3.溢れ出る何か
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自宅の周辺に潜むゴブリンを次々と未知の兵器で仕留める俺は痛感していた。
パンパン!!
「グギギギ!」
成すすべもなく頭部を撃ち抜かれたゴブリンは息絶えた。
現在使用している武器は”ミヤコワスレ”と俺が勝手に名付けたリボルバー型の銃。
本来の名称は…忘れた。
「こっちも試すか」
シリンダ―を右に2回転させる。
『ビームモード』
音声と共にモードが切り替わった事を確認。
「そらよ」
チュン!!
すると先程とは打って変わり、銃口からはビームが発射された。
それはゴブリンの頭部を貫くと後ろの木まで命中。
綺麗な丸い焼け跡が残っていた。
「う~ん…これは場所を選ぶな」
『後方に敵影。 バリアフィールド展開します』
ガン!
「ギャギャ!? ギャギャギャ!!」
ガンガンガン!
何度も俺に攻撃を食らわそうと棍棒を振るうが、壁に遮られたかのように棍棒は俺の目前で跳ね返る。
流石は安心と信頼のバリアフィールド。
軍服に内蔵させておいて正解だったな。
「さてと、まぁこんなもんか」
レーザーソードの電源を入れた俺はゴブリンの頭部をいとも簡単に切り裂いた。
「ギャ―――?」
奴自身何が起きているのか理解していない様な顔だ。
無理も無いか…お前達も流石にコレが見たこと無いだろうし。
「しっかし。 本当は大型のモンスターと戦闘したかったんだが…」
近くを通る大蛇に目を合わせるが、奴は何事もなかったかのように俺の真横を通り過ぎて行った。
まるで顔見知りの住人の様な扱いを受けている。
「ドラゴンもな~…おい! ドラゴン! 下りてこい!!」
「ギャォォ~」
優しい鳴き声が返ってくるだけで、一向に襲ってくる気配がない。
『艦長。 憶測にすぎませんが、どうやら森のモンスター達は艦長の事を森の住人とお認めになったのではないでしょうか? それを証拠に艦長の体内からは異質な何かが溢れていますし…』
「異質な何かって、何だよ?」
『解りません。 こちらでは解析不可能です。 ですが、身体に悪影響を及ぼすものではないかと―――実際問題。 艦長の体調は良くなるばかりですし…』
「確かにな。 最近は身体が軽いんだよな~」
理由は解らないが、最近はやたらと身体が軽い気がする。
ん~溢れ出る何か…なんだ?
『ともあれ、戦闘データは十分に確保致しました。 後々スーツの方にもフィードバックしておきます』
「おkだ。 っていうか軍服の事をスーツっていうな! 一気にヒーローっぽく聞こえるだろ!」
『ですが、それは戦闘用スーツの改良型ではありませんか』
実のところ、俺の着ている軍服は戦闘用スーツの改良型である。
元々はピッチリとしたパイロットスーツの様な物で、あの世界の住人はそれを好んできていたが、俺はピッチスーツはどうにも気にくわなかった。
それに軍服の方が、なんかかっこいいじゃん?という理由で独自に改良を重ね今に至る訳だ。
「よし、じゃあ戦闘服にしよう! まだそっちの方がマシに聞こえる!」
『ラジャー。 以降の名称は戦闘服という事で』
「頼んだ」
しっかし、俺に寄って来るモンスターは雑魚ばっかりか…少しでも戦闘の経験を積んでおきたかったんだが。
どうにも大型のモンスター達には避けられている様な気がする。
―――――――――――――――――
帰宅した俺は家の前で、溢れ出る何かを魔力と信じ色々と試行錯誤を重ねていた。
「ファイアー!!」
「ブリザード!」
「ウォーター!!」
「サンダー!!」
「サイクロン!!」
「クエイク!」
「ダーク!!」
「ホーリー!」
「キュア!」
「ヒール!!」
・・・・・・・・・・
「駄目だ! 全然何も起こらん!」
『$%#&#$%#%&#$&%#$?』
「なんだってアーサー? 魔力とも限らない? んなわけあるか! 溢れ出てるんなら魔力だろ! それ以外何があるっていうんだ! 起これ天変地異!! 傷よ治れ!!」
『そもそも、艦長? 傷等一切ないでしょうに…』
地上に降りて来ていたシヴァは腕にドラゴンを乗せ飼い慣らしていた。
アグニとは打って変わり、青一色のスマートなフォルムと目立つクリアパーツのせいか、より一層幻想感を漂わせている。
「遊びに来るのはいいがな? モンスター共を飼い慣らすんじゃねぇよ! 此処に住みついたらどうする気だ!」
『まぁまぁ、艦長。 どうやらこのモンスター達も艦長には服従している様ですし。 問題は無いと思いますよ? それに見て下さい。 この広大な自然! 素晴らしい。 これこそ私が求めていた環境ですよ! どうです艦長? いっその事、家の地下に格納庫作りません? 何人か来たい者もいる様ですし』
ん~そういう話は聞くが、お前らサイズの奴を収める格納庫だろ?
んなもん材料集めから始め無いといけないだろ?
ピピッ!
『もしや艦長? 格納庫作成時の材料の心配をされていますのかな?』
急に届いた通信は久々に声を聴いたブラフマーの音声だった。
「なんだブラフマー。 お前から通信を寄越すとは珍しい」
『ほっほっほ。 この老いぼれ、お力添えを致しましょう。 何々”次元格納庫”の方にエイリアン共
の大型戦艦を20隻程収納しておりますからのぉ。 まぁ、殆ど綺麗に鹵獲しておりますのでご安心を』
「成程。 次元格納庫―――」
『おい?じじぃ! てめぇが犯人か! あんたのせいで次元格納庫が使えなかったのかよ!』
『成程! ブラフマー殿。 それはいささか聞き捨てならない台詞ですね? 見てください? 全員…お怒りの御様子ですよ?』
『ふぉっふぉっふぉっ……謝ったら許してもらえますかのぉ?』
ヴァーユとアグニが通信に割って入って来た。
おっとこれはひと悶着ありそうだ。
シヴァの方に目を向けると奴は早々に通信を遮断していた。
流石はシヴァ…危機回避能力には長けている奴だ。
「おい、アルジュナ?」
『了解。 回線を遮断』
これでよしっと…
さて、俺は溢れ出る何かの調査を再開するとしよう!
「メ〇!」
「ギ〇!」
「ラフォイ〇!」
「マダン〇!!」
『あの、艦長。 何故かはわかりませんが…危険を感じます』
ふっ…気にするなアルジュナ? これは俺の戦いだ!!