34.これぞスローライフ
気軽に感想いただければ作者のモチベに繋がります!
よろしくお願いいたします
「ふぁ~よく寝た」
『12時間25分の睡眠でしたね』
詳細を言わんでいい。
しかし―――
『(地下ハッチ展開―――ジェット、出撃準備―――カウントダウン開始―――3―――2―――)』
ウィーンガチャン…
家の近くの地面に穴が開き、そこからジェットが飛び出してきた。
あれは所謂地下エレベーターで。
『ジェット! 発進!!』
『(1――――――――ロック解除―――どうぞ――)』
『いっくぜぇぇ!!! あ、艦長おはようございます!』
ビュン!!!
そうジェットは告げると青空に消えて行った。
「お、おはよう…」
『(各員へ通達―――定期メンテナンスのお知らせです―――今回はアーミー隊の皆様がメンテナンス対象となっております。 昼頃地下メンテナンス室へお越しください)』
「ん? あいつら、こっちに来てるのか?」
『はい。 昨日の深夜に雪を見に行くと…全員を連れて北の方へ向かわれました』
「なるほど…」
と、この様に落ち着いた日々を取り戻したものの…1ヶ月離れただけで自宅周辺は一気に騒がしくなった。
獣の鳴き声は仕方ないとして―――
「ギャーーーオ!!」
「レックス!! てめぇが一番うるせぇんだよ!! 何処から吠えてやがる! こっちまで聞こえるぞ!」
『約50㎞先からですね』
恐竜共の鳴き声、主にレックスだけが五月蠅い。
50km先からかよ…。
『まぁまぁ艦長。 アレが五月蠅いのは何時もの事ではないですか…』
声をした方向に視線を向けると大空を泳ぐプテラノドンが居た。
「プテラか…まぁそれもそうだな。 あいつ五月蠅いし…」
『あまりに五月蠅ければ、またトリケラの奴が突きにいくでしょうし』
「だな。 ふぁ~。 ともあれのんびり過ごすとするか~」
『えぇ! それが一番です。 では!』
「おう」
プテラに向け後ろ手で右手を振った。
さてと、先ずは準備体操を済ませてから――
そこで俺はある者と目が合った。
見慣れた格好のゴブリンだ。
「ギャギャ…」
ゴブリンはゆっくりと俺の前に森の果物を置くと一礼して姿を消した。
「…またお供え物か?」
『かと』
どうにも奴らと魔物は共存しているらしく、その王と認識されたレックスの主である俺は自動的にこの森の魔物達の王と認識され。
毎日欠かさず大量のお供え物が俺当てに届く。
「っていうか、なんで俺は魔物と言葉が通じないのに。 奴らは会話出来るんだ? そもそも魔物と会話できるっておかしくね?」
『解りません。 これもまた新たな機能なのでしょう…しかし、魔物と会話出来るのが彼等だけというのも気になりますが』
「だな。 生物型の連中だけそれが出来るらしいし、あとは海の連中もか?」
『はい。 シャークの情報によれば、クラーケンなる魔物と戦闘を繰り広げ。 勝ったとの情報を―――』
クラーケン。
体長30mにもなる巨大なイカとタコみたいな化け物をシャーク…サメのロボが1人で倒したらしい。
なんでも話し合いを試みたが、偉そうな態度で何度も挑発してくるので、完膚なきまでボコボコにしてやったらしい。
そのせいで今はクラーケンが俺の仲間入りしている。
「クラーケンねぇ。 今から挨拶に行ってくるとするかな。 サラ! お前もくるか?」
「はい~? ご主人様?」
ニコッと家の玄関から顔を覗かせたサラ。
今や彼女は副艦長として立派に仕事を熟している――というか正直。
『艦長より働いていますしね?』
「それは否定しない」
「で? あの~?」
「いやな? クラーケンって奴を見に行くか? って話だ」
「クラーケン!? それってシャークさんが倒したって言う!?」
「あ~それそれ」
サラ曰く、クラーケンとはそれはそれは恐ろしい魔物だという。
なんでも魔獣と呼ばれた存在で、冒険者達は奴の存在に悩まされているらしい。
「いきます! いや~1回みてみたかったんですよね~。 ちょっとまっててくださいね! お弁当つくりますから!!」
「お、それはいいな。 だったら待っておく」
「は~い!」
待つこと数十分―――
地下エレベーターで移動を始めた俺達はものの10分で目的地へと到着した。
そして俺はエレベーターを見て一言。
「たかが1ヶ月で全方位にエレベーターを設置するかね!? どうなってんだ俺らの技術力は! ていうか、この森はアマゾン並なんですけど!? それがこうも簡単に移動できる!? すばらしい!」
「これもブラフマーさんが考えたんですよ。 なんでも、ご主人様の事だから彼等に呼ばれる事が多いだろうって。 だから急遽! このエレベーターを作ったんですよ!」
地面を掘り返したのか、トンネルを掘ったのか、気になる事は山積みだが、さて置き俺は足を進めた。
森を抜けて直ぐの海岸沿いに、一際目立つシルエットのそれを見つけた俺は思わずため息を零した。
「でかいな?」
「3、30mはあるらしいですからね…?」
にしてはデカ過ぎやしないか?
もしかして―――全長30mではなく、胴体だけで30m?
ははは…そりゃ冒険者も恐れる訳だ。
『ざっとスキャンしたところ、触手込みで200mはくだらないでしょう』
「まじで?」
『まじです』
200m…じゃあなにか?
あの下には巨大な触手が何本も?
考えただけで気持ち悪くなってきた、今はやめておこう。
『お? サラ副艦までいらしたんですね? こいつがそのクラーケンってやつです! ご安心下さい! 俺が見張って―――って、まだ艦長は慣れないんですか? 俺の姿に?』
水面から顔を出すサメから距離を取った俺はサラを盾に話しを進める。
「どうもサメだけは昔から苦手なんだ」
なんというか、生理的に無理だ。
俺が海嫌いな理由も殆どサメのせいだし…幼い頃にサメ映画ばかりを見てきたせいで、この様な結果になってしまった。
駄目だ! サメだけは慣れん!
「いいぞ、続けろ」
『は、はい~。 で、一応俺の部下?手下?となった訳なんで、挨拶をと!』
「$&#&$#&$#&%$」
解らん。 タコ頭のそいつは目を細めると海中から触手を出して来た。
握手か? そう思った俺はヌメヌメした触手を力強く握った。
あれ? おもったよりヌメヌメしていない。
「何を言ってるか解らんが、よろしく。 サラは…」
「………」
立ったまま気絶していた。
忘れていた。 確かこいつ、昔海に遊びに行って足にタコが絡みついたんだっけ?
「あ、だから…さっきからひと言も話さない訳か…」




