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26.いきなり有名人

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よろしくお願いいたします!

無事に中立国”ハイベルグ”へやって来た俺達は到着して直ぐに冒険者ギルドへ向かった。

それから2日後の事である。


「し、失礼しま~す」

「失礼します!」

「ご、ご苦労様です!!」


数々の冒険者達が冒険者ギルド入り口に佇む俺に一礼した後中へ入る。

何もそんな決まり事等はこの世界に存在していない。

しかし、このハイベルグ…他国との違いは異文化が進んでいる分、治安もそこそこ悪いという事だ。


アルメイアを含めアリス、エリスと引き連れた俺達集団は一躍有名な存在となった。

なんせ、公式にエリスとアルメイアが亡命したとは知られていない状態でこの国へやって来たからだ。

それも護衛はたった俺1人。


冒険者が多いとあって血の気の多い連中がわんさか居る、おまけに全員が美人どころばかりだ。

何が言いたいのかと言うと、初日で絡まれた俺は絡んで来たAランク冒険者って奴を死亡寸前までボコボコにした事が原因だという事だ。


「ふぁ~…ねむ」

『流石は艦長です、あの冒険者に対する容赦ない攻撃―――見習いたいと思います』


当初の予定としては目立たない様に動くつもりだったんだけどな?

どうもここの連中は下半身に脳みそを蓄えた奴が多いと言うか、話せる連中が居ればそんな事もする必要はなかった。

が、次が無いとは限らない。


「だから、一切の容赦が無い人間だと解れば向こうも手は出して来ないだろ? それに同じ人間相手に死亡寸前まで殴りつけたんだぞ? とんだ馬鹿じゃなけりゃ問題ないだろ。」


しかし…これだけやってお咎めなしなんだから、流石は女王様の護衛だぜ。


『ですが、何故外に?』

「あぁその事か? このギルドのギルドマスターって奴と難しい話をしているみたいだしな? 俺はのんびり日向ぼっこだ」

『成程。 しかし、よかったのでしょうか? 大事な話と――』

「向こうで録音してるだろ?」

『――――成程。 流石は艦長です』


それに俺が此処で突っ立ているのにも訳がある。

夜に暗殺者――みたいな、もしもの事があって見ろ? おちおち寝ても居られない。

だからこそ俺は起こり得る全ての因子を取り除く。


国の住人の動きを全てチェックしている俺に抜かりはない。

お陰で寝不足な訳だけど?


「悪いなアルジュナ。 のんびり過ごすつもりが…またこんな」

『悪くはありません。 逆にこっちは楽しいですよ? なんせ―――この世界の住人は我らに全てを監視されている事すら、気付いていないのですから? ふふふ…ふふふ』


そこはスルーの方向で。


「で? ランスロット。 怪しい動きは発見できたか? こっちは特に無しだな」

『今の所問題はありません。 動きをパターン化させ、脈拍、呼吸、行動の全てを監視していますが、艦長のお陰で動けない――と言った状況でしょうね?』

「了解。 以後、動きがあれば片っ端から始末しろ。 判断はお前に任せる、ドローンの命令権をランスロットに譲渡だ」

『ラジャー』

「腐っても国の女王と教団の聖女―――おまけに騎士団長付きだ。 後であいつらがヘマを打たないように、想定される現象は全て排除。 なんなら円卓の連中を――」


俺がそう発言しようとした時、通信が届く。

ピピッ!


『こちらアーサー。 近くの山脈、標高1500m地点で待機中―――以後はランスロット、お前に任せよう。 私はこちらから監視を続ける。 必要ならば他の円卓の連中を頼れ、すぐ近くのポイントで待機させている』

『流石はアーサーだ! 了解。 円卓組――協力を要請したい。 以後――プライベート回線で通信を行うものとする、では艦長。 私はこれで』

「あぁ、頼む」


プツ。

そうか、既にアーサー達は到着済みか…いやはや、流石と言うべきか。

俺の意図をくみ、もう行動を起こしていたか。


「ふっ、流石だアーサー」

『いえいえ。 艦長の事ですから、また厄介事に巻き込まれているのだろうと』

「ははは…ぐうの音も出ない」

『しかし艦長。 デスマーチ隊が言っていましたよ? 私達も地上へ降りたら出撃させろと―――何せ最近は我らばかりを頼るものですから。 嫉妬しているのでしょう』

「あははは…おまえらはそのうちな? って伝えといてくれ」

『了承致しました』


あいつらを呼んだら場が血の海になるのは明白なんだ。

そりゃもう戦争レベルの事件が起きない限りは要請する事も無いだろう。

というか、要請しない事を心から願う。


「冒険者か~悪くないな」


目の前を通る冒険者達を前に俺はそう呟いた。

なんというか、見ていて面白い存在はこれ以上にない気がする。


「そうですね。 じゃあ僕達はグランドボアの討伐でも行きますか?」


剣士っぽい恰好の少年はそう告げる。


「う~んそうね、悪くない行きましょうか」

「了解だ」

「解った」




彼等の様な少し一線を引いたパーティーもあれば。


「ねぇねぇ!? 次は何処行くよ!?」


耳を生やした獣人の男は隣の男に尋ねる。


「そりゃ決まっているだろう!? 竜人の国だよ!」

「ま、まさかおまえ!?」

「そうだ。 竜人はな? おっぱいと筋肉が素晴らしい――そうだろう?」

「――――解ってるじゃねぇか親友トモよ!!」

「あぁ!!」


暑い握手を交わした男達は肩を組んで近くの酒場へ消えて行った。

見れば見る程興味深い。

人種が違えど仲睦まじい関係の者も居ればビジネスパートナー張りに割り切った連中もいる。

あとはそうだな、遊んでるって感じの奴らに…悲し気な表情をみせる冒険者まで。


「冒険者ってのも悪くなさそうだな?」

『確かにそうですね。 ですが――艦長の場合は―――』


おいまて? なんだその妙に含んだ言い方は!?

なんだ!? 一生ボッチとか言うんじゃないだろうな? 


『屈強なソロ冒険者でしょうね…』


アーサーの奴がポロっと呟く。

成程。 屈強なソロ冒険者とな?


「いや、流石に冒険者になってまで1人は無いだろう?」

『昨日今日の連中を信頼できますか?』


無理。


『ふむ。 例えばそうですね~前方左側の彼等、あの方々は報酬について揉めています。 話によれば、支援職と攻撃職なんだから、攻撃職は割増だろと? そこで艦長なら――』

「黙って折半だろ」

『応じなければ?』

「強制執行だ」

『はい。 もうソロ冒険者確定です』


なんでだよ!!

そんな他愛ない会話を交わす事数十分―――気付けば俺の周りをみすぼらしい恰好の少年少女達が取り囲んでいた。


「あの! これも買って欲しいです!」

「なんだそれ? 飴か?」

「は、はい…み、水飴です」

「いいだろう。 いくらだ?」

「え、えっと1本…5ゴールドです」


獣人の少女が掲げる籠には10数本の形が不揃いな水飴がいくつも入っていた。

甘いものか…いい!


「じゃあ、全部くれ」

「ぜ、ぜ、ぜ、全部ですか!?」

「ほれ。 100G銀貨だ」

「あの、これは…もらい――」

「気にするな。 後、真っ直ぐ家に帰れよ? なんなら俺に買ってもらったと言い振らしてこい。 あと、そこの演技臭い少年。 雇い主に言っとけ? からかってる様なら…乗り込もうか?とな」

「は、はい…!!!」


明らかに手の込んだ代物を運んできた少年を指差しそう告げる。

例え親が作ったとしても明らかに商品っぽいブローチを見て、俺は確信した。

彼女の様に本物も居れば、偽物だって存在している――が、俺を騙すには100年早い。 なんせ―――こっちは。


『製造元が解ると言う、チート付きですからね?』


ある意味クソチート仕様と言うべきか、まさかこんな所で役に立つとは。

元々はエイリアン共の武器の製造元を調べる為に備えた機能で、元々組織自体を疑っていた俺はこのような機能をアルジュナと共に作った。


『指紋位は拭いておくべきだと思いますがね? しかし…』


誰が、遠隔スキャンで指紋認証してるって理解できる奴がいるんだよ。


『既にこの国に立ち入った住人の情報は入手済みです、どれだけ姑息な手を使おうと全てが筒抜けの状態―――果たして動いてくれるのでしょうか? ふふふ…』


だからその不気味な微笑み方はやめろ。

アルジュナの奴め、昔の血が騒いでいるんだろう…血なんてないけど。



『しかし、艦長。 どれだけ子供に甘いのですか? いくら何でも寄って来る全ての者の商品を買うというのは―――』


いや、全部じゃないぞ?

大人が絡んでる連中逆に全部かえしてるし。

まぁ、いいカモなのは否定しない。


『ま、まぁまぁアルジュナ様! 艦長も元々孤児だった故に、思う所があるのでしょう! ここは大目に…』

『はぁ…そうですね。 昔から子供だけには甘かったですから』

「いいだろう? どうせ金なんて腐る程あるんだし」


今の俺は億万長者と言っても過言でない程、金に困っては居ない。

寧ろ使い方に困っている位だ。

フェンリルの件や色々含めて、俺はアリスから既に3億ゴールドの報酬を頂いている訳で。


「にしてもすごいよな? このゴールドボックスって袋。 50億ゴールド入るんだろ?」


腰にぶら下げた皮の袋を眺めてそう告げる。

魔力を全く有していない俺に仕える唯一の便利道具だとか、なんでもゴールド専用の入れ物で特殊な魔法が宿った”魔具”という代物らしい。

お陰で金の持ち運びが便利になった。


そして俺は、3人が戻るまでひたすら少年少女達の品物を買えるだけ買いまくった。

土産に丁度いい物ばかりで助かる。


しかし俺は知らない、それが原因でこの国の子供人気が爆上がりした事を―――



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