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40.どうしてこうなった

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よろしくお願いいたします

悩める子羊、基魚人族達の相談に乗っていた俺は―――


「――――――――という訳なんです。 兄貴!!」


そう告げたのは魚人族の長の右腕と呼ばれた男イグニス。

彼を含め十数人の相談に乗っていた俺はいつの間にか、彼らに兄貴と呼ばれる様になってた。

気にせず話をつづけた俺が悪いんだが…


他の連中はどうしたのかというと、現在はイグニスの命令により自らの国へ帰った。

とりあえず、それなりの地位である十数人の者を残した訳だが、彼等も彼等なりに苦労してきた様である。


「成程。 長の命は絶対か…それでよくまぁ、ここまで堪えて来たもんだな?」

「ははは…流石に我らも馬鹿ではありません。 私利私欲の為に人魚族を狩るなど…それこそ蛮族のする事ですよ」


しかし今回ばかりは抑止力となっていたクラーケンが失せ、グレイプの説得する材料を失い、渋々実行せざる得なかった様だ。


「それがまさか、兄貴が独自に使役していたとは…あのシャーク殿も兄貴の配下なんですよね?」

「あ、あぁ…。 奴もそうだ。 しかし、悪い事をしたな。 元を正せば俺の責任な訳で――」

「「「「いえいえ! お気になさらず!!」」」」


だが、彼らはやけに上機嫌だった。


「お、おぅ? そうか…」

「そもそも、我らと人魚族の民達は仲違い等しておりませんし。 雰囲気ですよ、雰囲気。 実際突入したところで、話合いに持ち込もうと思っていましたし…ですが」

「アレが原因か?」


俺は後ろの男に見えない様に指差してみせる。


「「「「「コクコク」」」」」


全員が一斉に頷いた。

成程。 こいつらもこいつらで色々と考えがあった訳か。


「ともあれ、どちらも友好的な関係に戻るのは間違いないだろう」


なんせ―――


「そうですね! なんせ新たな抑止力が生まれた訳ですから!」


いや、それを敵でも味方でもない俺に笑顔で言わないでくれる?

なんか凄い複雑。


「お前達魚人族にも証明できたし。 俺は勿論、人魚族の味方なんて一言も言ってない。 俺があいつら2人に出した条件はこうだ。 平和的な解決を願う」


それだけ、たったそれだけを告げた俺は2人の前を離れた。


「とは言え、シャークさんとクラーケン様が海を徘徊しているでの。 争えば一発でバレると?」


流石がイグニス、話が早い。


「そうだ。 海は俺の物でもなければ人魚族や魚人族の物もない。 みんなの物だ。 つまり? そこで

争う連中を俺は害虫と認定し…大自然の為に排除しなければならない。 勿論、話は簡単だ。 大将首を一発で仕留める」

「「「「「ゴクッ…」」」」」


少なくとも、次にこういう事があれば。

グレイプさえ仕留めてしまえば、こいつらは降伏するだろう。

勝ち目のない相手に喧嘩を売る様な馬鹿じゃない事は十分理解できた。


「とは言え、やりすぎたよな? すまん…」


生まれてこの方、平和的な解決策を俺は何一つ知らない。

話し合いで済めばそれでいいんだろう。

だが、俺からすれば自らの力を証明し―――見せつけた方が手っ取り早い気がしてならない。

半分以上脅しの様なものだが、これ以上に効果的な策を俺は知らない。


「いえいえ。 今回ばかりは、兄貴の御手柄ですよ! それに、深まった溝はどうしようもありません。 最悪…失脚させようと企てた事も何度あったか…」

「「「「うんうん」」」」


噛みしめる様に深く頷いた皆。

お、お前等…そこまで考えて…。

彼等の置かれた立場にも同情せざるを得ない。


「ですが、まぁ。 一応幼馴染なので僕もあまり大きな声で言えないんですけどね? 最悪の場合は僕が後ろから刺そうかと思いましたし! 今日ばかりは!」

「「「「え?」」」」


笑顔でなんて事を言うんだ、イグニス。


「まぁ、悪い様にはならないだろう。 さてと…」


重い腰を上げた俺は再びサラを手招きする。


「はいはい!? どうされましたかー!?」

「後は頼む」

「へ!?」


何をそんなに驚いてるんだ?


「奴らが起動すれば最後、後6時間は動くんだぞ? その話し相手になってくるんだよ」

「あ…成程」

「なんならサラ。 お前が行くか?」

「いえ! 遠慮しておきます!! ビシッ!!」


綺麗な敬礼をしたサラは笑顔で俺と持ち場を交代した。



「んじゃ、何かあればそいつに言ってくれ。 何を心配そうにしてるんだ? ――――大丈夫だ。 俺が大丈夫だと判断したんだ? 意味は解るな?」

「な、成程~…もしかしてこちらのお嬢さんも?」

「気を付けろ? そいつからしたら、6万なんてすぐかもしれないからな?」


意味深な発言を残し、俺は自宅へと帰って行った。


『艦長。 あれはやりすぎでは?』

「女だからと言って、なめられちゃいかんだろう? だから当然の発言だ」

『艦長。 いま、凄く悪い顔をしている事にお気付きですか?』

「ぜんぜん?」

『嘘ですね。 気付いていますね?』

「いや? 全然気付いていない」

『本当ですか?』

「本当本当」

『怪しいですね?』


こうして、人魚族vs魚人族の戦争は幕を閉じた。

とはいえ、俺達vs魚人族と言う方が正しいか…まぁ、一件落着という事で!


「んじゃま、俺らは一足先に帰るか」

『そうですね。 サラであれば、問題はないでしょう』



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