21.護衛とサラ自慢
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俺は今、全身アーマー姿でアリスとアルメイアの後方で彼女達の護衛を担っている。
というよりも、暫くは戻れないので…仕方なしにこの格好をしていると言うべきか。
『アームパーツ。 コンディションスキャン中―――各部スキャン率32%。 スキャン終了まで、約3時間――――』
「3…3時間。 2時間で32%か…これは先が思いやられるな」
『仕方ありません。 見境なしに、私達がバーストモードを起動したせいです―――』
「で、ですよね~」
ガチャン!! カシュン!!
各部パーツが開閉動作を続け、耳障りな機械音を後3時間もあいつらに聞かせてやる事になるとは…なんかすまん。
と心の中で謝っておこう。
「で、さ? これは私達が国へ着くまで援護してくれるって事でいいの?」
不安そうに尋ねて来たアリス。
まさか俺が1人で帰るとでも思ってるのか? ふっ…そんな訳ないだろう。
なんせ―――また呼ばれでもしたら面倒だからな!!
「あぁ、そのつもりだ」
「ほ、本当にすまない。 これは私のせいだ―――」
何度も俺とアリスに頭を下げ続けるアルメイア。
彼女なりに思う事があるんだろう。 だが、人間様の国の現状を知れば無理もない事だと俺は思う。
「もう。 何度も謝らなくていいわよ。 それよりも、あんたはどうするの? 流石に勇者様が魔に堕ちたと知れれば―――」
「解っている。 例え騎士団長とは言え、この身に危険が及ぶ事だろう。 しかし…私は…」
「逃げる訳には行かない。 なんて思ってるんでしょ? けど、どうする訳? 今日だってこいつが居たから私達は命拾いしたもんよ? 次に居るなんて限らないわ。 解ったでしょ? 私達じゃ、まだ相手にすらならないって」
暫くの沈黙が続く。
な、なんかごめんな。 キュインキュイン五月蠅くて。
「だ、だが…」
「どうするの? 違うわね、あんたはどうしたいのよ?」
「わ、私は――」
「逃げてもいいのよ。 疲れちゃったんなら。 その為に私って奴が居るんだから」
まさかアリス本人からそんな言葉が聞ける日が来るとは、正直思いもしなかった。
なんというか、無茶苦茶な人間だった故に当時と対比するとやたら真面に見えてくるというか。
良い友と出会えた結果――そこそこ魅力的になったと思う。
「まぁ、金髪巨乳ってのはありきたり過ぎると思うけどな?」
『それもエルフですよ?』
「確かに」
「そこ!! 今真剣な話をしてるんですけどぉ!? 私の事を弄らないでもらえますぅ!?」
成程。 エルフの耳は伊達じゃないという事か。
なるべく小さく呟いたんだが、どうやら聞こえていたみたいだ。
「で? 横やりが入ったけど、どうするの?」
「ぼ、亡命って出来るだろうか?」
――――――――――――――
夜。
やっと解放された俺はテントを張る2人を眺めながら、サラに通信を飛ばしていた。
「―――――という訳で、またしばらく帰れなさそうだ」
『ほぇ~…じゃあ格納庫は延期ですか?』
「いや、そっちは設計図をサラ。 お前に後で送信しておくから、そっちでやっといてくれ。 なに、簡単な事だ。 ホログラフで完成予定図が見える筈だから、それ通りに指示を飛ばすだけだ。 おまえなら出来る!! やれば出来る子だろ!」
『は、はぃぃぃ! が、が、頑張ります! で、では! ご主人様、また!』
「おうよ。 これが終わったら俺、暫く休むんだ…」
「それ、フラグって奴よね?」
何故か不機嫌な表情のアリスは俺の隣に腰かけた。
「ねぇ、あんたって随分サラには優しいのね?」
「ん? そうか?」
「そうよ! さっきだって…あんな信頼してるみたいな事…」
「そりゃな? あいつは信用に足る奴だ。 何よりやる気に満ちあふれてる。 のと―――」
「おっぱいが大きい…かなり」
ジト目を向けるアリスから視線を反らした俺は下を向いた。
「ははは、そんな訳――」
「おっきなおっぱい大好きだもんね?」
「まさか俺が? 馬鹿を言え…おっぱいで何かの基準を決める訳がないだろう?」
『心拍数上昇―――艦長、これ以上は危険です。 落ち着かなければ、かなり危険です』
(解ってるよ! 今必死に落ち着きを取りも―――)
「そういえば、あんたって童貞だったわよね?」
俺の顔をしたからのぞき込んで来たアリス。
彼女の今の顔は例えるならば阿修羅、それ程までに真っ赤な顔で目は微笑んでいなかった。
「な、なんで怒ってるんだよ? 今は童貞とか関係ないだろ?」
「あるわよ…私だっておっきいじゃない! それなりに!! それとも何!? あんなお化け乳がいいっての!? えぇ!?」
いや、なんで急にキレたのか意味が解らないんですが…
「あ~その~なんだ? アリスはきっとこう言いたいんだ。 サラの話ばかりするんじゃなく、私も見ろと――」
「――――コク」
「あ、あぁ。 そういう事か、悪い。 というか、そんなにあいつの話ばかりしてたか俺?」
「していた。 道中ずっと口を開けばサラ、サラ…とみるみるアリスが不機嫌になっていただろう?」
「そ、そうか。 だからずっと昼間は不機嫌だったんだな?」
どうりで昼間から機嫌が悪かった訳だ。
あの話を済ませた後――俺達3人は普通に話をしていた気がする。
気がするんだが―――
「そんなにしてた?」
『はい。 サラは気が利くだの、サラは仕事が早いだの…タフだの…サラ自慢でしたよ?』
「素直にすまん。 お前の気持ちを考えていなかった」
「じゃあ、抱きしめてくれたら許す//」
ん? なんて?
『システムスリープモード―――おやすみなさい』
「あ、こら! アルジュナ!!」
「あ~!! そうだ! 備品の確認をしなくてはな~、いそげ~(棒)」
「おい! アルメイア!?」
わざとらしい台詞でテント内へ入っていったアルメイア。
それといち早く空気を読んだアルジュナ。
「ほら、だれも見てないわよ?」
「だ、抱きしめるだけだからな?」
「えぇ」
ちょっと待て? 抱きしめるってどれ位の強さでだ?
こう~包み込むように優しく?
アリスと向き合った俺は優しく背中に腕を回した。
「ん~60点」
「60点って…」
「私の肩を抱くのよ! 全力で!」
「か、肩!?」
「片腕で包み込む様に!」
「お、おう…」
「もっと!!」
「おう!!」
「もうちょい!!」
「おう!!」
ただ抱きしめるだけに俺は時間を30分も使った。
まぁ、満足してくた様なので…よかった。
この時俺は決意した、気付かぬうちにしていたサラ自慢を控えようと。
「で? なんだこの状況?」
「え? 何がよ?」
「どうした?」
丁度3人が収まる位のテント内に、川の字になって寝転がる俺。
しかし、何故俺が真ん中なのだろうか。
こんな窮屈なら普通に外で寝た方がいいんだけど?
「狭くないか?」
「全然?」
特に不満の無さそうなアリス。
「そうか? 寧ろ…落ち着くだろう?」
何故か満足気な表情を見せるアルメイア。
「それと…なんで全員でテント内で寝てるんだよ? 普通見張りとか」
「アルジュナが居るから大丈夫でしょ?」
『(はい。 24時間体制で監視しているので、問題はありません)』
「ほら?」
何が「ほら?」だ。
「それに私はアルジュナとも一度話をしてみたかったんだ。 何時もは業務的な会話しか交わしていないからな?」
『(そうですね。 こんな機会もなかなかありませんし。 お話でもしましょうか)』
「な、なら私も!」
『(えぇ、構いませんよ?)』
「俺は寝るぞ…」
「「え~」」
あからさまに嫌そうな反応を見せる両脇の2人。
寝るんじゃないのかよ? なんだ? いまから話し込むつもりか?
『(つもりも何も――ここからがガールズトークの始まりです)』
「あぁ!」
「そうよ!」
「いや、俺は男――」
なんだその? 空気読めないですねみたいな雰囲気は!?
俺が悪いみたいになってんだろ。
「俺は寝るぞ?」
『(寝るのですか?)』
「そうか、寝るのか…」
「へぇ~寝るんだ」
結局俺達はそれから2時間ほど話し込んだとさ。




