問題ないようですね。 では私は各フレームのメンテナンスに移行致します。 以後はサポートデバイス。 シバへご命令をお願い致します。 では――』

「了解」


プツン!!

ジジジ…ピピピ!


『おはようございます、マスター。 システムスキャンモードで起動―――お久しぶりでございます。 サポートデバイス、シバ。 これよりマスターの支援を致します』


アルジュナに代わり、男性の音声がモニター越しに聞こえてくる。

そうか、こいつも久々だな。


「よろしく頼む。 シバ」

『お願い致します。 では―――出撃準備へ移行。 格納EV起動―――以後はこちらがオートで対応致します』


徐々に景色が変わる。

初めは鉄壁しか見えなかったそこには、光が差し込み―――


ガチャン!!


「こ、これが…パーシュパタですか!? すごい! すごくデカい!!」

『ほぇ~久々に見たけど。 それを出されたら俺らの存在意義よ? なぁ? アグニ?』

『仕方ないだろう。 艦長のフレームは全てメンテナンス中だ』

『メンテナンスって…最近頻度が多くねぇか?』

『ふむ、言われてみればそうだな? 後でアルジュナ様に聞くとしよう』


というかお前達。

タッチパネルを操作し、音声を外部へ出力する。


「っていうか、お前らのけ! しっしっ! こっちはグランパスに呼ばれて森の北へ向かわないと行けないんだよ。 ほれほれ!」


俺は目の前に現れた滑走路から退けと指示を出す。


『あ、そうか! 悪い悪い! 艦長!』

『では! 行ってらっしゃいませ!』

「いってらっしゃい~! ご主人様!」

「おう、留守は頼んだぞ? じゃあ行くか、シバ?」

『了解』


ゴゴゴゴ!!


『ブースター起動。 出撃準備中――暫くお待ちください』

「了解した。 さてと、久々に握る操縦桿だ。 落ちない様に気を付けるか」

『こちらも精一杯サポートを致しますので、ご安心を――』

「頼もしいねぇ」


シートベルトはしっかり身に着けた。

戦闘服のパイロット機能もONにした。 

準備は完璧だ。 何も怖いものは無い。 

あるとすれば―――


『オーライ! オーライ! はいストップであります! マウントアームに武器の装備を完了したであります!』

『よくやった! 2600番! では滑走路の位置を30度に固定だ! 4000番』

『ラジャー! 滑走路角度、30度に固定! 各部のチェック完了! 艦長! いつでも出撃可能であります!』


ビシッと一列に並んだ数機のWLAH部隊。 

奴らに兵装の選択は任せたが、大丈夫だろうな?

少し心配だ。


「パーシュパタ発進!」

『ロック解除―――発進致します』

「ぐぉ…」


流石は地上、パイロット機能をONにした状態でもかなりのGだ。

気分が悪くなるほどのものでもないが、暫くは夢に出てきそうな感覚である。


こうして俺は二足歩行型起動兵器”パーシュパタ”に搭乗し、森の北を目指し飛び立ったのである。

あ、因みに色々な眼を避ける為にあえて低空飛行で飛び立った。

それからものの数十分―――


気付けば目の前の景色は真っ白な雪景色へと早変わりしていた。

雲一つなかった青い空が、多少の移動でこれだけ姿を変えるんだ。

流石は死の森と言うべきか。


「まぁ。 こっちは相当な距離を数十分で移動している辺り、色々とおかしな話なんだけどな?」

『こちらは音速に近いスピードで移動していますので―――これ位は当たり前です』

「音速ねぇ…」


ともあれ、呼び出しを食らった本人へ会いに行くとしよう。

記されたMAP通りに移動を開始した俺は途中でパーシュパタを降りた。


「改めてみると…すげぇな」


全長16m、外観は黒一色で各部に設けられた赤く発光する放熱板が禍々しさをより強調させている。

まるでラスボスが乗り熟していそうなロボットだ。

割かし俺はこのデザインが気に入ってる、理由は簡単―――何か浪漫を感じるからだ。


が、問題はその重量だ。

ありとあらゆるシステムを内蔵し、防御面を最大強化する事で最強の防御力を手に入れ、尚且つ…高出力のブースターを内蔵する事で機動性のデメリットも相殺出来た。

しかし、姿はシャープな形をしていても重量ばかりは誤魔化せない。


その重さなんと――


「100t…これじゃあ氷床の上は歩けないよな、流石に」


思わずため息が零れる。

完全ワンオフ機体―――浪漫の塊―――これ以上の存在は無いに等しい。

だが、その重量が全てをぶち壊し、俺に現実を突きつける。


「ホバー移動位は出来て良いと思うんだけどな…」

『出来ない事もありませんが、かなりの熱量かと思われます』

「そう…じゃ。 おとなしくグランパスを探しに行くか…寒いけどな!」

『申し訳ありません。 アルジュナ様程の権限はありませんので、戦闘服の機能が一部機能制限に掛かっておりまして』

「知ってるよ!」


普通ならこの辺のサポートもしっかりしてくれるはずが、肝心のアルジュナはメンテナンス中。

かと言って代役のシバにそれ程の権限はない。

必要最低―――つまり、戦闘に置いて必要不可欠な機能だけしか今は使えない状態でいる。


「はぁ。 先が思いやられる…」

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