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38.圧倒的数の暴力

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よろしくお願いいたします

「あの…なんと言いましたか? もう一度お聞きしたいのですが…」


呆気に取られたサフィーニアはそう俺に尋ねる。


「これから魚人族を無力化させる」

「ち、違います! その前です! その前!」

「その前?」

「あの~ご主人様? 恐らく彼女はその前に言ってた…どれだけの人数を投入するかって話じゃ…」


成程。 そういう事か。


「相手が6000なら、こっちは3倍の1万8千だ」

『―――という訳でさっさと働け! グズ共! いいか? 海如きにビビってるんじゃないぞぉ! お前等は元々意識集合体―――1つの存在をバラバラにした、所謂カスみたい連中だ! ボディが錆びる? 関係あるか! エネルギーが持たない? 後で拾ってやる! 相手は6000…こっちは1万8千投入するんだ? 失敗なんか、しないよなぁ!?』

『『『『『サーイエッサー! アルジュナ様!』』』』』

「あの~…ご主人さま?」


変わり果てたアルジュナの言動に疑問を持ったサラだが―――


「今は止めとけ…噛み付かれるぞ」

「は、はい…」


俺はサラに「話なら後で幾らでも聞いてやる」とだけ告げると、再びディスプレイを操作し始める。


『艦長! 全部隊、持ち場へ着きました! ご命令をお願い致します!』


ビシッと敬礼した2m程の人型兵器”WLAH部隊隊長”のレッド。

無駄に無駄を省いた低コストの人型兵器で、水中用バックパックを背負っていなければ…ほぼほぼ人間に近いフォルムをしている。

他の専用機と違う点は、バリア&レーダー等、便利な機能は一切搭載されていない事だろう。


その代わりと言ってはなんだが、どの部位が壊れても直ぐに修理…流用が利く所はある意味長所なのかもしれない。


おまけに頭部を守る物は薄いバイザーと持ち前のモノアイで…視野も狭いと来た。

しかし、彼事レッドは一応隊長機ともあり、立派なブレードアンテナが角の様に頭部に搭載されている。

カラーリングも赤で他の連中との違いは歴然だ。


「ご主人様? 何故、他の方々は灰色なんですか?」

「こいつは隊長機のレッド。 文字通り、隊の指揮を取るリーダー機だ。 が、他の連中のカラーリングは…まぁ。 塗装されてないって事よな…?」

『その通りであります! 我らグズに個性を求めてはいけません! グズはグズ! 所詮私も中堅のグズです! ともあれ! 艦長! 何時でも出撃可能であります!』


いちいち声が大きいし…言動が変だ。

まぁ、原因はアルジュナのせいだろうけど?


「では、お前達レッド隊と…ブルー、イエローは俺の提示したプランで作戦を実行。 他の連中はアルジュナに従え」

『『『『『サー! イエッサー!』』』』』

「では、作戦を開始する。 いいか? 今回の目的は鎮圧ではない。 あくまでも相手を無力化できればいい。 が、お前達に魔法耐性が在るとも限らん。 それはぶっつけ本番だ。 今回ばかりは圧倒的物量で相手を押しつぶす―――いいな!?」

『『『『『サー! イエッサー!』』』』』


作戦のデータを送信した俺は空を眺めた。


『航空部隊発進―――』


ゴォォォォ!!

物凄いスピードで10機の輸送機が空を駆けて行く。


ドドドドドド!!!

10機の地上輸送装甲車が海岸へ到着。


『海上部隊の到着を確認―――海上輸送機―――着水―――』


ザバーン!

更に10機の輸送船が水上に着水。


『地上輸送用装甲車―――レールガンモードへ移行―――スタンバイ』


ガチャン! ガチャン!!

砲台を出現させた装甲車は戦車の様な見た目に変形を開始。


『アウトリガ装置作動。 車体を固定―――砲撃準備可能状態へ移行します』


ガシュン!

装甲車から現れた4つの杭は地面へ力強く突き刺さった。


「おいおい…レールガンって」

『念の為です。 必要とあればお使い下さい』

「使わないことを願いたいねぇ」


ピピッ!


『こちらレッド。 部隊の攻撃準備整いました』

「状況報告」

『はっ! 現在、シャーク様とクラーケン殿が魚人族なるものと交渉中。 ですが―――』

「説得は不可能と?」

『はい! 恐らくこのままですと、相手が痺れを切らし。 攻撃してくるものかと…』


だろうなぁ。

状況から見て、どう考えても裏目に出てしまう。

相手とこちらの温度差が違い過ぎると言えばいいのか、何を言った所で無駄だろう。


「そうか。 では、痺れを切らす前にこちらから仕掛けるぞ?」

『はっ! 全員! 電磁用捕縛ネットの装填は完了しているな?』

『『『『『はっ!!』』』』』

「よし。 アルジュナ?」

『こちらも問題なしです、艦長!! パーティーのはじまりだぜぇぇぇ!!! YhaaaaHaaaaaaa!!!』


こっちもこっちで温度差がひでぇ!!

くそう、どちらかに意識を固定出来ないのか? まじで…


「では、攻撃準備!!!」

『『『『『サー! イエッサー!!!』』』』』

「いいか? 全員大人しくさせろ? 俺達に失敗は許されない―――全軍! いけぇぇぇ!!」

『航空部隊、海上部隊、水中部隊――攻撃を許可します』

『『『『『うぉぉぉぉぉ!!!!』』』』』


モニター越しからでも驚いているのが解る。

空から降り注ぐ捕縛用ネット、海上から落ちて来るショックボルトと呼ばれる電撃地雷。

おまけに銃を構えた水中を泳ぐ連中が居たる所から出現。

もはや問答無用で攻撃を開始する。


圧倒的にも思えるが―――


ズガン!!

『1020号機大破。 やはり―――』

「まぁ、魔法耐性はありませんよね? 知ってた」


身動きの遅い水中で魔法を受け、大破した1020号機。

早速犠牲者が出始めた。

と言っても――ー


『ちきしょう!! 1040番! おまえ今! 俺の事を撃っただろ! お陰で的になったじゃねぇか!』

『五月蠅いぞ! 1020番! お前が調子に乗って前に出るからだ! 俺は悪くない!』


こんなこともあれば。


『800番! お前はいいよな…俺なんて水中部隊に選ばれたんだぜ? 今頃お前はお空の旅と洒落込んでるんだろう!!』

『ははは! 悪いな! 799番! 水中部隊は800番から…らしくてなぁ? なはははは!』

『くそがぁぁ! こうなったらお前より戦果を挙げてやるぅぅぅ!! うぉぉぉぉ!!』


実はこいつらを投入して、この会話を聞くのが楽しみでもあった。

何故なら―――


『うぉ! あれが魚人族って奴か!? 気持ち悪! 半魚人だろあれ!? エイリアンよりやべぇぞ!』

『ばか! んな事言うなよ! 829番! 元はと言えば人魚の方がそれを言って争ってるんだぞ! お前が言ってどうするんだ!』

『え~! けどよぉ~850番。 正直どうよ? 頭が魚って嫌じゃね?』

『いや、その…確かに』


正直吹き出しそうになったが、寸前で堪えた。


『なぁ? 1260番? 俺、これが終わったらアーミーちゃんとデー…うぁぁぁぁぁ!!!』

『馬鹿かぁぁぁぁ! 940番ぁぁぁん! 死亡フラグを建てるなぁぁ!』

『940号機大破―――続いて1220号機大破―――』

「え!? ご主人様!?」


だ、駄目だ! 笑っちまう。 

笑うな俺? 絶対笑うなよ?


「いや、何も無い」


なんというか、やはり先が思いやられる。

違う意味で――





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