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2.のんびりと1日

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この世界にやって来て1週間。

相も変わらず真っ暗なマント付きの軍服を身に着けた俺は外で日向ぼっこと洒落込んでいた。


「にしても食料と水の問題は、1~2年どうにかなりそうだな」

『ですね。 我らがエネルギー源を必要としないので。 そして、艦内には支給された大量のレーションと水がまだ大量に残っています』


となるとゆっくりその辺の問題は解決するとしよう。


「で? 周辺の情報は?」

『周辺約600万平方kmに及び、モンスター以外の生息は探知できませんでした」

「600万平方km…大森林じゃねぇか…」 

『はい。 全区域の調査を致しましたが、人が通った形跡などは確認できませんでした。 どうやらこの世界の住人は余程のことが無い限り、この森へ侵入する事は無いかと思われます』


それだけこの森が危険という訳か…わからんでもないな?

日常的にドラゴンが空を泳いでいて、家の外周を10m以上ある巨大なヘビがうろつき?

ミノタウロスとか言う二足歩行の牛の化け物がウロウロしている。

おまけに―――


『しかし興味深いですね。 北・南・西・東に渡り、森の環境が著しく変化しています』

「そういえば言ってたな? 森全体の気温と環境が安定していないとか?」

『はい。 それぞれの方角―――そうですね、ここを起点に100km地点を超えた所で環境が一気に変化致します。 これが北の方角100km地点の映像です』


目の前に現れた映像を確認すると、目前までは土の地面が続いているのに対し…丁度100km地点を迎えるところには、不自然にも雪が30cm以上積もっていた。

普通ならあり得ない景色だ。

だが、ここは異世界…なんら不思議な景色でもないんだろう。


「そうなると益々この森の事が気になって仕方ないな。 北に100kmと言えば丁度あの方角だろ?」


空を眺めるが、雲ひとつない何時もの青空が広がっていた。

けど…100km地点まで行くと急に雲が見えるんだよな? どうなってんだ…まじで。


「ってか? 円卓の連中はよく、その環境下でも無事だったな? そんな機能搭載されてたか?」

『はい、標準搭載されております。 艦長は基本的に宇宙迎撃がメインでしたので、知る必要もなかったと言えばいいんでしょうか―――惑星侵攻の際。 過酷な環境下の戦闘を余儀なくされる我らには、この機能は必要不可欠です。 よって総司令官”アリス・R・マクリル”の命により標準搭載が決定されました』

「へぇ~…それは知らなかった」


惑星侵攻ねぇ~懐かしい言葉だ。

結局5年間で一度も経験する事は無かったが、あれはあれで大変だろうな。


ピピッ!


『とは言え? 艦長みたいに大気圏外から主砲で攻撃する奴もどうかと思うぜ!? エイリアン共はそのせいで艦長と戦うのを極力さけてたんだからよぉ! だははは!!』


ピピッ!


『違いないですね。 我らが出撃する頃には既に奴らは既に混乱状態でしたから。 ふふふふふ!!」

『ヴァーユ、シヴァ? オープンチャンネルで通信を飛ばすとはどういう事です? 艦長の命が無く発言するのは―――』

「まぁまぁ、アルジュナ? お堅い事はないしでいこうぜ。 ここは異世界だ。 とは言え、誰が聞いてるかも解らないし。 艦専用の回線で次は通信を飛ばせ?」

『はいよ!』

『了解致しました。 艦長、次からは気を付けます』

『全く。 貴方達ときたら…』


ヴァーユ、シヴァと呼ばれるこいつらの正式名称は”軍用戦闘兵器AアンチAエイリアンAアサルト”全長18mに及ぶ超自立型AI搭載の二足歩行型人型兵器である。

簡単な話、巨大ロボットだ。

こいつ等だけでも格納庫に30機以上搭載されており、俺が円卓の騎士と呼んでいた連中とは別の部隊になる。


『艦長もそっちで1人は寂しいと思ってな? 俺達は別に格納庫で一生暮らしててもいいがよぉ? 艦長は人間だろ? それにこっちは駄弁る連中もわんさかいるしな?』

『全くです。 我らのスケールがもう少し小さければよかったのですがね? 生憎どいつもこいつも18mは超えていますので…目立って目立って』

「いや。 その気持ちだけで充分だ。 円卓の連中も同じAIなんだろう? なんで喋れないんだよ?」


呟きながら俺は目の前で同じく日向ぼっこを楽しむ13機の人型兵器達、彼らは奴らと違い2m程のサイズで同じAIを搭載しているが、未だに”言葉を発する事はできないらしい”。

何故この様な説明をしたかというと。


「アーサー? これが日向ぼっこって奴だ。 どうだ?」

『#$$%&#$&%$#$&$』


思っていたより良いか…

とこの様に俺だけには理解できてしまうのだ。

なんでも俺があの世界に来て、この船を貰った時位に飲んだ…マイクロチップが原因

らしい。

そのお陰で俺は子機を通さず、このように船とも通信出来ている訳だが?


相変わらずあの世界の技術力は化け物だ。

そりゃ敵対してたエイリアンも追い込まれる訳だ。

普通ならエイリアンVS人間となれば圧倒的に人間が不利、なんて映画がよくある位だ…だが奴らの技術力を遥かに超えていた俺達は最早蹂躙する立場に立っていた。


最初に侵略してきたのはエイリアン達だが、こう…部外者としてはなんともいたたまれない気持ちになってしまった。


『にしてもよぉ。 本当に艦長1人で銀河を救っちまうとはな? 恐れ入ったぜ。 艦長位だぜ? 俺らAI…無人兵器を信頼している人間なんて?』

『全くです。 乗艦予定だった3万人を蹴ってまで我らを採用したのは――正気の沙汰ではありませんよ?』

『#$%&%$#%&$#$#&%$』


全く持って艦長は変わってる。とアーサーに言われた。


「まぁ、なんだ? 俺はその辺捻くれてるんでな? お前ら感情のあるAIの方が人間より、よっぽど信頼できる。 確かに? ウィルスに侵された時は正直焦ったが、それ以外で不満があるわけでもないしな? それに俺は――人間の死体なんて見たくねぇ。 ほら、なんだ? 死ぬときも基本俺1人だから楽だろ? 態々あんな世界に迷い込んでまで仲良しごっこは御免だ? こっちはエイリアンとは言え、殺し合いをしてんだぞ? まぁ、最後はおまらを脱出させてでも船事突っ込んでやろうかと思ったのは――盲点だったけどな?」


機械だから割り切れると思っていた自分が馬鹿だった。

結局どんなものにも情が湧いてしまえば同じことだ。

人間であれ機械であってもな?


『だははは! そういう所好きだぜ!? 艦長!』

『えぇ。 我らの様なものにその様な扱いをして下さったのは、艦長が初めてです』

『#$%#%#%&$%#%&#』

「あ? 俺らみたいに和気藹々としてる関係がおかしい? んなこと言われてもな…なっちまったもんは仕方なくねぇか?」


まぁ確かに、最後まで向こうの世界の連中はドライな関係だった気がする。

何か一線引いているというのか、それ以上踏み込もうとはしない関係だ。


「だったらあれだな? 今頃お前ら兵器と向こうの人間が戦争してたりして!」

『『『『………』』』』


あれ?

冗談だったんだけどな? 

おーい? アルジュナさん? どうした皆? 無言だぞ? おーい?


「ふっ。 向こうの世界の話はやめておこう…寒気がしてきたぜ」

『同感です―――』

『俺も』

『わ、私も』

『#$%&&$&%』


この時、全員の思考が一致した瞬間であった。

皆は思っただろう「あの世界。 そんな事になってないよな?」と。


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