22.村でひと悶着
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「あ~…肩がこるな…なぁ。 やっぱり俺は外で寝ていいか?」
「「駄目だ(よ」」
あれから3日程川の字で寝続けた俺の身体がボロボロだった。
よくもまぁ、あんな環境で疲れがとれるもんだ。
俺は肩を抑えながら、彼女達の後方を再び歩く。
「あんた人間やめてんのに肩はこるんだ?」
「当たり前だろ。 半分人間なんだから…それよりも? まだ着かないのか? その~なんだっけ? お前の知り合いが居るって言う村には」
「エリス村よ、エリス村。 この方角であってると思うんだけど~」
「確か…この先の方向に―――」
そうアルメイアが発言したのと同時に、目の前からはエルフの男が額に汗を掻きながら何かから逃げている様子だった。
「た、助けてくれぇぇ!!!!」
「アルジュナ」
『了解。 広域スキャンを開始―――暫くお待ちください』
目の前のディスプレイに注目する。
ピー!
『照合完了。 魔族と断定されました。 どうやら村を襲っている様です―――いかがしますか?』
「という反応をするって事は?」
『はい。 未だ犠牲者は出ていない模様です』
「しゃあねぇ。 2人とも!」
「そうか、頼んだ。 すぐに追いつく!!」
「私達は彼を安全な場所へ運んだ後、裏から回るわ!」
「了解っと。 フルドレス!!!」
『了解。 フルフレームの高速転送を開始――――――…一斉装着』
ガチャン!!
ピピピ!
『ランスロットの接近を確認――来ます』
「お? 丁度いい所にきたな? こい!! ランスロット!!」
『はっ!!」
パカラパカラパカラ!!!
目の前から物凄いスピードで接近してきたランスロットに俺はすかさず跨る。
『ヒヒーン!!』
「な!? ランスロット!? 何時の間に!?」
「歩いて来てたみたいだな、こいつも―――じゃあ久々に使うか。 ナイトフレームへ換装!!」
『了解――ベースフレームからナイトフレームへの換装を開始―――』
ガチャンガチャンガチャン!!
次元の狭間をポイントして、至る所から現れた補助アームが俺の各部フレームパーツを外していく。
「ちょ、ちょ、ちょっと!?」
「へ? な、何が起こってるんだ!?」
内部装甲丸出しの状態になった俺の周りには、白く輝く騎士鎧の様なパーツが出現――そして。
『ナイトフレーム準備完了―――…一斉装着を開始致します』
「よしこい!!」
ガコン!!
ずっしりとした重みが身体全体に圧し掛かる。
流石は装甲値高めのパーツだ、久々のランスロットも少しよろめいていた。
「大丈夫か?」
『え、えぇ…ここまで重たいとは…私も流石に驚きました』
「ははは…重装甲系は個人的に大好物なんだけどな? 如何せん遅い!!」
『ははは、解ります。 では、行きましょうか?』
「あぁ。 ビームマント展開! 転送―――ガトリングランス!」
『ビームマント展開―――ガトリングランス―――転送準備完了』
目の前に現れたランスの柄を掴み引き抜く。
そこには槍の先端部に砲身が備え付けらており、槍の中心部分にシリンダーが内蔵されている…所謂銃槍である。
「いくぞランスロット!! ロマン砲!!セット! 」
『ガトリングランス。 リロード――――』
ガッチャン!!
シリンダーが回転したのを確認した俺は脚でランスロットに合図をした。
『ヒヒ――ン!!!』
「ハイヨー、シルバー!」
それは数秒の出来事だった。
合図と同時に全速力で滑走するランスロット――周りの景色はもはや見えない程に凄まじいスピードだ。
気付いた頃には目的と思われる村の入り口付近へと到着していた。
「ここか…いくぞ? ランスロット!」
『はっ!!』
『敵影のマーキングを開始―――どうぞ―――』
ふん!!
村の中へ突っ込んだ俺はガトリングランスを空へ構える。
そして――柄を力強く下へ引く。
バン!!!
「「「「「「!?!?!?!?」」」」」」
『(答えろ魔族? それ以上の愚行を働くのであれば…このランスロットが成敗する!! 跪け――愚かな者共よ!! でなければー――敵とみなし排除する!)』
「けっ…俺達が用があるのはここのシスターだ! そうだなぁ~?けど女は犯して――男は――」
ガチャン!
『(そうか? ならば死ね)』
バン!!
「へ―――?」
まず1人、見せしめに頭を吹き飛ばす。
いや、こいつが居ると喋らなくて済むから楽で仕方ない。
『(成程。 交渉の余地は無しか? では―――こうだ!!)』
そのセリフに合わせる様に俺はガトリングランスのグリップを2回連続で引く―――すると半分に折れた
ガトリングランスのシリンダーが丸出しの状態になった。
何故このランスがガトリングランスという名称なのか―――それは
『ガトリングモードに変形。 いつでもいけます』
『では艦長? 射撃訓練と行きましょう?』
なぜうちの連中はこうも戦闘になると人が変わったような態度になるのか、気になって仕方ない。
まぁ俺もそういう態度は嫌いじゃない。
『ルート自動選択。 襲われる可能性の高い者達の場所へ移動を開始―――艦長―――』
「解ってる。 一撃でやればいいんだろう?」
『では、このランスロット…行かせていただきます!! はぁぁぁぁ!』
『マーキングを開始―――敵影20。 いきます』
「さて、後悔するなよ? こっちも仕事なんでな…」
凄まじい勢いで飛び出したランスロット、それに合わせる様に俺はガトリングランスを構えた。
「はぁ? おま――何――」
バババ!!
頭部に3発、至近距離で鉛玉をお見舞いする。
『ヒット。 敵影残り――29―――』
次は近くにあった木造の家。
「き、きゃぁぁぁ!! だ、誰か! 誰か!!」
「へへへ…さっさと――」
『ロックオン』
壁越しにガトリングランスを構え。
ババババ!!
『クリア―――次へ移動致します。 敵影残り――28』
ピピッ!
『先頭に2名。 挟み撃ちで来ます』
音声と共に俺は目視もせずMAPに表示された反応だけで狙いを付け――
「くそがぁぁ!!」
「しねぇぇ―――え?」
「遅すぎだ」
ババン! ババン!!
『ナイスヒット。 流石は艦長です。 敵影残り26』
さて次は?
反応は細い通路に在った。
どうやら1人の人物を5人で追い詰めているらしい。
「だ、だれか…だれかぁぁぁ!」
「お嬢ちゃん? 泣いても誰も来ないぜ? ここはもう俺様達が―――あ?」
「お、おい!?」
「なんだあれは!?」
「な、何が!?」
成程。 幼気な少女にすらその対応か?
「高出力ビームモード」
『了解。 リロード開始―――』
ガチャン!
『どうぞ』
「言っとくが、跡形も残ると思うなよ? 少女の前だ――そんな残酷な事はしてやらん。 5発で十分だ」
「はぁ? なにをい―――」
ブォーン
僅かにガトリングランスが振動を始める。
ガタガタガタガタ!!
「フルバースト!!!」
ダダダダダ!!
魔族の男たちを薙ぎ払うように攻撃する。
瞬間。カートリッジに圧縮されたビームが一気に放出を開始することで高出力のビームが同時に標的を捉え―――
シュン!!
奴らの身体を蒸発させた。
『クリア。 次へ誘導を開始―――敵影残り21』
それから俺は次から次へと殲滅を開始する、途中アルメイアとアリスの2人も駆け付け加勢した。
そして――残るは敵影は1。
反応は村の教会からだ。
裏へ回り込んだ俺はガトリングランスを元の状態へ戻すと息をひそめた。
1m…1m…と誰かを追い詰める様に接近を開始する。
その後方にはアルメイアとアリスの反応もある。
『艦長。 敵影――目標地点へ到達』
「なら…退場してもらうとしよう」
ズガンッ!
教会の石の壁目掛けて強力な突きを放つ。
『目標――捕らえました。 全バレット――発射準備』
ガン、ガン、ガン、ガン!
1回、また1回とシリンダーが回転を始める。
なんでも壁の向こうの男は他と多少反応が違う様で、これ位の事はした方がいいらしい。
や、やりすぎだとは思うが―――
ここまで言うのには訳がある。
つまるところこの攻撃――、一斉発射とかそんな次元の攻撃じゃない。
俺が編み出したオリジナル技で、バレットの発射スピードを最低にすることで弾薬そのものを杭の様に身体へ打ち付け―――
カチャ――ダン!
カチャ―――ダン!!
カチャ――ダン!!
それから系6発の弾丸を放ち。
「おい、あいつらに被害は及ばないんだろうな?」
『問題ありません。 冷却バレットなので…身体が凍るだけです』
「……えぐい事するな…お前」
壁の向こうから声が聞こえる。
「え? え…? こ、これは?」
パキパキパキ―――
「あり得ん――あり得ん!? 我が一撃で!? こんな攻撃で!? ありえ―――」
仕上げに貫いた先端を抜き。
バラバラバラ!!!
何かが崩れ落ちる音が聞こえた。 おそらく壁の向こうの人物は粉々に砕け散ったのだろう。
『起動終了―――魔族の殲滅を確認。 アーマー解除致します、お疲れさまでした』
「はぁ~絶対なにか言われるぞ? これ―――」
何故なら。
「ば、ばらばらに!? うっ…い、色んな所が見えて…うぐぅ。 ヒグッ…グスッ。 う、うぇぇぇぇん!!」
どうやらあまりに惨い光景に、泣かせてしまったらしい。




